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雨宮水月
2024-07-18 14:26:53
8154文字
Public
企画
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第二回誰の文章だゲーム
参加者6名の中で、どの作品を誰が書いたのか当ててみよう!
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【作品A】
「知ってますか?物部さんと僕、署では“最高の相棒”なんて呼ばれてるらしいですよ。」
「はぁ。」
知らんが。
似瀬は額の油を拭いながら、にへら笑いで振り返りそう言った。五十過ぎのおっさんがしていい表情じゃないぞ、それ。もっと頑張れよ国家公務員。
「つれませんなぁ。僕たちは今まで二人三脚で様々な事件を解決してきた名コンビじゃないですか。今回もよろしくお願いしますよ物部名探偵!」
だははと声高らかに笑う似瀬に「アーハイソウデスネアハハ」と、物部は乾いた笑いで返事をする。ちなみに今まで事件を解決してきたのは私で、このおっさんは何もしていない。
「ところで...今日もそいつを現場に入れる気ですかな?」
似瀬は視線を少しだけ下げる。物部は鍔の広い白いキャペリンに、これまた白いワンピース、花柄のレースカーディガンを肩から被せている。視線の先はその腕の中のフサフサだ。似瀬の瞳には、赤茶色の毛並みに短い足の小型犬が、白くて細い腕の中に収まった姿が映っている。
「あ、ルゥちゃんですか?だ、だめです?この子を連れてもいいならって条件のはずなんですが...。」
「いや、まぁ、そうなんですがね。あー、可愛い助手ちゃんと一緒にいたいのはわかりますよ。でもまぁ特例を通すには、僕が書かにゃならん始末書が都度あるといいますか。それに...。」
「二人きり...というのも捨てがたいなぁ、なんてですね。だはは!」
――――――――
一同が入った部屋は、畳の床が広がる旅館の一間だ。畳の一角には黒ずんだ染みが残されており、白いテープが生々しく人型を作っていた。現場保存のためか窓は開いたままになっていて、カーテンがたなびき夜を迎え入れている。
「事件当時、ひとつしかない入口には鍵がかかっていましてね。ほかに入れるとしたら、その窓からなんですが、ほら、聞こえるでしょ波の音。こんな断崖絶壁から侵入できるとは思えない。つまり」
密室というわけだ。ちなみに物部は先程から、「スゴーイソウナンダーソウデスネー」と呟く壊れたスピーカーになってしまっている。...ったく、しょうがねぇな。
甲高い小型犬のひと鳴きに、物部の瞳に正気の光が戻る。
「ソウナン...じゃない!あ、はい!はい!大体わかりました!えーと、じゃあ、あとは...。」
「あぁ、はいはい。いつもの“集中したい”ですよね、わかってますよ。では僕はこれで。ロビーで待機してますんで、何かあったら声をかけてください。」
訳知り顔の似瀬は軽く手をあげて部屋を出ていく。足音が小さくなっていくのを確認して、物部は細く長い息をついた。やれやれ、やっと邪魔者がいなくなった。
「
―――
おい、いつまで惚けているつもりだ。早く私を降ろせ。」
「ひゃっ!?ご、ごめんなさい!今降ろすねっ!!」
物部はしゃがみ込むと、慌てて私を解放した。ぶるぶると顔と尻尾を振って、意識を現場モードに切り替える。助手の物部はそのままの姿勢で私に問いかける。
「こ、今度の事件は難しそうだけど大丈夫?入口には鍵、窓の外からは侵入できなかったんでしょ?いくらルゥちゃんでもわからないんじゃない?」
「お前はもう少し本を読めポンコツ。こんなもん使い古された古典的なテンプレだ。真実へのルートは限られてる、お前にはまた検証に付き合ってもらうぞ。」
私の後ろを、四つん這いのまま物部が追いすがる。
「え、ちょ、ま、待ってください~!足!足拭いてからにしてください~っ!」
“最高の相棒”?
笑わせてくれるな。このポンコツを相手に、二人三脚程度で脚が足りるものか。
せめて二人五脚くらい揃えてくれなければ話にならない。
「
————
では、試行推理を開始する。散歩の時間までにケリをつけるぞ。」
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