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Hizuki
2024-11-02 22:05:48
11808文字
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あんスタ[零薫他]
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あんスタ過去ログまとめ[零薫・零敬]
【あんスタ】零薫・零敬。ついったに画像のみで上げたSSのテキスト版まとめ。
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『かわいい理由』(零薫)
「かわゆいのう〜」
でろでろに溶けたような甘い声が耳に届いた。声が聞こえた方向に、楽屋に向かい合わせに置かれているソファの、自分の対角線側に視線を向ける。声の主はもちろん零くんだ。同じくらい表情も溶けていて、その視線は手元の小さな白いものに向けられている。
零くんが手にしているのは『一緒に暮らすぬい』という、ESアイドル達をモデルにした手のひらほどの大きさのぬいぐるみだった。俺達UNDEADをモデルにしたものも先日発売になり、ファンの子達の嬉しそうな声がSNSに上がっているのを見た。そして、今日ここで会って早々に零くんが俺に見せてきたのは、そのぬいぐるみの俺がモデルになったもので、見せられた瞬間思わず固まってしまった。
世間的には、自分の相方のぬいぐるみを買うくらい仲が良い、と受け取られるのだろう。けれど、それに向けられているにしては、正直度が過ぎているような気がする。
「
…
ふ~ん、零くんはぬいぐるみの俺の方がかわいいんだ」
視界から零くんを外しながら、口をついて出た言葉には棘が混じった。今の姿を見ていると、夜闇の魔王はどこに行った、と言いたくなる。それ以前に、恋人である俺が今ここにいるのに、ぬいぐるみに夢中になっているのが面白くない。要は、俺自身を模したぬいぐるみに嫉妬している。
…
そんなことをしても仕方がないと分かっているのに。
「何を言うかと思えば
…
」
返ってきた声は普段の調子のもので。靴が床を鳴らす音が聞こえたかと思うと、ソファの座面が緩く沈んだ。俺の隣に来たらしい。振り向く途中で見えたさっきまで零くんがいたはずの場所には、熊の着ぐるみを着た俺のぬいぐるみがちょこんと座っていた。
「よいか、薫くんや。本物の薫くんがかわいいから、ぬいぐるみの薫くんもかわいいんじゃぞ」
…
表情と発言の不一致感が酷い。
真剣な顔と真面目な声で言うことがそれとは。こんな顔、最近見たことあったっけ。けれど、真っ直ぐに俺を見つめる紅い瞳は、言葉に嘘がないことを語っている。
「
…
あっそ」
途端に恥ずかしくなって、雑に返事をしてまた顔を逸らした。すると、頭に何かが触れた感じがして、それが緩く動かされる。
「くくく、やはり本物の薫くんが一番かわゆいのう
…
」
頭を撫でながら、さっきと同じ言葉を今度は俺に向ける。甘さの違う、とても満足そうな声で。気付かれないように小さく溜め息を吐いた。自分もつくづく単純だなと思う。『本物が一番』という零くんの言葉に、髪型が崩れる、と文句を言う気も削がれてしまった。
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