河童の皿箱
2025-04-02 09:15:02
14880文字
Public 旧作
 

Realiz E ation

娑楽斎とリブロマンサーのお話。



 会場のバックヤードに通される。そこには、リブロマンサーのううん、僕と一緒に戦ってくれる大事な仲間たちが集まっていた。
 部屋に入ってすぐファイアが飛び出してきては、怪我はないかと僕を心配してくれた。何ともヒーローらしくない姿だ。でも、それでも、その姿だって大好きで。大丈夫だよと伝えれば、ほっとしたのかニヤッと笑って、心配かけさせんなよ、ミスティガールだってなぁ、と、彼女を振り向いた。
 あ、まずい。ムッとしてる。それもそうだ、彼女だって僕を守ろうと必死だったのに、肝心の僕が全部投げ出して逃げてしまったんだもの。頭を下げて謝る。そうしたら、怒っていた顔が徐々にしょんぼりとして、心配したんだよ、って。……胸が痛い。今はごめんなさいとしか言えない。それに、今日のこのイベントに誘ってくれたのは彼女だったのだから、埋め合わせを計画しないと。彼女の優しさに報いるためにも、今度は僕が誘うんだ。

 エージェントさんも合流していた。僕がシャラクサイさんに見つけられた時にはもう連絡が入っていたみたいで、それからは僕が戻ってくるのを待ちながら、会場の安全確認に参加していたらしい。今日のイベントは完全に中止。ここに来るまでにお客さんもほとんどが散開していたから、その言葉には実感があった。ヴィランの封印は問題なく終わり、安全も確認されたから、今回の事件は終息した、と。怪我人も被害者も居なかったみたいで、安心だ。結局、僕が逃げてしまったこと以外が良い結果に終わったのは、即興で力を貸してくれたP.U.N.K.の人たちのおかげだろう。

 シャラクサイさんから、イベントの中止でチケット代は払い戻しだって話もあった。この人も、外見からはイメージできないくらい真面目っていうか、優しいっていうか、なんというか。中止になったのだって、ヴィランのせいなのに。そういえば、あの青いドラゴンはシャラクサイさんが描いた絵だったのかな。あの渦巻く炎も、全部描いたのかな。
 描いた絵が実体化するそれってもしかして、すごい強いんじゃでも、こうしたイベントの計画とか忙しそうだし、ずっと協力してほしい、なんて言えないし。

 壁に掛けられた時計が、さらに深まる夜の一歩手前を指し示している。今日は帰りが遅くなることは言ってあるけど、これ以上遅くなると父さんも母さんも僕の家族だけじゃない、彼女の家族も。エージェントさんとシャラクサイさんの提案で、僕たちは全員で連絡先を交換して、今日はこれでさようならすることになった。もっと話していたかったけど、連絡先にメールをすれば遅くはなるかもしれないけどちゃんと返す、と、シャラクサイさんは言ってくれた。

 腐らずに。明日から、また頑張ろう。