榎本奏江
2025-04-04 04:56:15
13727文字
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【実さに】引き寄せ合う運命力【現パロ】

Twitter(X)のサークル機能で書き殴った現パロ実さにのまとめ。
最初だけ書き下ろしで、後は簡単にまとめただけ。


〇風邪を引いた恭香の話〇
恭香が風邪をひいて、実休の元に勉強のお休みの連絡が入った。
心配する実休に恭香は「大丈夫」と返すが、その後何度連絡しても返事や返信等がなくて心配になった実休は恭香の家に行く。
家のドアを開けてもらうと、フラフラになった恭香が実休の胸元に倒れ込んできた。

「全然大丈夫じゃないね。どうして「大丈夫」だなんて言ったのかな?君のお母さんたちは?」
「お父さんも……お母さんも……今週ずっといないの……迷惑かけられないもん……お薬飲んで、寝ていれば大丈夫だよ……
「駄目だよ。今から病院に行こう。僕が連れってあげるから」
「でも……
「でも、じゃないよ。受験で大切な時期だ。しっかり治さないと。風邪を馬鹿にしてはいけないよ?」
「ごめんなさい
「大丈夫だよ、謝らないで。よく、独りで頑張ったね。もう大丈夫だよ。ね?」
「はい……



「長船さん、ありがとうございました」
「お薬もちゃんともらえたし、よかったね」

「ごめんね。僕は光忠みたいに料理が上手な方じゃないから、買ったものだけど、食べて」
「ありがとうございます。でも、どうして来てくれたんですか?」
「連絡したのに返信がなかったから心配だったんだ。まさか、君のご両親が居ないとは思ってもいなかったけど、来て正解だったね」
「迷惑かけてしまってすみません……
「迷惑だなんて思ってないよ。それに、僕は薬剤師の卵だ。こういう人の変化には敏感でいなくちゃらなないからね」
「ふふ、そうでしたね」
「ご飯食べたら少し横になった方がいいよ。寝るのが一番だからね」
「はい……
「もう少し、居るから大丈夫だよ」
「でも……
「片づけ、しなきゃいけないからね」

「よく眠ってる。これで明日にはよくなればいいのだけれど……
「おかあ……さん、」
「恭香ちゃん……?」
「いて?どこにも……おかあさん……
「そうか、君はずっと……。大丈夫だよ、僕が居るから」
「おさ……船、さん?」
「ごめん、起こしちゃったかな?」
「(首を横に振る)かえら……ないで、独りは……いや、です……
「恭香ちゃん……?」
「ずっと……一人でいて、なにも……めいわく、かけたくなくて、本当はっ、いいこで……いなきゃ、いけないのに……ごめんなさい、ごめっ、な、さい……でも、でも……
「そうだね。風邪をひいたときは心細いよね。分かるよ。大丈夫。今日は僕が一緒に居るから、寂しくないよ。大丈夫」
「ごめん、なさい……ごめっ、んな……さい……
「謝らないで。大丈夫。ゆっくり休もう。ね?」
「うっ……ゎああああ……んっ……!」
(僕も両親が忙しくていないことが多かったけれど、いつも正則や光忠が居て独りではなかったな。でも、君はいつも独りで、両親に心配や迷惑かけないようにずっとこの寂しさを我慢していたんだね)
「今日は僕が居るから大丈夫だよ。だから、泣かないで。大丈夫だよ」

泣きつかれて眠っている恭香の前髪をそっと指で払う。
左手は恭香の右手を握ったまま。
(本当に、子供みたいに小さい手だな。熱は引いてきたみたいだけれど、まだ熱いね)
「僕は……この子とどうなりたいのだろう?僕は、君を――、」
独りにさせたくない?
側にいさせてあげたい?
それはどうしてだろう?
同情というやつなのかな?
そうじゃない。
変な奴に絡まれていたから?
それの延長線上?
それも違う。
では、なんでだろう?
他の女性(ひと)だったら何にも感じないのに、どうして君だとほっとけなく感じてしまうのだろう。
年下の女の子だから?
妹みたいだから?
本来なら、そういう感情なんだろうけれど、それも違う気がするんだ。
ならば、どうして……

「はあ……この感情に気づきたくなかったなあ……。ずっと、妹みたいな感覚で見ていたかったのに……
きっと、この感情は間違えているんだ。
何かの間違いだと思いたいのに、こんな風に護りたくなるのは、側にいてあげたくなるのはその範疇を超えているんだ。
「好きだよ、恭香。気づきたくなかったなあ……
これは、僕が君を一人の女性(ひと)として君の側に居たいと思ってしまったんだ。
6歳も年下なのに、君はまだ高校生なのに……
「君を追っていた彼らと僕は……変わらないね」
でも、愛おしいと気付いてしまったんだ。
君をこんなにも愛おしくて仕方ない。
本当ならこの気持ちに気づいた時点で距離を置いた方がいいのかもしれない。
でも、君の受験が終わるまでは勉強を教えることを約束してしまった。
「どこまで、我慢できるかな。せてめ、君が大人になるまでは、隠しておかないと」

(結局朝まで居てしまった……!)
一応、一緒に居ると言ったから勝手に帰るわけにもいかないよね。それに、恭香ちゃんに朝ごはん何か作ってあげないと……
「僕にできるかな……?」

なんだか私、昨日の夜凄いこと言っちゃった気がする。
さすがにいないよね。帰っちゃったよね。
って、待って?凄く焦げ臭いにおいがする……火事!?
昨日、火をかけたまま寝ちゃったっけ?ん?そしたら今頃、このぐらいじゃ済まないよね?なんで?
「あ、おはよう。恭香ちゃん。ごめん、君に朝ごはん作ってあげようと思って勝手に台所借りたんだけど、失敗しちゃった……
「じっ、実休さん焦げてます!焦げてますよ!もう、私がやりますから離れててください!」
「ご、ごめん……
「もうっ!……でも、ありがとうございます。本当に朝まで一緒に居てくれたんですね」
「あんな風にお願いされてほっとけるほど冷たくはないよ?」
「恥ずかしい限りです、本当に色々迷惑かけてごめんなさい……
「そういうのは、ごめんなさいじゃないと思うけどな」
「ありがとうございます」
「どういたしまして。すっかり元気になったみたいで良かったよ。安心した」
「おかげさまですっかり元気です!今、ご飯作りますので座っててくださいね!」
「やっぱり、君は笑顔が似合うね」
「えっ?」
「ねえ、さっき僕のことなんて呼んでくれたの?」
「えっ?あっ……ごめんなさいっ!つ、つい……
「いいんだよ。僕もそっちの方が嬉しいから、これからは名前で呼んでほしいな」
「いいんですか?」
「もちろん。僕も最近は君のこと下の名前で呼んでいたからね。おあいこだよ」
「そしたら、わかりました。実休さん……
「ありがとう、恭香ちゃん」
「なっ、な、んだか……改めて言われると恥ずかしい……です」
「ふっ、そうかな?」
「あまり慣れていなくて」
「そうなんだ。クラスの友達とかには呼ばないのかい?」
「女の子には呼ぶけれど、男の子は名字の方が多いから」
「ふーん、そうなんだ」
「なんだか、実休さん……今日は様子が違いますね」
「そうかな?」
「何というか、いつもより親しみがあると言うか、近いと言うか……?明るい?」
「それは、君が元気になってくれて嬉しい、って言うことだよ」
「そうなんですか?」
「ああ、そうだよ」
「ふふっ、そうなんですね」
――ああ、愛おしいな。この笑顔を、誰よりも一番近くで見ていたい。