Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
澄ひろえ
2021-06-18 21:03:23
14457文字
Public
Clear cache
大団円への道程は遠く
ククゼシ2人旅ツイート小説「カジノ護衛編」を加筆、修正した物です。 ログ見逃した人どうぞ。最終ページは後書きです。
1
2
3
4
5
6
さらに奥へ進むと、迷宮の構造がガラッと変わった。そこは今までの土と骨で出来た空間ではなく、人工的な石畳の広間になっている。
・・・そこにフォーグがいたわ。
正確に言えば、気を失い、ぐったりとしているフォーグと、涎を垂らしながら今にもそれに飛びかからんとする赤と青の魔物。
「お兄ちゃん・・・」
呆然とした声でユッケが言った。だけどすぐに腰に手をやって言う。
「ふ、ふん。いい気味ね。私達を出し抜いたりするからこんな目に遭うのよ。今謝るなら助けてあげなくもないけど?」
「・・・」
「ちょ、ちょっと、お兄ちゃん。答えなさいよ!」
だけどフォーグはぐったりとしたまま微動だにしない。その時、赤い魔物がフォーグ目掛けて拳を振り上げる。
「お兄ちゃん、危ない!」
止める暇も無かった。ユッケが魔物めがけて走り出した。
フォーグを庇うように魔物の一撃を受けたユッケは、吹き飛ばされて壁に叩き付けられ意識を失った。
「ユ、ユッケ・・・どうして」
ユッケが叩き付けられた時の音で意識を取り戻したらしいフォーグがユッケににじり寄る。
魔物達はじりじりと2人に迫っていく。・・・このままじゃまずいわ。私達で何とかしないと。私はククールを見た。
「大丈夫だ。今のあの2人なら仲直りできるぜ。ゼシカ」
ククールはそう言いながら呪文を唱えた。
「バギマ!」
真空の刃が魔物を襲う。倒すためでは無く、あくまで魔物達の注意をこちらに向けるためのもの。読み通り、魔物達は矛先をこちらに向けた。だけど、そこから予定外の事が起こったの。
魔物達は2匹同時にククールに襲いかかってきた。
「ぐあっ!」
2匹の攻撃を何発も同時に受けてククールは吹き飛ばされた。そのまま床を転がる。
「ククール!」
私はククールに駆け寄った。
「いっつ・・・2匹同時相手はきついなこれは」
自分にベホマを掛けながらククールは何とか立ち上がる。
こいつら・・・強い。
さっきのの攻撃もククールだから堪えられたけど、私が標的になったら・・・つっと冷たい物が背筋を走る。
「・・・ゼシカ、ラリホー頼む」
そう思ってた矢先、私にしか聞こえないくらいの小声でククールが言った。
「え?」
「片方でも寝かせられればこっちのもんだ。俺もやってみる」
そう言ってククールが取り出したのは・・・まどろみの剣?確か、眠りの呪文が込められた剣だったわね。
私は頷いて、呪文の構えをとった。
「ラリホー!」
私の呪文と同時にククールがまどろみの剣を振りかざした。
すると・・・赤い魔物のまぶたがトロンと落ちて・・・眠りについた。青い魔物はぎょっとしている。
「よっし。2対1ならこっちのもんだぜ」
剣を持ち替えながらククールが言う。青い魔物目掛けて斬りかかった。
青い魔物も雄叫びを上げたりして抵抗したけれど、あの同時攻撃さえ無ければどうって事は無かった。
赤い魔物が目を覚ました時、青い魔物はすでに瀕死の状態。
・・・それにしても、よく寝てたわねー。
ここまでくれば、後はもうククールの剣と私の呪文で押し切るだけで、魔物達は消滅していった。
魔物達を倒した後、私達はフォーグ達に近付いた。
「ああ、妹よ。お前の事は一生忘れない。安心してくれ。父さんの後は私が立派に継いでみせるからな」
ぐったりとしたユッケを抱きかかえながらフォーグは言う。
「あ、いや・・・まだ死んでな」
ククールの言葉を遮るようにユッケはくわっと目を開き、フォーグを殴りつけた。
「・・・今の、グーだったわよね」
ギャーギャー言い争う兄妹を見ながら私は唖然として呟く。
「あれは効いてるなー・・・まぁあれでユッケも今までの分の憂さを晴らしたんだろう」
そう言ってククールは肩を竦める。
やがて、兄妹の声は静かになる。フォーグは出し抜いたことを詫び、ユッケに家長の座を渡すと言ってきた。
石畳の広間からは更に奥へ進む道があり、歩いているとやがて大きな外開きの扉が見えてきた。
「この扉を開けば、家長の印が手に刻まれるのね」
ユッケが扉の取っ手に手を掛けたけど、悲鳴を上げて手を引っ込めた。
「熱っ・・・何これ焼けてるの?」
どうやら魔法の力で取っ手が熱せられているみたい。
「この熱で出来た火傷の痕が家長の印になるみたいだな」
フォーグの言葉にユッケが取っ手を睨みながら考えていたけど。やがて口を開いた。
彼女が出した結論は、片方ずつ取っ手を引っ張って扉を開けるというものだった。
つまり、火傷はそれぞれの片手に刻まれる。それが意味するのは2人でカジノのオーナーを引継ぐ、ということ。
2人は片方ずつ取っ手を握った。そうして悲鳴を上げながら重い扉をゆっくりと開いていった。
扉の奥には台座があり、その台座の中央に一つの水晶玉が鎮座している。
「あー熱かったぁ・・・。早く帰って火傷の手当てをしたいよ」
火傷の手を振りながらユッケがぼやく。カジノを継ぐには火傷の痛みが必要なのね・・・。
「帰るのはこの奥の部屋でご先祖様のお言葉を賜った後だ」
フォーグが言う。とは言っても、石碑とか巻物みたいなご先祖様の言葉が刻まれていそうな物は見当たらない。あるのは水晶玉だけで。
その時、水晶玉が光を発した。水晶玉から浮かび上がったのはがっしりとした体つきをした1人の男。
「よくぞ・・・まで、たどり・・・た。我が血を・・・・・・よ・・・」
男の言葉はノイズが掛かっていてあまりよく聞こえない。
「見事、継承の試練を・・・そなた・・・我が一族の・・・を聞かせ・・・心して聞くが・・・い。そなたの身体には、古の・・・を・・・した・・・の尊い血が流れている・・・・・・一族の血をけして絶やすな。我ら大いなる使命を受け継ぐ者」
その言葉に私ははっとなった。この人が初代ギャリング・・・かつての七賢者の1人。
「我ら一族の血が続く限り世界の平和は保たれるであろう」
語り終えた初代ギャリングの姿がふっと消え、水晶玉の光も消えた。
「・・・今のがご先祖様?」
ユッケの言葉にフォーグは頷く。
「一族の血を絶やすなって言われても、あたしらは拾われた子だから、どだい無理な話よね」
そう、ギャリングさんが殺された事で賢者の血は絶たれてしまったんだわ。
「まぁ私達には私達にしか出来ない事をしようじゃないか。カジノをもっと大きくするとか」
フォーグの提案にユッケが歓声を上げる。
良かった。2人ともちゃんと仲直り出来たみたい。
私はククールをちらっと見る。彼は少しだけ嬉しそうな顔をしてた。私の視線に気付くといつもの表情に戻ったけど。
「さて、これで終わりかな」
大きく伸びをしながら、ククールが言った。
「そうね。帰りましょう、ベルガラックへ」
私達は竜骨の迷宮を出ると、護衛達を迎えに砂漠の教会へ。体力の回復した護衛達と合流した後ベルガラックへとルーラで帰還した。
街の人達は私達の帰りを待っていて、2人同時に帰ってきたことに戸惑っていたけど、カジノのオーナーが決まった事と明日から再開する事を告げると歓声を上げた。
1
2
3
4
5
6
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内