いを
2025-10-20 17:23:25
3818文字
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タグまとめ29

くらくら
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。


 医者にかかるときは、だいたいが具合が悪いとか、検診、検査結果にひっかかったとかだとか、そういったものであると昔から決まっている。そのため、元気よく威勢良く機嫌良く、医者の前には座らないものである。が、この男は威勢が良かった。
「うるせぇ」
 と、スマートフォンを弄る始末でもある。これだけ血気盛んな男ならばそう簡単にくたばらないと思うが――血液検査の結果を見下ろし、若いのでまだ・・放っておいてもよいが、将来高血圧、高血糖が懸念される。
「東雲。お前、若さにかまけて今の生活してるとどうなるか一言一句、しっかり伝えてやろうか」
「うるせぇ、いらねぇ」
「お前ね。脅してるわけじゃねぇが、糖尿になるとよくて毎日の服薬、悪けりゃ壊死、四肢切断だ。アンチドートの仕事も続けられなくなるぞ」
 スマートフォンを弄る手がふいに止まる。ながい髪の毛の先がちいさく揺らめいた。
「お前の傷跡、キレイに治せればいいがな。……大怪我をしてまで、なぜ前線を張れる?」
「さあな。仕事だからじゃねぇの」
 サカナがいなければアンチドートもいない。苦々がなければ楽々もない。今さら浮世に夢を見ても無意味である。現実はその目で見なければならないから現実なのだ。
 一端の研究員が前線を張るアンチドートに何を言っても、おそらく――うるさい・・・・で済んでしまう。よく、理解はしている。
「まあ、今んとこはお前の食事にどうこう言わねぇが。ポテトサラダ味のグミみたいなイロモノ、どこで買ったんだよ」
 せめて無事に帰ってこられるところを、ととのえておくことしかできない。