【#深淵覗きの断章】一等星たちは語りかける

アレフ=レーシュ編、第1作。
『思い出してしまった』残り火の子らを呼び寄せて、彼らは語る。
“最初の叛乱戦争”の数十年後に起きた、暗黒の災厄を。
彼らの愛し子、王の末路を。

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠
※大精霊同士・大精霊と星の子の関係に関する不穏描写が含まれます。

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作

 最初の叛乱戦争で将軍殿に討たれ、現世との繋がりを断たれてから長い時が過ぎた。
 大精霊同士の絆は引き裂かれ、堕落し荒廃していく王国の様子を見ることしかできぬ日々。怒りや憎しみよりも、「あの時、ああしていれば」という後悔が膨らむばかり。
 だがあの日、陛下のあの子の絶叫で、私の空間と現世が『無理やり』繋がった。
 世界の理を大きく歪める事態が起きていると、即座に気が付いた。

 思うに、アイツはこの国の為に何もかもを生贄にした結果、本当に神へ至っちまったのかもなぁ。
 だから、あの悲鳴で、断たれていた俺たちや技巧師殿は再び現世に繋げられ、他の大精霊と共に『強制的に呼び出された』のかもしれない。
 そうだろう、きょうだい。

 そうかもね、きょうだい。
 王国の変化を憂い、宙の意志メガバードに従い、ずっと昔に離反した渡し守殿も。
 あの戦の後、叛乱者を庇護し、再び預言が成就すると信じて光の蝶を育んだ造り手殿も。
 私たちと対立はしたけど、アイツと王国に忠義を尽くし続けた将軍殿と、宰相殿も。
 あの瞬間、王城に勢ぞろいしたんだから。

 そうして集った、儂らの目の前で。
 光と闇を宿した巨石は『砕ける闇』となって暴走し、陛下の身体と心と火も、千々に砕けてしもうたのじゃ。



 あの巨石は、神の座を欲した陛下が、己の神器として作り上げた代物。
 『渡りの光』に似せた偽りの光を放ち、数多の光の命を溜め込み、数多の闇の命を誘い狂わせておった。

 おそらくは、神器の『虚』の中で光と闇の均衡が崩れてしまったのでしょう。
 溜め込まれた命の輝きは、禍々しい赤へと変わり、大いなる光は、大いなる闇へ反転してしまいました。

 理想郷は『原罪』の地となり、陛下の影から生じた闇の嵐が、王国の全土を覆い尽くした。
 そして殆どの民は、時が経てば経つほど、陛下を……僕らの愛し子の事を忘れてしまったんだ。
 滅びの時代の混乱は、戦乱期以上に凄まじいものだった。

 私は、我が金の血で以て、双子殿と技巧師殿にかけた呪いを解いた。
 あの日の戦場で断ち切った彼らが、いつでも現世に降りられるように。
 陛下の為と思って手を穢し積み重ねてきた、己の愚行を償うために。

 憎み合っていた僕らは、再び手を取り合った。
 皆で災厄に挑み、あの嵐を止めて民を守るために。
 砕けたあの子の一部だけでも、連れ帰るために。

 けれど、わたくしたちが連れ帰ったあの子の一部は、救いを拒みました。
 虚ろな心で、「生まれるべきではなかったのだ」と言い残して。
 あの子の首は脆く崩れ去ったのです。

 残された我々は、どうにかして『砕ける闇』の暴走を止めようとした。
 一等星である我らでもあの石の扱いに長けた私や宰相殿でも、高濃度の闇には耐えきれず、この身を砕かれ断たれる間際に、闇の嵐と闇の噴出を抑える魔術を施すのが精一杯だった。
 嵐を抑えた後も、闇は各地に堕ちた欠片から溢れ続け、全てを穢した。

 輝きを失った民の魂は王国に取り残され、罪深きわたくしたちは現世から断ち切られてしまいました。
 使命の子ら星を紡ぐ子どもたちがこの王国に降り立ち、火を捧げてくれるまで、わたくしたちはずっと、各々の空間で微睡み続けていたのです。

 砕けた陛下の一部は、罰として闇の嵐の中心に囚われ、今も孤独に責苦を受け続けている。
 もう一部は宙の意志メガバードに持ち去られ、取り込まれた。
 それらは、お前たち星の子らの礎となり、業となったのだ。

 中でも、あなた方のような『残り火』の子らは、より多くのものをあの子から引き継いでいるのですよ。
 懐かしく、愛おしい輝きを。

 さあ、わたくしたちの愛し子、アレフ=レーシュの残り火たちよ。
 アレフの思い出が蘇った今、あなた方は王冠を望みますか? それとも……