2020年11月29日~2023年4月10日にかけTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算15、21、32、36、37、38、59、68、97話目、通称『落選』シリーズ1~9の加筆修正版をPrivatter+に投稿。
落選8
(※Twitterへの投稿は2022年10月30日)
草加煎餅が有名な埼玉県草加市は今市長選の真っ只中。政府与党である保守第一党並びに正大党が推薦しているのは2期目の当選を目指す現職の
大東晶だ。
「大東君、総理である私が支援するんだ。大船に乗った気でいなさい。」
そう言って大東の左肩をポンと叩いた広池一雄首相ではあるものの、現在支持率低迷中の広池の支援はむしろ足を引っ張りかねない。
「疫病神め!あんなのに支援されたら逆に票が減りそうだよ!」
大東は草加市役所を去っていく首相専用車に向け石を投げたくなった。
折しも楠木武一等陸佐が独断で大東の応援演説を行っていて、大東本人にとって広池の支援同様悩みの種。
「厳しい安全保障環境だからこそ国と地方の連携が必要です!草加市の発展には実行力と実績のある大東あきら候補に清き一票を!」
現役自衛官である楠木が特定の候補への投票を呼びかけるのは完全な選挙違反行為に他ならず、当初は優勢と見られていた大東ではあるものの楠木が応援演説に駆け付けた途端に「選挙違反してまで再選したいのか!」と各方面から非難されるように。
それとなく応援演説を止めるように言う大東に対し楠木は逆上した。
「信太山駐屯地から応援に駆け付けたこの楠木に対し何たる言い草!楠木正成公の末裔であるこの楠木の応援演説を足蹴にするようでは落選必至ですぞ!」
大東は開いた口が塞がらない。
今回の草加市長選は新人の
河北小百合が当選した。楠木が応援演説を行う度に支持者が離れ、広池の支援が更なる支持者離れを招いたのだから大東の落選は当然の帰結と言えよう。
数日後、楠木の元に防衛省から届いた通達には「懲戒免職」の表記が。
「この楠木がクビだと!?」
現役自衛官の身で特定の候補者への投票を呼びかけという選挙違反行為を繰り返した以上、懲戒免職されるのは至って当然のこと。
「おのれ広池!当選確実だった大東を落選させた戦犯の癖に俺に責任を擦り付けたな!許さん!許さん!許さぁぁん!」
怒りに任せ解雇通知書を破り捨て、楠木は今まで部下への虐待に使い続けてきた精神注入棒で壁や天井を力任せに叩いた、棒自体が折れるまで何度も何度も。確かに今回の懲戒免職処分には大東落選の責任を楠木1人に擦り付けたい広池の思惑も多少なりともあったとはいえ、楠木もまた大東落選の戦犯なのは前述の通り。
以来楠木は広池の命を狙うように。手製の銃を用意し広池の心臓を狙う、元自衛官の肩書も含めて門長四郎元総理を亡き者にした犯人と同一である。
そしていよいよ決行の日が。自慢の口髭を剃り髪型を変え伊達眼鏡と楠木の変装は結構念入りだ。
楠木は街頭演説中の広池の背後に立ち、鞄から手製の銃を取り出し銃口を標的の背中に向けた。
「くたばれ広池!」
いきなり銃が暴発し憎き広池にはかすり傷一つ負わせられないまま楠木本人だけがあの世行き。試射もしていない急ごしらえの銃は不安定だったのだ。
周囲が騒然とする中、広池1人がほくそ笑む。それもその筈、広池は自分の命を狙う楠木をわざと野放しにして防弾服を着用の上聴衆に紛れた警官達に現行犯逮捕させる算段だったのだ。この事件の後も内閣支持率は殆ど上がらず銃撃事件を未然に防ぎ支持率回復を期待していた広池が途方に暮れたのは内緒にしておこう。(終)
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.