Dr.STONE/石神千空【後輩→手の届かない人】
「なァーーーに避けてやがんだ、〝センパイ〟」
そっとみんなの輪を抜けて、ホッと息をつくつもりだった。それを遮って私の視界に割り込んできたその人は、彼がそういう物言いをする時によくする楽しそうな(そして悪そうな)顔とは違う、どこか怒ったような──傷ついたような、顔をしていた。
「避けて、ませんけど?」
嘘、距離を取ろうとした。だって、今の彼は手の届かない人なんだもの。
「ほーん。じゃあな・ん・で敬語ナンデスカ」
「そ、そりゃあ
……石神君は、」
石神博士の息子さん。それが私の彼に対する第一印象だった。
入学式の日の放課後、科学室で鉢合わせた彼と私は揃って目を丸くした。入学したての一年生がどうしてここに。でも彼からすれば、貴重な半日下校の日、しかも部活もないのに放課後の科学室で試験管と睨めっこする私がかなり異質に見えたらしい。学校始まって以来の頭脳と噂される、いろんな意味で目立つ人。でも私にとっては「石神博士の息子さん」だった。石神博士がまだ大学で教鞭を執っていた頃に学会へ発表した論文を読んでいたく感銘を受けた私は、彼の向こう側に憧れの人を見ていたように思う。
それでも彼は、石神博士とは──正確に言うなら論文から浮かび上がる石神博士の人柄とは、まるで違っていた。口が悪くて淡々としていて、友達といるとよく笑って、好きなことにまっすぐで。彼が〝後輩の石神君〟になるのにそう時間はかからなかった。ずば抜けて頭がよくて、破天荒で、オモシロい人。今までとは違う一年間の予感に胸が躍った初夏。知り合って二か月が経とうとしていた。
「
……後輩を飛び越えて世界の石神博士になっちゃった、じゃないですか」
「あ゛?」
「かわいい後輩
……っていうより、一緒にバカできる友達みたいに思い始めてたのに。これから楽しいこといろいろできると思ったのに」
「あ゛ー、残念ながら楽しい原始の時代は過ぎちまったなァ」
ククク、と癖のある笑い声が喉から漏れる。
「俺は何も変わっちゃいねえだろが。テメーん中じゃ昔っからくるっくる変わってたようだがな」
「え?! だって石神博士は憧れの人だもん、その人の息子さんとかどう接していいかわかんなくなるでしょ
……。でもとっくに石神君は石神君だよ」
「そりゃおありがてえ。じゃあ変化ついでに今の距離感で呼んでイタダいこうじゃねえか」
「今の?」
「これからあん時の続きをやりゃいいってこった」
この世界を導いた石神博士。ドクター・ストーンと、私の、距離感
……?
「か。神」
「バカ」
「だって
……、石、あ
……友達。ってこと?」
石神君はそうだとも違うとも言わずに、でも口の端をわずかに上げた。
この癖だって、覚えてる。
何千年経ったって、ずっと年上になったって、私にとっては昨日と何も変わらない石神君だ。
「石神、くん」
「さっきと変わんねえだろが」
「
…………千空、くん?」
「ククク、大正解100億万点やるよ」
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「篠」名義で主にXに出没。
推しは⌚️くん。4期でアニメに登場、動いて喋る推しを見て瀕死。
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