河童の皿箱
2024-11-23 22:29:49
4518文字
Public 遊戯王:短め(2024年度)
 

もしも時間を遡れたのなら

キスキルリィラ→R-ACE→ダイノルフィア→M∀LICE→電脳堺→P.U.N.K.→クロノダイバー

 『もしも時間を遡れたのなら』。近頃、様々なネットワーク上を席巻している質問である。いったいどこの誰がここまで爆発的に流行らせたのか――それ自体に興味を抱く人間はあまりいなかったが、技術が進歩し続けようとも未だその領域には達していないが故、脳裏に浮かび上がる幻想と、動員される人々の数字に引き寄せられては、実に様々な人々がそれに答えていた。

 『もしも時間を遡れたのなら』。配信中、そんな質問を投げかけられる。「あー、それなんか流行ってるよねぇ」と、赤いほうが反応をしてみれば、「時間を遡れたら、ねぇー……んー」と青いほうが呟く。黒手袋の手元でピコピコ操作しているコントローラー、ボタンをひとつ押し間違えて、戦士をしていた赤い方が先に死ぬ。「んぎゃー!」と飛び出た絶叫に続いて、敵の波を押し返せなくなった魔法使いの青い方もまた死ぬ。画面上に表示されたゲームオーバー、見慣れた拠点マップに強制送還されては、「時間を遡れるのなら今遡りたいよ!」と。青い方はつい爆笑する。ふたりでようやく慣れてきたゲーム。宝箱からがっぽり稼いだ報酬が、全部全部チャラ。時間としても、そろそろ終わらなければならない時間だ。「絶対リベンジするから!」「それじゃあみんなぁ、高評価とチャンネル登録、よーろしーくねー」……。いつもの挨拶を終えて、配信終了ボタンを押す。
 「きっとレアで強いアイテムもあったはずなのにぃ! ううー、ごめんリィラ……」。カーテンも閉め切った真っ暗な部屋の中、ディスプレイの光だけがふたりを照らす。項垂れるその姿を見て、青いほうが両腕を広げれば、それに飛び込んでああだこうだと駄々をこねる赤い方。けれど、青い方はひっそりと。『もしかしたら、この時間に戻ってくるのかも』。