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ろころころ
2025-02-05 17:14:24
13742文字
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Code:000 小話まとめ
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*"兄弟"*
「よォ雑魚!俺様が来てやったぜ!崇め称えまつりやがれ!」
「
…………
はぁー
…………
」
非常に長いため息が出た。気弱で優柔不断なことに定評のあるアルバートがここまで憂鬱という感情を表に出すのは、随分と珍しいことであった。
身長、髪色、瞳の色、声
…
全てが自分そっくりなその男を、アルバートは直視することが出来なかった。唯一違うところがあるとすれば無駄に長い襟足と服装、そしてふてぶてしく不遜な態度ぐらいであろうか。その不敬極まりない男は応接室の椅子にふんぞり返って座っていた。
「よォ兄弟?この俺が会いに来てやったんだ。茶の5つや6つくらい出しても良いんだぜ?」
言ってることが思ったよりも普通な上に、そんなに飲むのかとアルバートは思った。とはいえ客人に茶を寄越すのは礼儀。仕方無しにアルバートはキッチンへ向かうと適当に茶葉をぶち込み、お茶のようなものを生み出すと男の目の前に差し出した。
男は、その妙に緑の濃い液体を特に気にする様子も無く下品に啜ると、意地の悪い笑みを浮かべた。
「で?お前、また
死のうと
したよなァ?ぎゃははははは!人間ってのはどいつもこいつも弱っちぃよなァ!」
と、男は机をバンバン叩いて下品な笑い声を上げる。
そう、いつもの自殺癖であった。アルバートは任務が上手くいかなかった時、疲れている時、精神的に参っている時に無意識に"死"に手を伸ばしてしまう癖がある。人目が多い今でも中々抜けず、たまに自殺未遂を起こしては同室のレオンには呆れられ、エステルやフレイムに怒られるといった始末。迷惑をかけていることも、実際に何の得も無いことももちろん理解しているため辞めたいとは思っているが、癖というのはそう簡単に辞めれるものでもなかったのだ。
そして今回も、任務で過去の出来事を思い出してしまったアルバートは
…
無意識に、ベランダから飛び降りたところ──────この男に捕まったのだった。
「人間が、じゃなくて弱いのは俺だよ
…
わかってる、弱いから辞められないだけ。癖って言うのも言い訳だって。わかってる
…
」
「ほーん?で?わかってるからあんだって?」
「
……………
」
意地の悪そうな笑みを浮かべていた男は、急に表情を失くす。空気が凍りついたように冷たい。
「死んだ奴らの為に?てめぇに夢を託されたから?そいつらの夢を叶えるために生きてる
…
だっけか?
……
ハッ!本当に笑えるよなァ!結局その責任とやらは果たせたのかよ?あぁ?」
男は嘲笑う。
「結局のところ、てめぇの言う
それ
なんぞ、てめぇが生きる意味とやらとして自分を納得させるために取ってつけてるだけだろ?別に誰も望んじゃあいない。願いを叶えて欲しいとも。最初から、誰もてめぇに期待なんぞしてねぇんだよ!ご愁傷様なこった!ぎゃはははは!」
「なんで
…
なんでお前がそう言い切れるんだ。なにも関係ない、見ていないお前が
…
!」
「あ?何も関係ない?見ていない?
…
本当にそう思うか?」
「な、何が言いたいんだよ
…
?」
アルバートは後退るが、男はじっとアルバートを見つめる。そしてしびれを切らしたかの様にハッと笑った。
「ま、精々何時死んでも後悔しねぇよーに生きるこった!雑魚人間!」
あばよ!ぎゃはははは!と男は下品な笑いを響かせながら消えた。
──────なんだったんだ。
ドッと疲れが押し寄せる。無駄に疲れたのでこのままお暇したいところであったが、最後の彼の言葉がどうも気がかりだった。
何も見ていない?本当にそう思うか?
(
…………
一体あいつは
…
)
アルバートはまだ知らない。彼の母、シルヴィア・スカーレットの自室に飾ってある家族写真。
そこには彼女と彼女の夫、息子のアルバート、そして──────アルバートによく似た顔の少年が映っていた。
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