和泉 小夜
2021-10-22 03:48:53
3577文字
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深海へ沈む


昔々、親に棄てられた。本当の名前も誕生日も知らない。
弟みたいな奴は一人いる。直接血は繋がってないが近い親戚らしい。

数年前、自分の家族に付いて調べた。兄貴が二人居るらしい。
二人が住んでいるらしき建物へ行ってみると、迚も立派な屋敷だった。
あれが俺の兄貴なんだろうなと思う奴が二人居た。
弟の方が俺の双子の兄貴らしい。どうやら、そういう設定らしいと聞いた。
どちらも薄桃色の髪色で、雰囲気も声色も優しそうで柔らかく、よく似ていた。

青くて癖の強い俺の髪とは随分と違う。性格も我が強いしな、俺は。
二人を見ていると、其の二人から声を掛けられた。
色々と話してみてよく分かる、二人は俺とは別の人種だ。

俺みたいに劣等感とか持ってないんだろうなとか、
随分と恵まれた暮らしを送ってるんだなとか、
俺の存在なんて全く知らないまま育って生きて来たんだなとか、
負の感情がぐるぐると。自分の中を駆け巡って。

今度はちゃんと貴方と遊びたいです、そうだよ遊びにきてよと言う二人の誘いを断って。
孤児院に戻って独りで泣いた。遊べるわけ無いじゃんな。莫迦かよ。

自分のことを調べたら、色々と分かった。
あの家の当主が囲っていた気に入りの妾を孕ませたらしい。
其の妾が俺の母親で、俺によく似た髪と目を持っていた。
当主に棄てられて妾は気が狂って、俺を産んで直ぐに病室で首を吊ったらしい。
そして当然、あの家は俺を引き取ることを拒否して孤児院に入れた。

そんなことが遭った数年後、つまり最近。
近い親戚を名乗る奴に引き取られ、義弟と一緒に海外に置いて行かれた。
義弟曰く、暫く此処で養生しろとの心遣いらしい。そんなものは要らない。