雨宮水月
2024-07-18 14:26:53
8154文字
Public 企画
 

第二回誰の文章だゲーム

参加者6名の中で、どの作品を誰が書いたのか当ててみよう!



【作品E】

「排他的関係・水と油・不倶戴天の言葉にもあるように、相容れない関係というのは存在する。」

「それに加え種族の違いもあれば、より相容れなさは増すだろう。種族が違えば文化や趣味嗜好も違う。」

「些細な事だが、それだけで諍いを生む事は歴史が証明している。」

「しかし、その相容れない関係がコンビを組むとしたらそれほど面白い事はあるまい。」

編集者と呼ばれる彼は、目の前にある原稿の束を早急に掴み、その場を立ち去ろうとした。
しかし、時既に遅く先生と呼ばれる人物は言葉を紡ぐ。機嫌を損ねては不味いと、彼はその場に座り込み、その掴みに応じた。

『まるで自分が異なる種族だと言いたげなセリフだ。』

「作家何て、奇人変人の集まりだ。マトモな神経で出来るもんじゃない。」

『つまり、担当している自分もマトモじゃないと?』

「さぁ、どうだか。」

彼の手にある原稿は新作のコンビ物である。中身を見るのは初めてだったが、難産だったらしく、目の下に隈が出来た状態で朝を迎えたのを彼自身、何度も見たことはあった。
とはいえ、先生と呼ばれる人物を見る限り余程自信があることは伺えた。

「コンビは、コンビネーションから生まれた和製英語だ。あくまで組むことであって、ペアを指してはいない。」

「編集と先生の関係もまぁ、どちらかと言えばコンビじゃないか?」

『旧知の幼馴染とかは?』

「まぁ、傍から見ればコンビじゃないのか?本人たちが付き合っているか結婚でもしてれば別だが。」

『それなら、両方に該当するって事か……

暫しの沈黙の後に、先生と呼ばれる人物は少しだけ照れ臭そうに笑った。

事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものである。と彼はつくづく思った。

これがきっかけになったかは知らないが、2人の言葉の応酬が次から次へと始まった。

語り続ける先生と呼ばれる彼女も興が乗ってきたのか、普段の小さな愚痴を言ったかと思えば、昔の馴れ初めを懐かしむように語ってくる。かと思えばいつの間にか話は今晩の食事のリクエストにまで飛躍しており、リクエストが終わったかと思えば、また直ぐに学生時代の思い出話に花が咲く。

ある意味での無限ループである。物語の展開においては王道であるが終わらせるのはとにかく一苦労であり、何百回も何万回も繰り返す事なんて創作の世界では日常茶飯事だ。

彼と彼女の言葉の応酬は暫く続いたが、直に彼はさっと立ち上がり、帰り支度を始める。
とはいえ、本来の職務に戻るだけであり、終わったらまたこの2人の部屋に戻って来るだけなのだが。
彼女もそれを分かっているのか、特に気に留める様子もない。

彼は爽やかに微笑むと、犬も食わないであろう寸劇をたった一言で締めるのであった。

『もういいよ。』