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澄ひろえ
2021-06-18 21:03:23
14457文字
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大団円への道程は遠く
ククゼシ2人旅ツイート小説「カジノ護衛編」を加筆、修正した物です。 ログ見逃した人どうぞ。最終ページは後書きです。
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私達は、メディお婆さんを殺害した魔犬を追うために神鳥レティスの力を借りる事にした。
でも、今手元にある情報だけじゃ全く手詰まり状態。こうなったら、世界を駆け回ってでも情報を集めないとって。
私は・・・そう思ってたんだけど。
「どうして、私達ベルガラックにいるのかしら?ククール?」
そう。私達がいるのはベルガラックの街。確かここにあるのは・・・。
「あ?カジノだよ。カ・ジ・ノ。決まってるだろ。ドルマゲスも倒した事だし、そろそろ再開してるだろー」
全く悪びれた様子もなく、ククールはヘラヘラ笑っている。
「あんたねー・・・魔犬が最後の賢者を狙ってるっていうのに」
私は腰に手をやり、ジト目でククールを睨み付ける。だけど、ククールは全く態度を変えようとしない。
「んー・・・奴もヌーク草の粉を目やら鼻やらに喰らってただろ。あれ、結構効いてると思うぜ?しばらくはまともに動けないんじゃねぇかな」
「だから、その間にレティスの情報を集めて、力を借りる方法を探さないと!」
私の強い口調にククールは肩を竦める。
「そうは言ってもなぁ・・・俺達完全に煮詰まってる状態だろ。こういう時はリフレッシュして頭切りかえた方が上手くいくんだぜ・・・っと」
私達はカジノの前に着いた。でも、
「あー?まだ休業中だぁ?どうなんってんだよ、これ」
そう、カジノの前にはまだ「休業中」の看板が吊り下げられていたの。私はちょっとだけほっとしたけど、ククールは不機嫌そうに看板を見つめていた。
「あんたたち。カジノはまだ休業中だよ。何でも次のオーナーが決まらないんだとさ」
通りすがりの街の人が声を掛けてくる。
確か、かつてのカジノのオーナー・・・ギャリングさんだっけ・・・はドルマゲスに殺されたんだったわ。賢者の末裔だったから。
「決まらないって、どう言う事なんだ?」
ククールは街の人と看板を交互に見る。
「さぁなぁ、何ならギャリングの子供達に聞いて見たらどうだ?ほら、あのでっかいお屋敷さ」
街の人はそう言って街の奥にある一つの大きな建物を指さした。大きな建物が多いこのベルガラックでもひときわ目立つお屋敷だわ。
「ふうん・・・」
ククールは顎に指をやりつつ興味ありげに建物を見る。
・・・あ、嫌な予感。
「ま、世の中のギャンブラー代表として原因を調べてみるか」
「誰がギャンブラー代表よっ!誰が!ちょっと、はーなーしーなーさーい!」
抗議の声も空しく、私はククールに半ば強引に引き摺られるようにして、ギャリングの子供達が住んでいるというお屋敷に向かった。
屋敷に入ると、ある人達と再会した。
「あなたたち、確かドルマゲスを追って闇の遺跡に向かってた人達じゃない?」
「おお、君達か・・・もしかして、護衛の募集を聞いてきたのかい?」
剣を腰に佩いた戦士風の男の人が反応してくれる。
「護衛?俺達はカジノの次のオーナーが決まらない原因を確かめに来たんだが?」
男の言葉にククールが首を傾げる。
「だったら尚更だ。君達なら・・・うん」
護衛の人達は頷きながら私達を見る。なんかこの人達勝手に納得してるわね。
「まぁ、詳しい話はギャリング様の子供達・・・養子だから血は繋がっていないんだがね・・・フォーグ様とユッケ様に聞いて来ると良い」
そう言って、一枚の大きな扉を指さす。
・・・何か、ここからでも2人の言い争う声が聞こえてくるんだけど・・・。
意を決して、私達は扉を開いた。部屋では青い髪をした男の子と緑の髪をした女の子が言い争っていた。
・・・兄妹なのかしら?私と同じ位の年頃みたい。
と、2人はこちらに気付いた。同時にこちらを見る仕草がそっくりで、私は少し笑ってしまった。
「お兄ちゃんお客さんだよ。護衛希望の人達かもしれないよ」
女の子が言った。
男の子がフォーグ、女の子がユッケと名乗った。
こちらも名を名乗る。すると、兄妹は顔を見合わせた・・・何かしら?
やがて、こちらに向き直ると、言い争いの原因を話してくれた。
どうやらギャリングさんの死後、跡目をどちらが継ぐか揉めていたみたい。
だけど、カジノのオーナーになるには竜骨の迷宮と呼ばれる場所に行ってその手に家長の印を刻む必要があるみたい。
それで、2人で競争して先にたどり着き、家長の印を刻んだ方がオーナーになるというところまでは決まったみたい・・・なんだけど。
どうも道中の護衛が決まらないみたい。1人はあの、ドルマゲスへ差し向けた追っ手を護衛にするみたいだけど。もう1人の護衛の方が2人の眼鏡にかなう人達がいなかったそうだ。
「護衛・・・君達なら適任だと思うんだが。受けてみないか?勿論報酬は支払うよ」
「うん、あたしもこの人達なら文句はないかな。あ~ら珍しい。意見が合うなんて」
兄妹は私達をじっと見つめた。つまり、どちらかの護衛を引き受けないといけないって事よね。だとしたら・・・。
「・・・少し、考えさせてくれないか」
ククールの言葉に私は驚いた。てっきり、世の中のギャンブラーの為だとか言って二つ返事で応じると思ったから。
「構わないが。時間はあまりないぞ」
「ああ、わかってる」
フォーグの言葉にククールは頷き、部屋の扉を開け外に出た。私も慌てて後を追った。
「・・・やれやれ、カジノの閉まってる原因が兄妹喧嘩とはね。きょうだいなんていたってロクな事にはならない証拠だな」
外に出てククールは独りごちる。その言葉を聞いて、私はムッとした。頭に浮かぶのは優しかったサーベルト兄さんの顔。
「それは、聞き捨てならないわね。私と兄さんとの思い出はかけがえのないものなんだから!」
私の語気を強めた言葉にククールは苦笑して私を見やる。
「そんな真顔で言わないでくれよ。ゼシカは幸運だったのさ。みんながみんな、お前の所みたいな仲良しこよしばっかりじゃないっつーの」
・・・はっとして思い出す。ククールの兄の事を。修道院で、旅先で、顔を合わせる度に彼に向かって発せられた言葉を。
その時ククールは何も言い返さなかった・・・甘んじて受け入れているようだった・・・。
「まぁ、騎士たる者、護衛するならやっぱり女の子だよな」
すると、ククールは今の私とのやりとりなんて無かったかのように1人で頷きながら笑う。
・・・そうやって、あんたは何事もなかったかのように笑うのね。
本心を覆い隠して・・・言いたい事も堪えて・・・ずっとそうやって生きてきたの?
私のさっきの言葉で何も感じなかったはずはないのに。
「・・・騎士は関係ないでしょ。騎士は・・・」
私はそう返すのがやっとだった。
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