河童の皿箱
2025-04-02 09:15:02
14880文字
Public 旧作
 

Realiz E ation

娑楽斎とリブロマンサーのお話。



「待たせたな、エージェントいや、デス……ドゥーム……あー、エージェント」

「呼びづらいか」

「名前が多いんだよお前はまあ、それはいい。アンタんとこの坊ちゃんと話した時の事についてだ」

「その件については世話になった。彼も吹っ切れたようで、近頃はファイアともミスティガールとも以前のように接している。原因は分かったのか?」

「変身できなくなったのが重なったが、多分、ファイアとの関係の変化に悩んでいたみたいだな」

「関係の?」

「ずっと憧れていた相手と話して、そしたら案外普通。ついでに服やどこか足りてない常識の面倒を見てそれじゃあ憧れから感情が変わるのも十分考えられる。ただ、憧れの対象に憧れなくなってきた憧れ以外の感情を持った自分に驚いていて、じゃあ何の感情を持っているのかが分かってなかったっぽいぜ」

つまり、日常自体が不調の原因か?」

「多分な。あの年齢だとまだまだ多感な時期で、言葉も多くは知らない。表現だって慣れてないし、そのくせ頭の回転は早い思考に口が追いついてない。その上、まだ気づいてなさそうだが、あいつもサイキッカーだったしな。心に振り回されちまうのは、これからもあると思う。それに抗って立ち直るだけの力はあるから、俺たち大人にできるのは、それをひとりで抱え込まないようにサポートしてやることだ」

「やはり、彼もそうだったかそれにしても、サポートか。難しいな」

「まあなんだ。アンタがそれ苦手なのは知ってるから、その辺は俺がやるでもいい。絵でも踊りでも、あいつが表現をひとつ身につけたとき、どんなものを作るのか興味あるしな。ただひとつ、アンタには頼みたいことがある」

「こちらに?」

「金の面倒だけは見てやってくれ特にファイアの生活費な」

……すまない、それは盲点だった。こちらで解決する」

「ははあいつも勉強しようとしているみたいで、何かと入用だからな。と、もうひとつ。ファイアの方もかなり気張ってるな」

「ファイアも?」

「自分に好意を向けてくれる熱心なファンがずっといるだろ? そりゃ張り切っちまうよな。ただ、どうも力み過ぎている。あー、突っ走りがちっつーか、チームでの戦い方をまだよくわかってないように見えた。ミスティガールだっけ、お嬢ちゃんも坊主を逃がすので精いっぱいだったし」

そうだな。彼に関してはそこが課題だ。一度、演習でもするべきか……

「そこを考えるのはアンタの仕事だしな、俺からはこんなところだ。連絡取ってく中で伝えるべきことがあったらまた言うぜ」

「あぁ。今回は助かった。感謝する、シャラクサイ」

「おう」