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Hizuki
2018-09-16 10:09:31
11692文字
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FF14
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14ふせったーログ[エス光]
【FF14】エス光。ふせったーに上げていた分のSSまとめ。
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『蒼天の夜明け』
竜という存在はこんなにも長い時を生きているのかと、事ある度に実感する。
あの竜詩戦争の終結から数百年。
終戦の後、徐々に竜と人が再び手を取るようになった。
もう二度と同じ過ちを繰り返さないと、当時の教皇代理によって式典が執り行われ、竜族と国民に誓いが立てられた。
その瞬間を俺は上空から眺めていた。
背中にイシュガルドを救った英雄を乗せて。
邪竜ニーズヘッグに身体を乗っ取られ、親友や相棒の英雄達の手によって助け出されたものの、人として戻ることは叶わなかった。
人の身体を失った我が身の新たな寄り代となったのは、皮肉にも復讐のためにと追い続けた、邪竜の身体だった。
『助けるにはこれしか方法がなかった』と。
死さえ覚悟した中、命があっただけでも十分すぎる結果だった。
しかし、竜の姿で生活するには何かと問題が伴った。
ごく一部の者達に真実が伝わってはいるが、表向きに邪竜は英雄の手で討たれたということになっている。
身体が邪竜である以上、イシュガルドの国民達に要らぬ恐怖や騒動の火種を与えることにもなりかねない。
故郷にとも思ったが、後々復興の手が入ることも考えられ、結局元々奴がいたドラゴンズエアリーに身を落ち着かせることになった。
また、俺がここで生きていくにあたって不便にならないよう、真実を知る者達が支えてくれるとも。
約束通り、親友の指示によって結成された竜詩特務隊が定期的に俺の元を訪ねては最近の状況を伝えたり、問題を解消したりしてくれた。
その定期的な訪問以外に頻繁に姿を見せてくれたのは、俺を慕ってくれていた英雄だった。
旅をして訪れた時には厄介な頼みごとばかりを英雄に押し付ける疎ましい存在だったモーグリ族が時折顔を覗かせることもあった。
どうやらあいつが余計なことを吹き込んだらしい。
おかげで多少なりとも退屈はせずに済んだ訳だが。
…
時は過ぎる。
一人、また一人俺を知る者がいなくなっていく。
共に戦った仲間も。
共に旅をした仲間も。
親友を慕っていた騎士も。
親友も。
そして、恋人も。
冒険者を辞めたからここで暮らす、と言って、何やら大きな荷物を持ってあいつは現れた。
自分で簡素な家を作り、本当に生活を始めたあいつを見て、旅をしている時にも色々と作っていたな、と懐かしくなる。
歩んできた冒険譚に耳を傾け、その情景に思いを馳せる。
式典の日のように背中に乗せて空を舞う日があった。
時には竜詩特務隊の面々と楽しそうにしていることもあった。
生活を共にした日々は、今まで生きてきた中で一際輝いていた。
だが、その時も長くは続かない。
人と竜では生きられる時間が違いすぎる。
夜眠る時に身体を寄せてきて、普段は何も言わないあいつが、あえて言った。
『少し寝かせて』と。
どういう意味なのか、問うまでもなかった。
何かを感じ取ったのか、覗き込んだ俺の顔に手を伸ばす。
『大丈夫、また会えるから』
ゆっくりと瞳が伏せられ、寝息が聞こえてきた。
人であれば共に『眠る』ことも叶っただろう。
竜である以上、それは叶わない。
少しずつ伝わってくる熱が薄れていく中、身体を傷つけないようにそっと翼で包み込んだ。
寝顔は穏やかで、幸せそうだった。
また俺は残される側になってしまった。
前と違うのは、誰かに奪われた訳ではないということ。
今ではないにしろ、いつかはその時が訪れる。
あいつはここではないどこかでその時を迎えていたかもしれない。
誰かの口から伝えられることもなく、風の噂で聞くこともなく、自分の目でそれを見届けられたのは幸いだった。
「
…
ゆっくり、休めよ」
そう声をかけると、俺も目を閉じた。
夜はとうに明け、この場所を取り囲む暗い雲の隙間から薄日が差し始めていた。
数日後、違う人の気配を感じて目を覚ますと、竜詩特務隊の蒼いローブが目に入った。
どうやら祈りを捧げてくれているようだった。
陽の差し込み方から朝方だと分かる。
そんなにも眠っていたのかと、自分に驚いた。
俺が起きたことに気付いた隊員達が深く頭を下げた。
「頼みがある。
…
こいつを弔ってやってくれ」
すぐに、と短く返事を返すと、恐らく俺が寝ている間に来て状況を察してくれていたのか、粗方の準備が整っているようだった。
名が刻まれた石碑はあいつが築いた家の横に建てられた。
自分が死んだら俺のいる場所に碑を建てて欲しい、と伝えてあったようだ。
俺が見やすいようにと、普段作られる物より数倍大きな石碑になっていた。
身体はあいつが望んだ通り俺の炎で焼いた。
旅をして巡った場所に、死者の身体を焼き、その灰を縁のある場所に撒くという風習があったらしい。
もちろん、灰はドラゴンズエアリーを取り巻くドラヴァニアの雲海に撒かれた。
肌に触れる大気がほんのりと温かくなった、そんな気がした。
こうして、俺を慕い、同じように想いを寄せた最初で最後の恋人は永い眠りに就いた。
暗く長い夜が広がっていく。
ただ一つ、あいつが言った『また』という希望が一番星のように輝いていた。
月が満ち欠けを繰り返し、時は巡る。
もう何度目なのか記憶はなく、ただただ過ぎ行くばかり。
星の輝きは鈍らない。
周囲の騒がしさを感じて警戒するも、そんな時期かと思い当たり一人納得する。
数百年経った今も変わらず竜詩特務隊は俺の元を訪れている。
真実を知る者がどうというよりは、騎士団の中で頭一つ抜けた者が選抜されているように感じたこともあった。
事の結末を問いかけてみると、総じて全員が真実を知っている辺り、結成された時の信条は守られているようだった。
時を経て、石碑に刻まれた恋人の名は辛うじて読み取れる程度になっている。
そろそろ作り直してもらわねばならんか、そう思った瞬間、何故かゾクリと血が騒いだ。
血が騒ぐなど、ここ数百年感じたことがない。
不穏なことの前触れでなければいいが
…
、と空に視線を向けると足音が聞こえた。
コツリ、コツリ。
音が近付いてくる。
「
…
懐かしい」
発せられた言葉に驚いた。
今まで、一度たりともそんな言葉を聞いたことがない。
血の騒ぎが大きくなる。
「ここはそう簡単に変わらないか」
懐かしい声に思わず顔をそちらに向ける。
見慣れた蒼のローブの裾が風に揺れた。
「
…
おはよう、エスティニアン」
「
…
どれだけ待ったと思ってるんだ、寝ぼすけ」
「
…
ごめん、待たせすぎた」
少し寝る、から起きてきたつもりでいるらしい。
随分と長い少しだ。
背を示しあいつの身体を乗せると、目覚ましがてらドラヴァニアの空へ飛んだ。
久し振りに触れるあいつがとても愛おしく、懐かしかった。
人と竜。
きっと同じように二人を隔てる時が来るだろう。
その時はお前を見送り、また会える時を待とう。
それまでは、もう一度お前に出会えた今を生きよう。
星は太陽となり、暗く長い夜が明ける
―
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