落第忍者乱太郎/鉢屋三郎【自分の顔→あなたの顔】
「
……私、もうちょっと目が大きくない?」
「いーや、君にそっくりなはずだ」
三郎の自身満々な返答に、女は納得できない様子でうーんと首をひねった。
「そうかなあ。どこか違う気がするんだけど」
「違いがあるとすれば身長くらいのものさ」
「え~?」
女は目の前にいるのが自分そのものだとでも錯覚しているのか、自分と瓜二つの顔をまじまじと見つめた。横から、斜から。ぱちぱちと音が聞こえてきそうな瞬きを、時折小さな声が生まれる尖らせた口を、肌をうっすら光らせる産毛を、三郎はかえって冷静に眺めた。
(
……山本シナ先生が雷を落とすぞ)
隙だらけだ。顎を捕まえて、容易く口吸いだってできそうな距離。悪戯心が芽生えるも相手はくのたま、懐から何が出てくるかわからない。命は惜しい。
「ナマエ、」
「ひぇっ! そ、そうだった。三郎だ、これ」
女の顔が息のかかるほど近付いたタイミングで口を開くあたり、鉢屋三郎である。
「最初からずっと私だろ。わかったぞ、違和感の正体。君が自分の顔をよくよく見るのはどんな時だ?」
「え、そりゃあ化物の術の授業とか、出かける前
……かな」
「だろ。今の私は、《私が》普段見ている君の姿。つまり素顔さ」
「あっ、たしかに鏡に向かうとちょっと表情作ったりしちゃうかも」
「それもある。もう一つ」
「!」
三郎が女の手にするりと指を絡めた。
「君が、私のこの顔にいつもの化粧を施せば──見慣れた顔になるだろうね」
絡めたままの指が自分と同じ顔にゆっくりと導かれる。
この顔は、三郎の武器だ。触れても、良いのか。女の指が一瞬逡巡する。だが、学園の誰も知らないというその顔の、秘密の、今もっとも近くにいる──そのことが女の全身を巡る血を沸き立たせる。速まった鼓動が指から伝わりそうで、的を射ない弁解が口から出そうになる。が、喉からは掠れた息が漏れるだけだった。
頬に触れる、と思った瞬間。
「
……試すかい?」
にやりと笑う顔はもういつもの級友の顔なのだった。
rkrn創作関連
hty先輩は自分の顔を触らせないだろうな、と思いました。
ので、寸止めで揶揄いそうというかギリギリのところで駆け引きしそうというか
……。
個人サイトの時代にrkrn夢を書いていました。
推しはknzk先輩。軍師で後ろ姿を捕捉。かわい〜ね!!
今はご紹介できるものがありません
…何かありましたらこちらからお言葉をいただければと思います。
wavebox
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