MN*B
2024-06-21 01:57:52
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Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

Ep.3 その身に巣食うは__也て

シリーズ中第34話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねなど…いつもありがとうございます!
お待たせしました。

 
今回、主人公が真人です。
オリキャラが出張ってますので、そういうのが大丈夫な方向けですね。
…真人と順平が仲良くしているのを読みたい方向けかもしれません。(ホラー風味)

次回、一旦の最終話になります。
今期?の〆みたいな感じですかね。
2週間以内にあげます。それと同時に、今後の方針についての文をあげようかなと考えています。



#オリキャラ #夢術廻戦 #真人(呪術廻戦) #吉野順平
2021年11月3日 21:21



 街灯もない暗い夜道。
その先を、俺が乗って来たタクシーが走り去っていく。俺はそれを一人眺めた。

今何時だったっけえっと、駅で見た時計じゃ9時回ってたから……

 そんなことを考えながら、敷かれた砂利の上を歩き、車庫の前を過ぎて玄関へ。
家の明かりが煌々と、辺りも照らしている。
ちょっと遅い時間だけど、まだ起きてるみたいだ。

俺は呼び鈴を押した。

 古い家だから、呼び鈴は呼び鈴でしかない。
中から人が歩いてきて、玄関の鍵を開ける音がする。

ガラガラと引き戸が開いていく。
そこから人が顔を覗かせてそして、こちらの顔を見ると、驚いた表情を作った。

「あら!真人じゃない。おかえりなさい」

いきなりどうしたの、連絡もしないで~。そう言いながら、嬉しそうにする。
言葉とは裏腹なその表情を見て、俺も顔を緩ませた。

「ただいま、母さん」



 玄関で靴を脱いでいる間も、母さんからの小言は続く。

「も~、連絡くれれば迎えに行ったのに」

「びっくりした?」

「するに決まってるでしょ」

そんな感じで母さんの小言を流しつつ、家に上がる。
すると奥から、パタパタと軽い駆け足の音

「声がすると思ったら、真人さんじゃないですか!おかえりなさい」

驚いた表情の順平が顔を覗かせる。
わざわざ出迎えに来てくれたみたいだ。

「ただいま、順平。まだ起きてたんだ」

「まだ10時前ですから。僕、高校生ですよ」

少しむくれた顔をして、言い返してくる彼。
僕はそれが面白くて、その頭をわざとグシャグシャになるように撫でまわす。

ちょっと!やめてよ~と、怒ったような声をあげる順平。
そんな彼から、シャンプーの香りがした。



カラん。__鈴の音が転がる。
ざりリと、靴底が擦れた。




……真人さん、起きてください。朝ですよ」

そんな声が、すぐ近くからした

 ぼんやりと瞼を開ければ、こちらを覗き込んでくる順平の姿。
目の前が霞んだ気がして、瞬きを繰り返す。辺りが暗く見えたのは夢の名残か、順平の影か

 温かい布団に名残惜しさを感じながら、ノソリと身体を起き上がらせる。
それに合わせて、順平もその身体を引き上げ、こちらを覗きこむのをやめた。

「う~んおはよ、順平」

「おはよう、真人さん。朝ごはんできてるから、早く来てくださいね」

うんうんと曖昧に頷く。

 俺がふぁ~と欠伸をしている間に、順平は部屋を出ていった。
息を吸えばうん、朝食の匂いがする。今日はみそ汁か~。

 布団から抜け出し、髪をかき上げる。

俺の部屋ってこんな感じだったっけ?ふとそんなことを思って、首を傾げた。

 部屋中に目をやりながら立ち上がる。
本棚に机、クローゼット。特に変わったところはない。それでも違和感を覚えて、化粧台で視線が固まる。
あれこれって女物の

「真人ー?」

そんな声が届いて、俺は思考を中断した。
そうだった、朝ごはん。母さんが呼んでる。

伸びをしながら部屋を出ようとして、伸ばした腕を出入り口にぶつけた。

「いッてぇ~!」

痛みを逃すように腕を振って摩る。
自分の間抜け加減に、呻き声を漏らした。



 食卓について、三人で朝食をとる。
二人が楽しげに話しているのを聞いたり、それに俺も混ざったりしながら、時間は過ぎていく

「俺の部屋にさ、女物のアクセサリーあるじゃん。なんでだっけ?」

「真人さんのでしょ。"その辺の女子より俺のほうが似合うし、可愛い自信ある~!"なんて、バカなこと言って」

そうだっけ?そんな気がする。
メイク道具まで揃えたのは、なん_……悪ふざけに近かったような気がするけど。でも俺って元がいいし。

「でも実際そうでしょ?」

「ふふ、確かに似合ってたわ。髪の毛も長いし」

"今ドキ"っぽい俺の行動も、母さんは笑いながら肯定する。
ここまで柔軟な親も珍しいんじゃない?ホント恵まれてるよね。

「でもやっぱりゴツいから無理あるって」

もごと、口ごもりながら、順平が生意気なことを言う。
そんな彼の態度に、俺はわかりやすく表情をムッとしたものにする。

「言ったな順平~!オシャレに性別は関係ないんだからっ!」

「あっはは!声可愛くしないでくださいよ!」

俺の作り声に、耐えきれなくなった順平が笑う。
それにつられた俺と母さんも笑って、部屋には笑い声が満ちた。


ジャらリ。玉砂利を踏みしめた。


 することもなく座敷に寝転んで、ぼやっと天井を見つめる。
畳の上でダラけている俺へ、母さんが話しかけてくる。

「真人、今日はどうするの?お母さんは用事あるんだけど

「あ~気にしないで。俺は何か用があるわけじゃないか、ら

あれ?
何も用がなかったっけ。
……

 自分でもよくわからなくなってきて、寝返りを打つ。
畳に頬をつけて、指で畳の目をなぞる。ピントの合わない遠くのほうから、靴下を履いた足が歩み寄ってくるのが見えた。

「用事がないなら、映画観ませんか?真人さん好きだったじゃないですか、あのヒロインが最後派手に死ぬやつ」

「うーんと、あのサメ映画?順平が観る前にネタバレしたせいで、すっごい怒ってたやつ


怒ってたっけ?呆れてたようなあれ?
俺がしたやり取りのはずなのに、まるで人伝てに聞いた話にも思えた。

 記憶があやふやに感じて、思わず黙りこむ。
そんな俺のほうを気にした様子もなく、順平は楽しげに提案を重ねる。

「映画じゃなくてドラマでもいいですよ。ほら!SFの続き物新シーズンが配信されてるの、まだ見てないですよね」

「見てないけど。でもそれって、」

観たかったのは、『俺』


”じゃない”。




ッ!!」

垂れていた頭を上げれば、目の前に人影。そして何かが振りかぶられッ!


 膝をついていた地面から跳び上がり、振り下ろされた刃を避ける。
その衝撃で、踏みしめていた玉砂利が周囲へ飛び散った。
俺の前を通り過ぎた、重たい風切り音。それに冷や汗が流れ、ぼやけていたような感覚から一気に脱し、思考が晴れ渡る。
……何が起こっていたのか、把握した。

「呪いを眠らせて、夢をみせるなんて変な術式だね。それに

「呪霊が呪霊を狩ろうとするのが、そんなに珍しいものか?」

顔を隠す面布に、狩衣のような衣装。手に持っているのは、刃渡りの長い大鉈。
時代錯誤と、呪いの気配。
話が通じるようで通じなさそうな雰囲気に、俺は裏で身構えておく。

「へー。自分がなんなのか、自覚してソレなんだ」

「左様。勤めがなくなろうとも、やるべきことはあるのでな」

相手はそう話しながら、スッと大鉈を上段へ構え直し、目線に合わせて水平に保つ。

「その首、頂戴する」

「戦国時代かよ」

俺はそう呟き、嗤った。