Hizuki
2018-09-16 10:09:31
11692文字
Public FF14
 

14ふせったーログ[エス光]

【FF14】エス光。ふせったーに上げていた分のSSまとめ。




『願い事は何ですか?』


「エスティニアンも短冊もらった?」
「ああ」

店の上階、彼の向かい側の席に腰を下ろし、つい先程もらったそれを示す。
お盆の上には注文した料理の他にペンと長方形の紙が1枚。
私の方には赤いもの、エスティニアンの方には青いものが乗っていた。

「すごいよね、あの飾り」

東方の伝統行事、七夕。
笹を飾り付け、願いを書いた短冊を吊るす。
それはひんがしの国クガネでも行われていた。
クガネの入口の潮風亭では東方文化を伝える目的もあってか、利用客に短冊を配っていた。
店内の壁際には大きな笹が設置されていて、色紙で作られた飾りや客が書いた願い事が吊るされている。

「でも何も書いてないね。願い事、ないの?」
「急に願い事、って言われてもな

ふぅと息を吐きエスティニアンが短冊を手に取った。
短辺の片側には笹に結ぶための紙製の紐が付けられている。

「何かひとつくらいあるでしょ?」

いただきます、と手を合わせ食事に手を付ける。
元々エスティニアンはあまり欲があるような人ではない。
彼が自分の目的のためだけに走り続けてきたからこそ、そういったものが回りに現れてこなかったとも言える。
けれど目的が果たされた今なら、何かひとつくらいはあるはず。

少し前なら、ないこともなかったんだがな」
「どういうこと?」

思い当たるものを見つけたらしいエスティニアンが口を開いた。
口ぶりから何か願いがあったように思える。

「もう叶ったから書く必要もなくなった、ってことだ」
「叶った?」

食事の手を止め、そのまま聞き返す。


「お前に会いたいと思っていた」


私が内容を問うより早く、それを口にする。

「なっ!?」

思わず声が裏返った。
エスティニアンが、私に。
そんな私の様子を見ておかしそうに笑う。

「そういうお前は何を願う?」
「え、えーと

視線を彼から外し、宙に彷徨わせる。
会いたいと願っていたのは私も同じで。
私もそれを書くつもりでいて。
けれどここで偶然ばったり会って、こうして一緒に食事をして。

きっとエスティニアンはもう分かっているのだろう。
私の願いも叶っていることに。

「何か書くか?」

エスティニアンの問いかけに、私はただ俯いて首を横に振った。