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木蔦(キヅタ)
2021-02-28 21:52:06
8388文字
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閉所&暗所恐怖症のまんばの話【ちょぎくに】
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まんばは極。生意気。すぐ楯突いて来る。口論が絶えない。長義は正直まんばのことを邪魔なやつ、関わりたくないと思っていた。
ある日、遠征から帰宅した長義は資材を格納しに蔵へ向かう。遠征部隊のみんなはそれぞれ部屋に戻った。
蔵はちゃんと施錠がしてある。それを開けて中へ。資材を置こうとすると、人の気配。
「誰かいるのか?」
気配のする方へ行くと布の塊がある。蔵では見慣れない置物のため、目を凝らすとようやくそれがひとがただとわかる。
「なに
…
」
それに触れようとした瞬間がばりと襲いかかって来る。咄嗟に身構えたが、それは長義にぎゅっと抱きついた。
「!?」
良く見るとまんば。
「偽物くんか!驚かすな!」
まんばの様子がおかしい。
「偽物くん?」
「
……
っ」
長義の布を握る手が震えている。
「どうか、したのか?」
まんばの顔を覗き込むとボロボロと涙をこぼしていて、ぎょっとする。
「えっ!?えっ!?」
ぐすっと鼻を啜る音。まんばが長義を見上げる。縋るような眼差し。今までそんな表情見た事がない。生意気さなんてカケラもない、か弱く儚げ。
「怖い
……
」
しゃくりあげながらまんばがポツリと漏らす。こんなにくっついてるのに、聞き逃してしまいそうな細い声。
「怖い?何が?」
ぶんぶんまんばは顔を振るだけ。何も話さない。
長義は考える。この蔵は施錠してあった。まんばはここに閉じ込められていたのでは?いじめられてた?いやでもいじめられたら10倍にして返しそうな性格してるが。
それにしても様子が変だ。いつもと人が違うような印象。ぽろぽろ涙を流すまんばをつい見入ってしまう。
あまりのことに思わず手が伸びる。なでなで。ぐずる子どもを宥めるように、なでると落ち着いてきたようで、しゃくりあげる声が少なくなっていく。
「
………
」
「?」
完全に動かなくなったのを不思議に思って顔を覗き込む。まんばは真っ赤になって固まっていた。何とも言えない顔をして、ちらりと長義を見上げる。
「わ、忘れてくれ
……
!」
まんばは駆け出す。引き止める余地もなかった。
普段生意気のはずのまんばがあんな風に泣くのは信じられなかった。
その次の日、気になってまんばを観察していたが、いつもの態度。強気だし、挑戦的だし、ツンとしていて可愛げがない。
「おい、何見てるんだ」
不機嫌そうに話しかけて来る。やはり昨日のは幻では?と思う。ジャージ姿では布を纏っているとはいえ、昨日は自分を隠すように頭まですっぽり被っていた。もしや二振り目とかでは?と思うが、彼が罰が悪そうに長義に言ったことで、彼本人だとわかる。
「誰にも言ってないだろうな」
「え?」
「蔵でのことだ」
「あ、ああ」
あんなに大泣きしていたとわかると見聞が悪いと思ったんだろう。しかし寄りによって、長義に見られるとは運がないなと思う。長義としては弱みを握れた気分だったのでラッキー。
じっとまんばが見つめて来る。
「なにかな」
「頼む、誰にも言わないでほしい」
眉尻を下げ懇願するまんばに少しの昂揚を覚える。
まんばは屈辱そうに眉を顰めた後、走り去っていった。
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