河童の皿箱
2025-04-02 09:15:02
14880文字
Public 旧作
 

Realiz E ation

娑楽斎とリブロマンサーのお話。



 事の始まりは、クラスメイトの女の子に、とあるイベントへのお出かけを誘われたことだった。彼女はチケットを自分の分、僕の分、そして現実世界へ飛び出してきたヒーローの分と、3枚も購入して、僕たちを誘ってくれたのだ。それを無下に断る気にはなれなかったし、そもそもそのチケットも僕たちからすれば結構高いものだったし。結局タダで受け取るなんて気が引けてしまって、相談したうえで、チケットの料金の合計の半分を渡し、チケットを受け取った。

 チケットには、『伝統と先進技術の融合、数々の芸能のシンクロ』と言った触れ込みと、『P.U.N.K.』というグループ名が書かれていた。チケット自体も、黒地に色鮮やかなネオンのような、花の形の装飾が満遍なく施されていて、一体どんなグループなのか。
 調べてみれば、イラストレーターと、ダンサーと、ミュージシャンと、パペッティアの4人ユニットなのだと。これで、一体どんなパフォーマンスをするのだろうと、調べようとしてそこで検索をやめた。せっかく初めて見に行くのだから、それはお楽しみということでとっておこう、と。

 グループの名前、それぞれのメンバーの名前と顔だけ覚えて、イベントの当日。僕とヒーロー――ファイアは、誘ってくれたその子と、駅で合流し電車に乗って、会場へと向かう。到着した先。海に近いその野外会場では、大混雑が起きていて、入場行列での整理が行われていた。その瞬間に、このグループがいかに人気を博しているのかを直感した。彼女の話では、出身国ではものすごく支持されているんだ、って。

 チケットに描かれた座席番号をスタッフに見せて、指示通りに並ぶ。あれだけ人が居たのに、入場はスムーズに進み、指定席に着席。そして、いよいよ開演時間が近づけば、会場の照明が徐々に落ちて月明りと、遠くの建物の明かりしか見えない暗闇に包まれた。