芹沢亀吉
2023-12-13 12:24:07
9877文字
Public 菊タブー
 

シン・門長再誕

2023年1月3日~1月7日にかけてTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算80話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿してみた。衝撃の結末は必見。


 程なくして拘置所に収監中の広池が脱走した。

「お蔭で助かったよ。私の無実はいずれ証明される。総理に返り咲いたら君達2人の厚遇を約束したい。」

 脱走を手助けしてくれた湊川みながわまもる二等陸曹及び乃木のぎまさる一等陸曹に対し広池は深く感謝している。

 脱走した広池がテロを企てているとの風評が2022年の終焉に差し掛かった日本列島全域を駆け巡り、門長を再び総理に、直ちに戒厳令を発令し広池一派の撲滅をとの世論が強まった。

「議席を持たない門長氏の総理就任は議院内閣制の原則に反します!」

 このように正論を述べる野党議員は広池一派とされ国会に乱入した自衛官共に身柄を拘束というのも理不尽の極み。自衛隊を動かし反対意見を圧殺、典型的な全体主義的手法により門長に成りすました自分自身の総理就任が決まり楠木は笑いが止まらない。

「グハハハハ!こんなに早く総理になれたぞ!」

「門長を拝むことしか出来ない馬鹿共に感謝せねばな。やはり人間感謝の心を疎かにしてはならぬ。そして年が明ければ朕が正式に即位し新たな世が始まる。」

 計画成功を確信しほくそ笑む口髭男2人の前に金子かねこ真司しんじ博士が姿を現した。この金子は非人道的な実験を繰り返した身故学会を追放され、現在は楠木らに協力している。門長のディープフェイク映像も門長の声を再現した変声機も全て金子の手によるもの。

「陛下、門長総理、例のものが完成しました。」

 突然金子の顔面をぶん殴る楠木、信太山駐屯地にいた頃は精神注入棒を振り回し部下達を叩きのめすのが日常茶飯事とこの外道が筋金入りの暴力主義者なのは火を見るよりも明らか。

「俺は楠木武だ!楠木総理と呼べ!あんな世襲能無しの脱税野郎と間違えるな!汚らわしい!」

 その脱税野郎に成りすましている癖に随分と身勝手な。

「も、申し訳ございません、楠木総理。ところで例のものが完成したのですが。」

「今日はもう大晦日か。計画通りだな。よし、今すぐ動かせ。」

「金子よ、よくぞ例のものを計画通りに仕上げてくれた。流石朕が見込んだだけのことはある。それでは動いているところを見せてもらおうか。」

 広池がふと目を覚ますと、自分の身体が何かの座席に縛り付けられていることに気付いた。広池の脱走を手助けした湊川も乃木も楠木に忠実な自衛官であり、油断した広池を気絶させある場所に移動させ縛り付けていたのである。

「な、何だ!?急に動き出したぞ!」

 現在広池が幽閉されているのは巨大ロボットのコックピット内部。このロボットは遠隔操作されコックピット内部では操縦出来ないが。

 2022年12月31日、紅白歌合戦をはじめ愚にもつかないTV番組を各局が垂れ流す中、都心に巨大ロボットが出現した。

「番組の途中ですが速報です。突如都心に巨大ロボットが出現し霧状の液体を散布しながら前進中です。たった今そのロボットは脱獄した広池一雄容疑者が操縦しているとの情報が入りました。」

 この速報が流れた途端に大衆の年末気分が吹き飛んだのは言うまでもない。