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Hizuki
2019-01-27 23:06:52
11906文字
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FF14
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Hope but Release
【FF14】エス光。平和になったエオルゼアを離れたヒカセンの話。捏造の塊+NPCではない名前ありのキャラの出番がそこそこあります。『Praise or Fear』の続き。1ページ目にリンクあります。全てを手放す覚悟を決めた。
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「こんな時間にどうした?」
テーブルの上でゆらりと揺らめくランプの炎に蒼いクリスタルが照らされている。
それを指先で転がしていると背中から声をかけられた。
声の主を誰かと問う必要はない。
心地良い穏やかな低音が彼であることの証明だった。
「
…
ちょっと眠れなくて」
魔物の群れを無事に討ち、夜には町全体を巻き込んだ大規模な宴が開かれた。
有志の善戦に加え、先に住人達を避難させていたおかげで、多少の怪我人はあれど被害はほとんど出ずに済んだ。
私とエスティニアンにいたっては共に魔物のリーダーを討ったこともあり、みんなから次々に感謝を告げられた。
くすぐったさと同時に蘇ってきたのは懐かしい記憶。
エオルゼアで『英雄』と呼ばれていた頃の話。
誰かを助けられたことが嬉しかった。
もちろん、自分一人ではどうにもできなかったこと、救えなかったものも多くある。
それでも自分の力が誰かのためになれることが嬉しかった頃。
「あんなに暴れたのは久し振りだったんだろう?」
エスティニアンの問いかけに頷く。
数体の魔物を相手にすることは時々あったものの、群れと遭遇することは久し振りだった。
加えて、その場にエスティニアンがいるともなればなおさら。
かつて互いに背中を預け、息を合わせて戦った相棒と、もう一度戦う日が来るなんて思いもしなかった。
「エスティニアンこそどうしたの?」
「
…
お前と同じだ」
「そっか」
そう言って私の向かい側の椅子を引いて腰を下ろした。
眠れないということなのだろうか。
互いに何かを口にすることはなく、テーブルの上でランプが揺れるだけ。
会話がなくとも居心地は悪くない。
行動を共にしている時に何度もあったことだった。
「昨日の話の続きなんだけど」
しばらくして、この場にいるのが2人だけなのを確認してから話を切り出した。
「
…
エスティニアンが待ってくれるなら、一緒に行こうと思う」
今日家に帰ってきてから、エスティニアンが来るまでずっと考えていたこと。
子供達との約束は町長も知っている。
一体いつになるのかは分からないけれど、約束を違えることはできない。
だからもしエスティニアンが待ってくれるのなら、一緒に行きたいと。
「何だ、そんなことか」
大したことじゃない、というようにエスティニアンが言う。
「そもそもお前を探してここまで来たんだ。いくらでも待つさ」
「
…
ありがとう」
「それまでどうするかは考えなければならんがな」
返ってきた返事にほっと息を吐く。
一人でエオルゼアを離れ、もう会うことはないと思っていた人とこうしてまた会うことができただけでも十分嬉しい。
そこにまだ先があるなんて、出てきた時には思いもしなかった。
その時が来るまで自分にできることをしなきゃと気を引き締める。
すると。
「オレ達は大丈夫だよ」
声が聞こえた方を振り返る。
子供達の部屋と続く廊下、そこに先に家に戻って眠りに就いていたはずのカイトが立っていた。
「エスティニアンさん、お姉さんを連れて行ってあげて」
「えっ?」
「近いうちに帰ってくるって、父さんから手紙が来てたんだ」
思わずエスティニアンと顔を見合わせる。
テーブルに置かれたカードには『子供達へ そろそろ帰る』とだけ書かれていた。
文面と筆跡から豪快な人なのだろうというイメージが湧いた。
「たまたまオレ達を助けてくれてここにいてくれたけど、お姉さんだって冒険者なんでしょ?もうこの町で知らないことなんてないと思う。だから」
今でこそ子供達との生活に慣れてしまっているけれど、ここに来てすぐの頃は周囲を見て回っては見つけたものを手帳に書き留めていた。
町の中も、森の中も、山の中も。
新しいものを見つければ、それが一体どんなものなのか知りたくなる。
そんな私の心の中を見透かすように告げる。
「エスティニアンさんともっと色んなもの見てきて、またオレ達に話聞かせてよ」
どうやら兄弟の中でもう話は決まっていたようで、翌日の朝食を済ませると3人にエスティニアンも伴って町長の家まで連れて行かれた。
カイトは町長に語る。
両親が戻ってくること、そして、冒険者の私をずっと引き止めてしまっていたから、エスティニアンと自由に旅してもらいたいと。
話を聞いた町長は深く頷き、これまで子供達と一緒にいてくれたこと、それ以外のことも合わせて感謝の言葉を告げる。
もう一度昨日の感謝を重ねられ、2人の旅の路銀にでも使ってほしいと言って渡された袋はずしりと重い。
最初は遠慮したものの、子供達に何かあった時のため、また助けてくれた者への謝礼として彼らの両親が町長に預けていったものだそうで、ありがたくその袋を受け取った。
そのまま帰りの足で、旅に必要な品をいくつか買い込んでから家に戻った。
元々最低限の荷物だけを持って旅に出た身、使わせてもらっていた部屋に盛大に片付けるものはない。
それどころか、そのままにしていっていいとまで言われて。
「またこの家にも帰ってきてくれるんでしょ?」
当然、と言わんばかりにカイトが言う。
ああ、そうだ。
また私の旅の話を待っていてくれるみんながいる。
そうして旅立つための準備が整ったのは、昼を過ぎた頃。
愛槍と元々持ってきた僅かな荷物を持ち、エスティニアンと並んで玄関に立った。
「ねえちゃん、ありがとう!」
「いつでも帰ってきてね!」
私をぎゅっと抱き締めて2人が言う。
両親が出かけることで慣れているのだろうか、子供達の顔は明るい。
ただ、表に出さない感情は手に込められている力が語っていた。
「エスティニアンさんもありがとうございました。オレ、絶対エオルゼアに行きますからね」
「ああ。頑張れよ、カイト」
エスティニアンがカイトの肩を軽く叩く。
その様はまるで兄弟のようにさえ見えた。
名残惜しいけれど、そろそろ行かなくちゃ。
「みんな、ありがとう!行ってきます!」
「いってらっしゃい!」
3人の声が重なる。
エオルゼアを離れた時とは違う、明るい旅立ち。
歩きながらみんなの姿が見えなくなるまで手を振った。
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