いを
2025-10-20 17:23:25
3818文字
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タグまとめ29

くらくら
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。


 ゆたかな三つ編みが揺れる。重力に逆らうように。
 その姿を見たのはシーシャバーと呼ばれる店の前だった。煙がもうもうと立ちこめている。ニコチンのにおいがする。
 おもたげな瞼の女が通りかかる人間を眺めていた。客にしては、ようすがやけに主じみている。
 色の濃いサングラスをかけ、女を見ないように通り過ぎようとした。見なければ見えるわけもない。一般人の心を勝手に拾うような異能は心底嫌気が差しているが、これは博打であるものの、自分で選んだ道なのだから今までに一度も口をついて出たことはない。――まなければよかった、など。
「ン? お客サマかナ?」
「いや」
「ココはシーシャバー。気になるのかナ? そんな顔、してるヨ!」
……あ? なんだお前……店主か?」
――フフ!」
 聞きなじみのないイントネーションであった。ふらふらと、空を泳ぐような。
 のらくらと真意を突かせないような言葉。あまりよくない。
「ただの通りすがりだ。商売の邪魔をする気はない」
「お兄サン、今度一服してってヨ。せっかく成人してるんだかラ・・・・・・・・・・・・・!」
 ひらりと袖を金魚の尾のようにたゆらせ、女はバーの中に入っていった。視線をようやくバーに向ける。直後にガンとした大量の情報が脳に流れ込んできた。
……煙草はのんでものまれるな。酒に限らず、そうなんだろう」
 雰囲気に酔う若い男女の嬌声じみた声が聞こえて来る。足をむりやり動かし、その場を去った。