【可惜夜廻】

『「すみません、よくわかりません。」』
現行未通過×
夜廻パロ/まとめ読み版



ドンッ
カンジは自分がソウゲツに突き飛ばされたことに、一拍遅れて気が付く。ああ、やっと諦めてくれた。そう歓喜したのもつかの間、彼の瞳がまた何かの決意で煌めいていることを知る。何をするつもりなのかと問う間もなく、ソウゲツは口を開き微笑む。


「愛してるぞ、カンジ。オレはずっと、オマエだけを想ってる」


それだけを一方的に告げて、ソウゲツは自身の右腕にひょうたん水筒の中身をぶち撒ける。バシャバシャと撒いた酒は、彼の右腕を容赦無く濡らしていく。溢れた液体は地面を湿らせ、そして大地に染み込んでいく。

酒に濡れた右腕を掲げ、ソウゲツは獣に向かって宣告する。獣にとって待ちわびた祝詞で、カンジにとって有り得てほしくない呪言。カンジは必死に止めようと、立ち上がり駆け出す。しかし、間に合わない。口を塞げない、庇うことができない、彼を止めるには何もかもが僅かに足りない。




「〈アマイヌさま〉!! これが今夜の捧げ物だ!!」




星が見下す禁忌の大地に、鮮やかな赤色が散った。