キリカ
2022-06-22 21:39:12
9980文字
Public しんご
 

アオ主140文字のお題のやつ

書いたら纏めていくよ(ง ˘ω˘ )ว
文字数に余裕がないので多分字下げなしになります


『さかなだって、こいをする』

「気になるの、水族館」
看板に留められた視線に気付いて、声を掛けた。
「今度一緒に行く?」
金の光がこちらと看板を行き来して。
「君がそう言うのなら……いや」
言い掛けた言葉を訂正する。
「私も共に行っていいだろうか」
「勿論」
水中をゆっくり泳ぐ魚のように、少しずつ、少しずつ。
(2022.08.04)

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『別れてください』

人や悪魔に関わらず、様々な考えを持つ者たちに出会ってきた。
少年を己の知恵にしようと狙う者たちもいた。
そうして今、心の内を鑑みる。
アオガミはベテルの……天津神の許にある存在で、今の自分が傍にいていいのかと。
この手を離すべきなのか。

無理だ。
そんな提案、出来る筈がない。
(2022.08.05)

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『世界の終わりは、幸せで』

「どうして合一を解いたの」
燻る煙のように赤が散っていく。
神造魔人の命の色が。
瀕死から合一解除の後、相打ち。
「あの時のように、君を失いたくなかった」
廃墟の間を吹いていた風の残響も消え、周囲は酷く静かだ。
不思議と心も穏やかだった。
少年は残骸になりゆく半身を抱き締めた。
(2022.08.06)

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『はじめまして、を繰り返す』

砂の世界に飛来した光。
死にたくなければ己の手を取れと、差し伸べられた白銀。
非日常の光景を、なぜだか知っているような気がする。
この人、こんな風にほんのり笑っていたかな?
生き残っている悪魔たちの存在や恐怖は、吹き飛んでいた。
でも、何だっていい。
『また』一緒にいられるなら。
(2022.08.07)

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『しんでるにんげんなんか、こわくないさ』

「僕以外にもダアトに迷い込んで死んじゃった人とかいるのかなぁ」
呟いた直後、廊下の遠くの方から物音がしてアオガミに飛びついた。
暫く後、羞恥心とばつの悪さが湧いてくる。
ナホビノの時はこんなの平気なのに。
その時、背中にぽんと手が触れた。
「もう少しこうしていよう」
「うん……
(2022.08.08)

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『心臓が痛い』

「アオガミ、大丈夫?」
「特に問題はない」
「ううん。身体の方じゃなくて、こっちのこと」
首を振って、少年は神造魔人の胸に小さな掌を当てる。
そこに自分と同じものがあるのだと伝えるように。
意識が向くと、どうしてだろう。
胸が熱と痛みを持っているように感じる。
不具合だろうか?
(2022.08.09)

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『縁があったら、また明日』

後ろ髪を引かれながらの帰り道。
ダアトに迷い込んでやっとのことで帰って来たら、今ある東京は作られたものだったなんて言われて。
なのに、気になるのはメンテナンスがあるからと別れた半身のことばかり。
次に会えるのはいつになるだろうと考えてしまう。
明日、何が起こるかなんて知らずに。
(2022.08.10)

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『覚えてもいないくせに』

ぎゅっとして、と言うと逞しい腕に包み込まれる。
「あったかいね」
「君が心地よく感じられるであろう温度にしてみたのだが」
変えた方がいいだろうかと聞かれ首を振った。
覚えている筈がないのに、繰り返す度に触れ合いを求めてしまう。
温もりに埋もれて、ずっとこうしていられたらいいのに。
(2022.08.11)

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『終わりのない夜』

横たわる身を覆う気怠さが、なんだか心地よい。
満たされた後の余韻が、今も深いところに残っているようで。
目の前にある胸に走る赤い紋様を、指でなぞって頬を押し当てた。
窓の外は闇に沈み、まるで自分たちしか存在していないように静かだ。
もし叶うなら、このまま夜が明けないでいて欲しい。
(2022.08.12)

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『逃がさないでね、僕のこと』

「私にとって、君は唯一の存在だ。だが、君が他に生命として相応しい者を見出したならば……
一本、立てた人差し指で、少年は彼の言葉を遮る。
「ダメだよ」
僕の半身は、アオガミの他に考えられない。
考えたくもない。
「だから、手を離さないで」
絶対に逃しちゃダメだよと、強く見詰めた。
(2022.08.14)