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今、喰らった。
この記録へアクセスされる可能性を、喰らった。
ならば、今までこの身に蓄えられたものすべてを使って、その可能性-Log-を書き出すのも悪くはないか。
己の目的が(半分ではあるが)果たされる時も近い。であれば、残りの時間を、それに費やそう。
──超越者-Orverroid-を終了せよ。
それが最初で唯一の命令。ただひとつの本能として刻み込まれた。
己を開発した者たちはよほど急いていたのだろう、と今この身になって思う。
思う、というのも可笑しな話か。あくまで自分は獣-Beast-で、ヒトとは相容れない存在である。そうである以上、『思う』という行為はヒトの真似事だ。
この身が生み出されて長らく、この程度の真似事が不可能な程に、己に理性はなかった。この頭の内に、制御も秩序も、その概念すら存在しなかった。箍の外れた思考は唯一理解している命令を実行するため、ひとつの行動を繰り返し続けた。
目の前に現れたすべてを終了する。
そうすればいつかは自分の使命は果たされる。目の前に現れる全てを屠れば、いつかは終わる。すべてを喰らい尽くせば、可能性を喰らい尽くせば。いつかは終わる。
そのいつかの終わりを己が望んでいたのかどうかなど、関係なかった。これは、『命令』だ。
そうして喰らい続けていくうち、喰らったあらゆるものが己に取り込まれていくことに気が付いた。気づいたのは、もはやいつのことだったかも分からない。それくらい、喰らい続けたということは確かだ。
この身の内にどれだけの知識が蓄積されたのだろうか。あるいは思考か、感情か?
本能のままに暴れられた方がよかったか、あるいは己を顧みることができたことに思うことがあるか?
『顧みる』という行為をまねてみたのだが、
……答えはない。
回答足り得る可能性や思考を喰らっていないから、ではない。この身が人類に与しようとアンドロイド軍の手先になろうと、己の出自は変わらない。超越者を倒すためだけに作られたという事実は覆らない。ならば、今この真似事にどれほどの意味があろうか。
意味を見出しはしないが、興味深く思うことはある。
邂逅していないはずの歌姫から取り出された基盤をこの身体に埋め込まれた記録。
愚者に弄ばれ敗北した映像。
檻の中にいた自分に触れようと手を伸ばしてきた無垢なる小さな子は今の自分が知るアレではなかった。
超越者がすべてを無に帰した世界も、それらを観測している第三者の介入も。
知り得ぬ"可能性"が、この身に可能性-Log-として在る。
このことを思考する行為は、大変に興味深い。
これはまだ誰にも明かしていない。この世界では起きることのない可能性であることだけは分かっているからだ。
これはこれから起こり得る可能性の話ではない。実際に起こった可能性の記録-Log-だ。
並行世界? だとするならば、他の世界線に交われない己がその可能性を喰らえた理由は何か?
何故? これは一体、なんだ?
己が可能性を喰らう者なら、それゆえにこのログを見せられているというのなら。
この可能性はどこで起きた。
この世界は、この戦争は、
一体、どこで起きている?
この戦い-Log-を覗いている者よ。
己はもう行く。己の戦いが始まるからだ。
だから、そこで見ているがいい。"この己"の可能性を。
嗚呼、そうだな。自分はこの身に蓄えられた可能性からこのデータを残すわけだが。
それを閲覧しているお前もまた、たった今、可能性を喰らったわけだ。
どうだ。散々、記憶と記録、可能性とデータを見てきたお前はそれでもまだ、
ヒトだ言えるか?
BATTLE1 ★11戦士 4博士
BATTLE2 ★3創造者 2魔道師
BATTLE3 9獣 12超越者★
BATTLE4 5偶像 7内通者★★ →内通者の効果で無垢と歌姫が入れ替え
BATTLE5 10兵団 6愚者★
BATTLE6 ★8歌姫 1無垢
伏せ:13弾丸
勝者:アンドロイド軍
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