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RonpaDearB



:)2章
コロシアイってそんなに嫌なことなんですか?

あ、そーですか。でも動かないとみんな本当に死んじゃうよ!

___って結構優しいから、みんなに人を傷つける勇気をあげるね。

―――――

どうも変な病が蔓延していることに気がついたのは、大半の様子がおかしくなった後だった。

空気感染する、精神に異常をきたす病。蠅だけは知らん顔をしているが、このままでは全員がこのおかしな病に侵されるであろうことは目に見えていた。

風野「おいおい、俺は元気なんだよ~!どんくらい?って言うとさ 壁ぶち抜いて外に出れるくらい!」
服部「壁に向かってただただ突進していく人の何処が元気だって言うんですか、出口は私が代わりに探しますから……きみは、今はどうか休んでいてくださいね」

三郎は出口を求めて手当り次第に突進している。口調はいつもと変わらないが、何か焦っているかのようだった。
元々一番ここから脱するために頑張っていた節があるのだが、謎の病のせいでそれが加速している。

閻舞はひとつ息をついた。今のところ歯止めが利かないような症状を見せているのは三郎だけであるが。
性格を変える病が本当だったとして、「殺人衝動にさいなまれる」ように変えられてしまう可能性だってあるのだ。

そうなれば、待ち受けているのは地獄だろう。

オパール「:) 大丈夫?」

オパールが閻舞の顔を覗き込んでいる。未だ謎多きこの子だって、もしかしたら臥せってしまうかも。
それは嫌だった。閻舞はなんとか大丈夫だと返して立ち上がる。
閻舞の様子を確認すると、オパールはぴょんと飛び出していった。

曇天はウイルスの脅威におびえつつも、いつにもまして端っこで丸まっていた。
もう二度と布団から自分がはみ出さないようにしなければ。天照くんがいなくなったのは、自分のせいにほかならないのだから。

わけわかんない病気が流行り始めたのだって、きっと自分のせいなのだ。そうに決まってる。
幸せのばちがあたった。もう調子に乗らないから許してくれ、と誰かに祈りつつ、さらにさらに縮こまる。

そうしていると、近くに人の気配を感じた。
めろだ。まだ元気?と問いかけてくる彼女に曇天は頷いた。

恋茨「じゃあ少し手伝ってくれない?看病したいのだけど、手が足りてなくって」
曇天「え、でも……行っても事態を悪化させちゃうだけな気がしてるんですけど」
恋茨「……助けてくれないの?」

ああ、なんかずるい言い方されてる気もするけど。ここで断って悲しそうな顔でも見たら、いよいよ罪悪感に押しつぶされて死んじゃいそうだ。
曇天は少し迷った後に、手を貸すことを承諾した。

――――

アダムは落ち込んでいた。これ以上に無いくらい。
なにせゆりかにおびえられ、拒絶されたからだ。

仙道『……さ、さわんないで!アタシ、今 アンタのことがすごく……怖いんだよ……

彼女の手は、体は震えていた。あからさまな恐怖の色を浮かべてこちらを見るゆりかに、アダムは優しくできなくなりそうで離れてしまった。

病気……あの機械音声が絶望病と呼んでいたそれのせいだということは分かっていた。自分をあんな目で見たのだって、彼女の本心からくる行動ではないことだということを頭では理解できているのに。
心はそうもいかない。ずっとざわめいている。

様子を見に行こう。それで、とびきり優しくして彼女が治るように尽力しよう。
そんなことを考えながら、アダムは彼女の部屋の扉をたたいた。

返事はない。それに、鍵もかかっていない。

……ゆりか?」

彼女は揺れていた。
もう、暖かなまなざしを向けてくれることもないであろうと。

アダムは一目でわかってしまった。

――――

言えなかったことがあるんだ。何度も言おう言おうと考えて、それでも踏ん切りがつかなくって。
もっと勇気があれば、多分全部話せてたんだと思う。けど、アタシにはできなかった。

家族のお墓を守っていること。そこに眠るその人たちが、全員悪人なこと。
それから。

家族が何か、わからないこと。

だからさ、嬉しかったんだよ。アンタが家族になりたいって言ってくれて。
顔も形もわからない、想像の中にしかいなかった“家族”がアンタのおかげでやっとわかった気がするんだ。

幸せでいてほしくて、そばにいてほしくって。だからこそ、これを話したら離れて行っちゃうんじゃないかって思って。

……ごめん。あれ、なんだっけ。

どうしよう。今、アンタのことがすごく怖くて仕方がない。

【2章シロ】仙道ゆりか

――――

暑灘「はあ!!?なんで蠅が犯人扱いされなきゃいけないはえか!?」

蠅は怒りを顕にしている。あからさまな敵意を向けてくるアダムを筆頭に、数人からクロだと言われたのだから当然だ。

ほとんど全員が病気で動けなくなっていた中、唯一無事だったのだ。真っ先に疑われるのは仕方がない……だなんて割り切れない!
決定的な証拠も見つからず、元気だったからとかいう意味わかんない理由でクロだと決めつけられるだなんて!

そんなこと、あっていいはずない!

空「だが……犯人ではないという証拠もないだろう」

空は視線を落とした。目撃証言もなく、犯人につながるような証拠もない。
わかっているのは、ゆりかが抵抗もせずにおとなしく殺されていたことくらい。

そんなことがあるのか、と思う。死ぬのが怖い人間なんていないはずだ。
けれどゆりかは絶望病に罹患していたらしい。犯人はそこに付け込んだのかもしれない。

まだ結論を出すには早すぎる。
だと言うのに、どうして。

投票の結果は、蠅がクロであると示している。

《ざんねーん!》

《不正解 です!》

夜真「は……?不正解って」

どうすんだよ、と夜真はつぶやいた。正解できなかったときの説明は曖昧にしか聞いていなかった。
裁判を勝ち抜けば生きられる。罪が暴かれたクロはオシオキを受ける。聞いていたのはそれだけだ。

まさか、とんでもないことが起こるのではないかと夜真は想像してしまった。
一番最悪なのは、ここでクロ以外の人物が全員命を落とすことだろう。

機械音声はけらけらと笑っている。

《じゃあ、見事勝ち抜いたクロにどうしたいか聞いてみましょう》
《自分だけ外の世界に行くか それともまだ皆様と一緒にここにいるか》

《風野三郎くん 答えてくださいよ!》

――――

世界の広さを見てみたかった。その全部を知ってみたかった!

俺が生きていられる時間は、どうも他の人よりも短いらしい。
それなら少しでも時間を無駄にしないようにって、飛び出してきたんだ。

死ぬことなんて、この息苦しさなんて、少しも怖くない。
怖がることがあるとするならば、外の世界の景色を見れなくなったその時だけだろう。

あー。だから。ここに来てからは多分、ずっと怖かったんだと思う。

だって、わけわかんねー場所に連れてこられたと思ったら閉じ込められたまんまなんだぜ!
俺次いつ外に出れんだろうとか、ずっとずっとずっと、考えてた。

悪いことしたって思ってるよ、でも、あいつも怖がってた。
だから、手を貸した。俺もそれで助かったんだけどさ!

……ごめん。俺、やっぱり。お前らのこと置いていくとしても……外に出たいんだ。

ひと足さきに、失礼する、ぜ…………

【2章クロ】風野三郎

――――

三郎は口からごぽごぽと血の塊を吐き出して、倒れ伏している。
気管支に血が入り込んでいるからか、苦しそうに咳をして。酸素を求めるようにはくはくと口を動かしている。

閻舞が必死に三郎の名を呼ぶも、彼の目に写るのはここではないどこかだった。
ああ残念!せっかくまた旅に出るチャンスだったのに!と機械音があざ笑う。

《もうちょっとだったのに 無茶なんてするから!》

《元々寿命が短〜いところに 絶望病にもかかってたんだもんね!》

可哀想だなあ、と機械音は続けている。やけに感情が込められているようなそれは、ひどく精神を逆なでするものだった。

三郎の目から光が失われていく。痙攣が小さくなっていき、苦しそうだった息の音ももう聞こえない。
骸と化した三郎を呼び戻すかのような必死な閻舞の声を背に、機械音声は続けている。

《あー イレギュラーの発生だ 困ってしまいましたね》

《でも大丈夫!___は応用のきく機械なんです!》

ジョークを言うかのような軽やかな口調だ。
表情が見えたならば、笑顔であろうことは間違いない。

《だからね》

《サプラーイズ!なんてね!》

【負傷】暑灘蠅

暑灘「あっ、い、……いや、いやだ!いた、痛い 痛い!」

蠅はパニックになりながら顔を覆い隠そうとしている。加工されていない蠅本人の声で、痛い痛いと泣いている。

せっかくだからオシオキの代わりに、プレゼントしてみちゃった!
なんか被ってて息苦しそうだったから___からの贈り物だよ、だなんて。機械音は嬉しそうだ。

もはや地獄とも言えるその様相を祝福するかのように、音楽が降り注いでいる。

:)おたんじょうびおめでとう!ゆりかちゃん、三郎くん!

:)それから、はじめまして!████くん!

《そろそろみんなのこと、もっともっと知りたくなってきたんじゃない?》

《あの子の秘密、教えちゃいましょう!》