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豆炭々炬燵
16057文字
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モアナと伝説の海シリーズ
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【現パロ含む】同じ轍を踏む【マウモア】
モア海2の世界観で分かっていた筈なのに張り切り過ぎて空回る半神半人の英雄・マウイを見返そうとしたら失敗してしまったモアナ・こっそり付き合っている二人・現パロモア海2で幼馴染モアナモニロトの学校生活とタマトアのルーティン話詰め合わせセット話。
ノリと勢いでどうぞ。独自解釈捏造要素有。
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【現パロ】タイプ相性
ふかふかであったかい綿雲の中で身を丸めていた思考の隅、朧げな輪郭をたどって淡く白んだ揺らめく世界に目を凝らして、低く耳触りのいい聞き慣れた声と大きくて安心する人肌の温もりに応えるため手を伸ばした。
『
……
、イ
…
』
だが、伸ばしたはずの手はベッドの上に置かれたままでぼんやりした意識が目覚めるのに合わせ夢だと独り言ちる。寝返りを打ち見上げた天井。伸ばしていた手を額に当て深く息を吐いた。
今日の予定は何だっけ、なんて半身を起こしたのを見計らったようにタイミングよく鳴る短い着信音。無機質な天井から視線を逸らさないで枕元をパタパタ。目当てのスマホを掴み明るくなったスマホ画面を覗き込んだ。
表示された端的且つシンプルなメッセージに寝起きの顔でふにゃりと笑い、ぐぐっと伸びをして気分を切り替える。
「彼が帰ってくる」
緩んでいた気持ちだけをベッドに寝かせ、閉め切っていたカーテンを開けたモアナは目を眇め眩い朝日に負けないくらいの笑顔を弾けさせた。
「なんか普段よりも増して嬉しそうじゃん」
「だって来月公開予定のアクション映画の撮影が終わったマウイが帰ってくるんだよ!」
「はぁ、あんたには聞いてないよモニ。あとナチュラル宣伝お疲れさん」
学生たちで賑わっている学食の一角。行儀悪く頬杖をつきウィンナーが刺さったフォークで気だるげにロトが向かい席に座っているはしゃぎにはしゃいでいるモニを差した。
軽く握った両手を顎下に添え口角が目元にくっ付く勢いで弧を描き頬を赤らめる仕草は今に始まったわけではない。ただ如何せん体格のいい男がうら若き乙女がするような反応にモニを知っている者たちは「またか」と横目で流し、彼をよく知らない生徒たちの奇異な視線が注がれるだけである。
そして、きゃいきゃいはしゃぐモニの隣に座っているモアナといえば、ランチのシーフードピラフを一口頬張るたび華やいだ気持ちを振りまき周囲の幸せ指数を上昇させていた。
期待の新人女優と名高いモアナの横を通り過ぎる生徒たちは、メディア媒体越しではない等身大の彼女に目を奪われ次々に──、美味しそうに頬張っているシーフードピラフを注文し舌鼓を打つ幸せスパイラルを形成していった。
周囲をぐるっと見渡すロトの目に映り込むシーフードピラフの群。其処彼処から上がる声は、久方振り学校に登校しているモアナではなくシーフードピラフへの称賛の声なのがまた平和なことこの上ない。
「シーフードピラフの売り上げ過去一じゃない?」
「おいしいものねっ」
自分が売り上げに貢献しているなんて露も知らないモアナにロトは小さく鼻で笑いパリっとした皮目の美味しいウィンナーを咀嚼する。
口の中に溢れる旨味たっぷりの肉汁が喉元を通過していき、お次の獲物はどれにしようかとフォークの切っ先で選ぶロトの視界端、スマホをはにかみ見ているモアナを朗らかな顔で眺めているモニに焦点を合わせた。
「僕が朝迎えに行ったとき、スキップで玄関から出てきて“マウイが帰ってくるんだ!”ってすぐ分かったよ」
「その光景を見たら私でも分かりそう。てか、まだ家に迎え行ってんだ?」
「うん、マウイから直々に。僕らが住んでいる地域の治安はいいけど、たまにスラム街──ラロタイからちょっかい出しに大食いの蟹が来るかもしれないって」
「あー、あのやたらセンス悪い貴金属塗れの」
ロトの脳裏に過るマウイよりか体の厚みは無いが背の高い如何にも悪い大人の典型的な風貌の男にパックジュースをズゾゾっと吸った。
顔を顰め椅子の背凭れに寄り掛かり四本足から二本足に進化した椅子をゆらゆら動かしてふと思う。
「言っちゃあなんだけど、あんたの腕っぷしじゃ敵わなくない?」
「それが不思議でさ。前にマウイのことについて語り合った日以来どうにも避けられてるみたいで」
僕としてはもっとマウイトークしたいよ。肩を落としてサラダをもそもそ口に運ぶモニにロトは察した。
「(同じマウイオタクでも推し方が正反対。で、その苦手意識をまんまと利用してるのか。やるじゃん大スター)ま、それはそれとして。今度モニが欲しがってたの作ってあげるよ」
「ほんとに!? マウイでしょモアナでしょ、僕にロトとそれからそれから
…
ッ」
「たんまたんま。まず試作品を作ってからね」
「なになに? 何の話?」
目の輝きを取り戻したモニが指折り数えるのを宥めるロトにシーフードピラフを食べ掛けていた手を止めモアナが興味津々に問い掛ける。
「ウチらのアイドルを守ってくれている功労者にちょっとした報酬を進呈しようって話」
「報酬
…
?」
八の字眉で首を傾げるモアナにロトは笑って誤魔化し、モニはモニで後日温めていた図案のデータをロトに送ったのだった。
早く会いたくて疼く心に急かされ居ても立っても居られず、緋色に染まる世界へ繰り出したのはつい今し方のこと。
途切れぬようテンポよく石畳の同じ色だけの上を歩き、ブティックのショーウインドーに飾られたマネキンと同じポーズを取っては、豊かな波打った髪を海までの通り抜け道から吹き抜ける風に靡かせた。
夕陽に染まった岸辺を歩きたくて、小走りになる寸前モアナの背中にとても可愛らしい声が掛けられた。踵を返し振り返れば、前にモデル雑誌で着ていた服に似た装いをしている少女が三人憧れと尊敬の眼差しでモアナを見詰めていた。
「ありがとう! サイン大事にするね!」
サイン色紙を大事そうに抱え破顔一笑する少女たちに目線を合わせ屈んでいたモアナもまた笑みを零した。
元気よく手を振り返っていく子供らを見送っていれば、一陣の風が彼女の髪の毛を遊び。
「モアナーズか、可愛いファン達だな」
待ち焦がれていた声に間髪置かず声がする方へ顔を向け。
「マウイッ!!」
照れ隠し一切なしで石畳を蹴り逞しい首に抱き着いたモアナをマウイは難なく受け止め抱きしめた。
体全身で喜びを表すだけじゃ到底足りない。どれだけ言葉にして伝えても伝えきれない。幸せの体温に浸りたい気持ちを何とかおさえ、腕の力を緩めたモアナの足先がゆっくり硬い石畳の感触を捉え程なくしてそれは足裏全体に広がった。
やおら視線を上げた先、夢の中で見たのと変わらない優しくあたたかな微笑みを浮かべるマウイにモアナはたまらず再び彼に抱き着き背中を撫でる大きな手の感触に目を瞑る。
久方振りの逢瀬。離れていた時間を埋めるように再会の喜びを分かち合い──、二人の熱烈で感動的な抱擁をうっとりとした表情で溜息を吐く歩行者やファンたちにマウイは流れるような所作でモアナを抱き上げ。
「こっからはプライベートだ」
水平線に沈む太陽を背に受けウィンクをキメた。
大スターの放つ輝きにある者は息をするのを忘れ、ある者はそのカリスマ性溢れる残光を瞼裏に焼き付けたまま二人から視線を外し、ある者は開いた口が塞がらずにただただモアナを大事に抱え歩き出すマウイの背中を呆然と立ち尽くし見送るのだった。
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