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丹羽燐
2025-07-02 23:53:05
13874文字
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赤い糸が切れないように
2025-06-15発行の「別れ支度をあなたの隣で」の続きのような短編
━━もし,ふるあずの二人がハッピーエンドになったら?
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廊下で缶コーヒーを片手に降谷はチャットアプリを眺めた。会議中に伝わったスマホの振動で誰かからメッセージが届いているのはわかっていた。一番上に表示された名前につい口元が緩む。
今日のポアロの営業時間とテイクアウト用のカップの写真。それから応援する三毛猫のスタンプ。梓さんがどんな顔で送ってきたか、容易に想像できた。最後の会議が終わってから急げば
――
そう計算して返信を打っていると、ポンポンとメッセージと写真が画面に追加された。
――
観察するよう助言をくれた、功労者の新一くんです。
楽しげに笑う三人の写真。少し映り込んでいる指はおそらくマスターだ。
思わず足を止めて、小さく笑う。
「妬けるな
……
」
苦味の強いコーヒーを飲んでも、緩み切った表情筋はいうことを聞きそうになかった。
諦めて会議室へ歩く。節電のポスターが貼られた内廊下は夕方のように暗い。それでも足取りは軽かった。
会議室のドアの前で風見と鉢合わせた。なぜか風見は一瞬にして怪訝そうな顔をして、口を開いた。
「降谷さん、何かいいことありました?」
「ああ。
……
なんだと思う? 風見」
「ま、まさか」
風見が目を見開いたまま凍りつく横で、降谷はにこやかにドアを開けた。
その背は、迷いなく前を向いていた。
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