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Hizuki
2019-01-27 23:06:52
11906文字
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FF14
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Hope but Release
【FF14】エス光。平和になったエオルゼアを離れたヒカセンの話。捏造の塊+NPCではない名前ありのキャラの出番がそこそこあります。『Praise or Fear』の続き。1ページ目にリンクあります。全てを手放す覚悟を決めた。
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日の光に起こされたのは久し振りのような気がした。
普段よりも静かな朝、窓の外に鳥の声はない。
何か悪いことの前触れでなければいいけれど、と心配しながら身支度を整える。
部屋を出た瞬間に届いた香ばしい匂い。
「ほう、随分手馴れたものだな」
「お姉ちゃんが来るまではずっとお兄ちゃんが作ってくれてたからね!」
「にいちゃんのごはんもおいしいんだぜ!」
キッチンに向かえば、先に起きていたらしい子供達がエスティニアンを交えて朝食の準備をしてくれていた。
「おはよう。ごめんね、みんなありがとう」
「おはよう、お姉さん。今日はゆっくりだったね。もうすぐできるよ」
久し振りに食べた子供達が作ったご飯はおいしかった。
兄の手伝いをしたと、自慢げに語る2人の姿は微笑ましい。
その代わりに普段はみんなに任せている朝食の片付けを引き受ければ、エスティニアンもそれを手伝ってくれた。
そうして一息ついたのも束の間。
玄関の扉が激しく叩かれて表に出ると、行きつけの店の主が息を切らしてそこに立っていた。
「どうしたんですか一体?」
「魔物の群れが近くに来ているらしい!」
街近くの山で原木を加工していた木工師が情報を持ってきてくれたらしく、街の方では魔物への対応と住民の避難に追われているとのことで。
やはり昔からよくない勘というものは当たるようだ。
「皆、町長の家に集まっている
…
有志達で備えてはいるが、どうか手を貸してくれないか
…
!」
「分かりました。すぐに行きます」
「すまない、頼む
…
!」
子供達にも聞こえていたのだろう、心配そうな様子でこちらを見ていた。
そしてカイトが一歩踏み出して口を開く。
「オレ達も手伝いに行くよ」
「ありがとう。大人の指示には従うこと。あとくれぐれも無理はしないようにね」
「うん!」
子供達にもできることはある。
3人揃って店主と一緒に出て行くのを見送ると、急いで階段を上がり自分の部屋へ向かう。
エオルゼアで戦っていた時からずっと共にある槍。
握った感触は昔と変わらない。
手入れを欠かさなかった愛用の槍を手に取って、部屋を出る。
「エスティニアン、ごめん。ちょっと行ってくる
…
ってどうしたの?」
すると、何故か同じように槍を手にしたエスティニアンがいて。
「手を貸すぞ、相棒」
「えっ?」
「飯を食わせてもらったうえに、一晩泊めてもらったんだ。その分の働きくらいはするさ」
魔物の群れとはいうものの、どれくらいの規模なのかも分からない。
町の有志達も戦闘は本職ではない。
そんな中で確かな実力を持っていて、自分が信頼を置ける人物が手を貸してくれるという。
こんなにも心強いことはない。
「
…
ありがとう」
エスティニアンの申し出を受けて、2人揃って駆け出す。
懐かしい感覚がじんわりと広がっていく。
…
それはかつての遠い地で共に戦っていた時のような。
町長の家に着くと既に対策会議が始められていて、魔物を見かけた場所からどのように迎え撃つのかと議論が繰り広げられていた。
極力被害を出さないようにと全員で頭を捻るも、姿を見たという本人も恐怖のあまりすぐに戻ってきたらしく詳細は分からずじまいで、決定的な案には至らない。
さぁどうしようかと部屋に満ちる沈黙。
それを外から聞こえた悲鳴が切り裂いた。
反射的に外へ駆け出し、辺りを見回す。
狼が3頭、じりじりと迫ってきていた。
腰を抜かしている人の前に割って入り、唸り声を上げる狼を一閃。
残った2頭の遠吠えが周囲を揺らし、一気に騒がしくなる。
黙らせるようにもう1頭を討ち、残りを宙に舞った紅の槍が屠った。
「これは来るな」
「うん」
槍に付いた血を払い、エスティニアンと肩を並べる。
先程の遠吠えはもう魔物達の仲間の元に届いているだろう。
来るのは時間の問題で、対策をどうのと練っているほどの余裕はない。
それを全員が理解し、張り詰めた空気が流れ始める。
何かあった時に備えて複数人を一パーティにし、こちらに来る魔物をそれぞれ撃破するという方針が決まった。
そして私とエスティニアンは各個撃破しつつ、魔物達のリーダー格を探して討つ、と。
頭を落とさなければまた同じことが起きるだけ。
いつ戦端が開かれるか分からない中、ただその時を待つ。
「相棒、忘れ物だ」
周囲に目を凝らしていると、不意にエスティニアンから声をかけられる。
彼の方を振り返れば何かをこちらに投げられ、落とさないように慌ててそれを受け取った。
両手の中に収まった小さなもの。
そっと開くと、そこには蒼いクリスタルがあった。
「竜騎士の、ソウルクリスタル
…
」
真新しいものではなく、表面には細かい傷がたくさん付いていた。
それは、私が持っていた竜騎士の証たるもの。
「アルベリクから預かってきた。俺達が共に戦うのなら必要なものだろう?」
私が最後に竜騎士として戦ったのは、エオルゼアの命運を賭けた決戦の時。
隣には今と同じようにエスティニアンがいて。
あの戦いが終わったらエオルゼアから離れると決めていた。
エオルゼアのためにはすぐに終わらせなくてはならなくて。
だけど、このままずっとエスティニアンと共に戦っていたいとも思う自分がいて。
叶うことのない願いと、そして自分の決意。
もう共に戦うことがないなら、と本心を隠して師に託した。
まさかそれをもう一度自分が手にする日が来るなんて思いもしなかった。
「蒼の竜騎士の相棒はお前しかいないんだからな」
蒼の竜騎士。
久し振りに聞いた懐かしい名前に心が温かくなる。
「
…
いや、違うな」
自身が発した言葉をエスティニアンが否定した。
「俺の相棒はお前だけだ」
魔物の襲来を告げる声に、呼びかけた名前を飲み込む。
手元に戻ってきた竜騎士の証から力が流れ込んでくる。
久し振りの感覚であれども何も不安はなかった。
今はただ、迫り来る敵を倒すためにもう一度槍を握り直し、大地を蹴って飛び上がった。
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