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MN*B
2024-06-21 01:42:46
25835文字
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蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
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E.14 乱ちき騒ぎで裏話
シリーズ中第28話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。
このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねをいつもありがとうございます。
お待たせしました!
今回、交流会二日目です。
ちょっと場面が行ったり来たりしてるとこがあります。読みづらいかもしれません。
しかも説明が多かったのもあり、長くなりました。
茶道みたいな描写がちょろっと出てきますが、書き手は詳しくないのでカジュアルめに書いてます…。
次回、修行回です。
情報と現状の整理回でもあるかと。そして同時に荒れる感じですかね。
タイトルは、ほかにいいのが思いつかなかったらそのまんま行きます。
あげるのもまた2週間以内だと思います。
その次もまだ、実質八十八橋には行かないかと思います。文字数によっては行くかも、です。
【呪術甲子園選手テロップ:パロ】
[➆青嶺衛 外野手]
[リンスインシャンプーを愛用中。香りが「ガキ臭ぇ」と女子からは不評]
【なぜ外野から東堂まで、遠いはずの青嶺は駆け寄ったのか】
人柄。
#オリ主 #夢術廻戦 #伏黒恵 #釘崎野薔薇 #楽巌寺嘉伸 #夜蛾正道 #狗巻棘
2021年8月15日 22:20
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アオネを名乗る男
封魔とは、呪術界における古い血筋の一つ。
彼らの在り方はどこか閉鎖的であり、その名を知る者は、今も昔も多くない。
その血脈は、名を変え、響きも変わりつつ続いていた。だが時代を追うごとに数が減り、血も薄まり
…
遂には、ほかの家に併合された。
呪術界、御三家の一つ
…
加茂家。
それの分家として、封魔の血筋で唯一続いていた家は、新たな名を冠することとなる。
…
しかしそれも、そう長くは続かなかった。
明治の頃
…
その時代において、呪術界ではある事件が起こる。
呪胎九相図の製作者 加茂憲倫は、御三家最大の汚点として、その名を残した。
…
そしてその裏で、その家に連なる者もまた、呪術界の一部に衝撃と混乱を齎している。
だがそれは、呪術界の裏でひっそりと処理され、表に出ることは終ぞなかった。
その人物が起こした事件
…
『術師封じ』。
彼に呪われた被呪者は呪力をなくし、術式も使えなくなった。
どのような術を用い、そのようなことを成功させたのか
…
ほかの術師には到底、理解の及ばぬ領域。勿論のことながら、被呪者をその状態から回復させることは、どんな術師にもできなかった。
「なんで『術師封じ』?」
話を聞いていた真人が、不満げに口を挟んだ。
「完全に使えなくしたんなら、『術殺し』とかそんな感じじゃん」
そう話す真人の視線の先
…
彼に話を中断された夏油は、そうだね
…
と少し悩む様子を見せる。
「それは彼の大本の血筋
…
『封魔』に因んで付けられたんじゃないかな」
「でも、封魔としての血は薄くなってたんでしょ?」
「加茂としてよりも、そちらの血統のほうが、彼の血筋として重んじられていたのが事実さ」
御三家とはまた違う位置にある血筋だったからね
…
と、夏油は話す。
「
…
加茂の分家になったとしても、それは色々なしがらみの結果に過ぎないよ」
「へぇー
…
面倒そうだね」
「そこは同意するよ。
…
だから彼も、名を変えざるを得なかった」
そこで夏油が、さも面白いと言わんばかりに微笑みを浮かべる。
そんな彼に真人は不思議そうな顔をした。それに気づき、夏油は補足するように話を続ける。
「名を捨てたようにみえて
…
結局彼も、封魔だったという話さ」
「その男の名はね、
加狭
カザマ
蒼祢
アオネ
…
加茂家の分家、加狭家の嫡子だった男じゃ」
「当時、呪術界を騒がせた史上最悪の術師
…
加茂憲倫で隠れた事件があった。それの主犯がその彼であり、青嶺の一代目でもある」
「その事件とは、一体なんです」
「
…
『術師封じ』
…
そう呼ばれていたようじゃの」
そこで、京都校の学長
…
楽巌寺学長は言葉を区切り、その手抱えていた茶碗から一口、抹茶を飲んだ。
それを見た俺もつられるようにして、持っていた茶碗から一口飲む。
…
お茶を点てといてなんだが、器が高そうで気が引けるんだよな。
夜蛾学長も含めた俺たち三人は縁台に座り、楽巌寺学長から話を聞いていた。
この話に至るまでの経緯
…
なぜ彼が俺の先祖のことを知っているのか。
それは、少し話を前に戻す。
俺が夜蛾学長たちに連れられ、やって来た一角。そこは
野点
のだて
のための場所のようで、茶道具や座るための縁台、野点傘が準備されている。
それで俺は、なぜ自分が呼ばれたのか察しがつき、夜蛾学長へ頷く。
「わかりました」
「待て、何がだ」
夜蛾学長からストップがかけられた。
俺は彼と、茶道具とを交互に見つつ話す。
「お茶点てるんスよね?」
「ちが
…
点てられるのか!?」
「だから呼ばれたんじゃ
…
?」
初耳だと言わんばかりの反応をする夜蛾学長。
彼は慌てたように、俺の考えを否定してくる。
「違う違う、これから真面目な話だ。
…
君に関係があるから、楽巌寺学長も君のことを呼んだんだぞ」
「そうじゃ。これから儂が話すことを聞かせるために呼んだ
…
」
茶を点てながらで良いから聞け
…
と、楽巌寺学長は話しながら、縁台に座った。
俺と夜蛾学長は顔を見合わせ
…
夜蛾学長は縁台に座り、俺はお茶を淹れる準備を始める。
そのときの夜蛾学長が、座りながらため息をついたのが耳に残った。
…
いろいろあったし、疲れてんだろうな。
俺が茶を点てている傍らで、楽巌寺学長はおもむろに話をし始めた。
「30年以上前のこと
…
五条家について探るものが現れた。それが、今では嫁にいき『阿古屋』となった女性の祖父じゃ」
つまり
…
俺の曾祖父のことであり、俺らが参考にした郷土誌を持っていた人物のことでもある。
意外なところから、俺の曾祖父を知っている人が出てきたな
…
。
…
俺はそう思いながら、作業をしつつ、彼の話に耳を傾ける。
「儂は遣いとして九州へ赴き、彼と出会った
…
音楽の趣味は合ったが、食の好みは合わん男じゃった」
懐かしい
…
思い出話を語る口ぶりで、彼はそう話した。
「彼は『事情をすでに知る者』にしか話せんと言っておった。故に儂は、彼が本来伝えたかった物事を知ることはできておらん」
「しかし
…
それがきっと
…
あの町に封じられていたという、呪霊のことじゃったのかもしれんの」
…
俺は夜蛾学長のほうを窺う。
そうすると彼から、君のことを説明した際にその辺りのことも話してある。と、補足が入った。
寂寥感を潜ませた声で、楽巌寺学長はしみじみと語っていく。
「ただ、頼まれごとを請け負うことになった。
…
それがあの日、柊魚と透坂へ下した任務
…
呪物の回収じゃ」
その言葉に、俺は思わず手が止まる。
…
楽巌寺学長が、彼らを寄こしたのか。
だが、そのことについては深堀されず、話は続いた。
「曰く、『いつになるかはわからない。だが、そのときは必ず来るものだから』
…
だと」
「そのために彼らは
呪術界
こちら
に探りを入れ、そして望み通り渡りをつけたというわけじゃ」
俺は手を動かしながら、考えも巡らせる。
…
その言い方だと、町の人間が複数人で関わっていたように聞こえるが
…
。
そんな俺の考えを読んだのか
…
楽巌寺学長は頷き、もう殆どが生きてはおらん
…
と答えた。
「一度だけじゃ。その呪物を、儂も見る機会があったのは
……
その彼が死んだ後でな」
…
約30年前か。
…
待てよ、それって
…
。
どういうことか俺は察しがつき始める。
…
ついでに点てた茶を、楽巌寺学長へ手渡した。
受け取った彼は感謝の言葉を述べ、一度それに口をつける。
…
そうやって一息ついてから、彼はまた喋り出した。
「おそらく事情を知る一握りの者たちが、"これはまだここに居てくれないと困る"のだと言い、安置しておった」
「それが、回収を頼まれたもの
…
特級呪物 両面宿儺の指。封印が施されてなお、一目でわかった」
高専で管理しておったのと見た目はそう変わらんからの
…
と、楽巌寺学長は付け加えた。
「
…
それの正体がわかったとしても、そのことを口にすることは許されない
…
そのような町じゃ」
「その頃の儂は、ただ見ていることしかできんかった。
…
そして上への報告も、完璧にしたとは言い難い」
夜蛾学長も俺も何も言葉を発さず、彼の話を聞くばかりだった。
彼が話したことは
…
あの森の、川が出来てすぐの頃の話のはずだ。まさか呪術関係者で知っている人物がいたとは
…
。
…
あの頃、特に何も知らなかった五条さんは、これ
…
教えてもらえてなかったってことだよな
…
。
五条さんと一緒に行動した日を思い返しながら、俺は手元を動かしていく。
人望がないとか、信用がないとか
…
まぁ話してもらえなかった理由は想像がつくな。むしろ秘密を守ってくれてたってことだし
…
俺から言うことは何もない。
こちらへ視線が向けられた気配に、俺も横目でそちらを見た。
楽巌寺学長が、
…
気を悪くせんで貰いたいが
…
と、そう前置きをして喋り出す。
「儂らのような呪術師からしても、異様な町だと思っておった」
「"
指
アレ
"のことを、これだのそれだと物のように示しながら
…
意識がある者のような言い方をする者ばかり
…
」
「
…
だがそれも、報告によれば合っていたのかもしれんの」
報告
…
というのはもしかすると、宿儺が"指"の状態でも意識があった
…
って話のことだろうか。
もしそのことを、昔の人らも知っていたんなら
…
そういう言い回しがされるのは、おかしいことではない。
…
だが、一部の人間にだけだとしても、周知されてたことなのか
…
っていう疑問は残る。
「それでも
…
まっこと、奇怪な場所じゃ。ろくに呪霊が視える者もおらん
…
」
ぼやきのように、そんな言葉を付け加えた楽巌寺学長。
彼は深々と息を吐くと、喋る声のトーンも沈ませた。
「本来なら、儂が赴くはずの件じゃった。だが、そうも言っておられん状況での
…
」
「新宿・京都 百鬼夜行
…
ですか」
夜蛾学長が話したかと思えば
……
なんだそれ
…
。
どういう意味かわからない俺は、ちょうど出来上がった茶を差し出しながら、夜蛾学長のほうを見た。
…
聞けば、去年呪詛師によって引き起こされた呪術テロだという。
ちょうど"俺ら"も、ニュースだなんだと気にする余裕がなかった頃だ。
もとより、大っぴらになる話でもないが
…
世の中に出ただろう、その片鱗すら知らなかった。
「言い訳になるが
…
あれの後始末に駆られ、一苦労じゃ
…
時間もありはせんかった」
テロの被害を受けた地域の高専関係者、それも学長って立場になれば、それも当然のことだろう。
呪術師は万年人手不足だしな
…
。
「あの町の状況は一刻を争う事態だと考え
…
その上で、心当たりのある物の回収へ当たらせた」
あの町に呪霊が溜まる
…
ということは、通常では考えられんことじゃった。
…
と、楽巌寺学長は物憂げに話す。
…
あの存在のことを知らなくても、その辺りのことはわかっていたらしい。それこそ所謂"結界"が、ちゃんと機能してた頃を知ってる呪術師は、彼くらいかもしれない。
「事態を考慮して、準1級と2級である二人を向かわせた。
…
まさか、災厄を起こす側になろうとはの」
トオザカとヒイラギさんのことであり
…
階級から鑑みても、そのときでは最善の判断だったはずだ。
…
普通なら。
話しぶりから察するに、信用されていた立場にあっただろうトオザカも、なんでああなったのか
…
。
しかもあの人は
…
あの呪霊たちと組んでたとして、目的はなんなんだ。呪霊も何もかも嫌いだって感じの人だろうに。
「あれは儂が赴くべき案件じゃった。今でもそう思っておる」
「歳を取ると、しがらみも増える。
…
死人との約束も後回しにせねばならん」
そこでまた、深く息を吐いた楽巌寺学長。思うところがあるのか
…
しばらくの間、沈黙したまま席に沈みこんでいた。
少ししてから彼は、話を少し戻そう
…
と言って、また話を再開する。
「そんな経緯があり、儂は『青嶺』のこと、あの町のことを知っておるわけじゃ」
「そして
…
『青嶺』のことを話すに至って、もう一つ話しておかねばならんことがある」
…
そこでやっと俺は、自分の分の茶碗を持ち、腰を落ち着けた。
「『青嶺』という家が生まれた経緯であり、『青嶺』を名乗り始めた一代目についてじゃ」
「『青嶺』の一代目
…
彼の、呪術界においての名は
…
加狭蒼祢。
…
加茂家の分家、加狭家の嫡子だった男じゃ」
…
そうして、話の冒頭に繋がった。というわけだ。
早々に中身を飲んでしまい、茶碗を持て余している夜蛾学長。
そんな彼に対し、おかわり要ります?と声をかけるが、首を横に振られた。
俺は自分の茶碗に目を落とし、泡が消えていくのを眺めつつ、話に耳を傾ける。
「理由は不明じゃが
…
彼は恐れられながらも、呪術界からの追放処分のみの処罰で終わった」
五条さんから聞いた話はここに繋がるわけか。
そして楽巌寺学長の話では、俺の先祖は『術師封じ』と呼ばれる事件の首謀者だったから、そうなったということだが
…
。
「
…
それは
…
なんの罪を犯したことになるんですか?」
「罪と言えるものではない。しかし、術師の呪力をなくす
…
そんな力は呪術界の根底に関わることじゃ」
「しいて言うのなら
…
彼の行動で、結果的に由緒ある呪術師の家系が、二つ潰えてしまったことじゃろうな」
それ以上は言い尽くせないといった様子で、彼は口を閉じた。
「"二つも"と言うべきか、"二つで済んだ"というべきか
…
」
夜蛾学長が、難渋した様子で言葉にする。
「
…
事件ということは、当然
…
それの被害者がいた、ということでしょう」
「そうじゃ。被呪者は一人
…
呪術師の家系であり、それの跡目だったそうじゃ」
それ故に、彼に罪の重さが課せられたのもある
…
。
そう言った楽巌寺学長は、まるで一代目青嶺に罪があると考えているようには思えなかった。
俺は自分の茶碗から目を離し、楽巌寺学長のほうを見る。
「家が二つ潰れたってのは、つまり
…
俺の先祖の元の家、それとその被害にあった
…
封じられた人の家
…
?」
「そうなるのぅ。どちらもその家にとって、必要な力を持った存在だったはずじゃ」
そこまで話した彼は、俺に向かって、空になっている茶碗を差し出してくる。
俺はグッと自分の茶碗に残った分を飲み干して、席を立ち、彼の茶碗を受け取った。
…
俺がおかわり分の茶を点てている間も、楽巌寺学長の話は続いている。
「今でこそ、呪言の術式を持った家柄は、狗巻家くらいしか名を聞かんくなってしもうた」
「だが、150年前は違うてな
…
もっとも、結局は同じことじゃ」
そこで俺は少しだけ作業の手を緩め、彼のことを横目で見ながら、その先の話を静聴する。
「潰えようとしていた呪言の家
…
落ちぶれる寸前の代で、その力を持ち、お家復興となるであろう兆しが産まれた」
「やっとのことで術式を持ち得た血じゃ
…
それが女子であっても、家の跡継ぎにするほかない。
…
だがそれも
…
」
「加狭蒼祢によって、封じられた
…
と」
楽巌寺学長の言葉を引き継ぐようにして、夜蛾学長が喋った。
そしてそれに、楽巌寺学長も頷きを返す。
「様々なことがご破算じゃ。相当な騒ぎになったことは想像するに容易いことじゃが
…
表沙汰にはならんかった」
「何故か
…
は、わかるじゃろう。人知れず死んでもらうのが、呪術界の安寧じゃ」
…
それは、そうか。呪術師にとっては脅威でしかないだろう。
そう思いながら、俺はまた作業に戻った。
「だが処刑はされず、永久追放
…
ですか」
「処刑しようにも、しがらみが多かったのかもしれんの
…
分家とはいえ、御三家の血じゃ」
「それも元の家柄も良いとなれば、尚更じゃろうて」
…
そこでまた、しばし沈黙が広がる。
その間で俺は作業を終わらせ、楽巌寺学長へそっと茶碗を手渡した。
彼もそっと受け取ると、満足げに頷いてくる。俺はそれを確認してから、また自分の席へと戻った。
「彼は呪術界にいることを許されず、そして彼らもそれを望みはしなかったと聞いておる」
茶碗を手の中で回しながら、楽巌寺学長はそう話す。
「
…
彼ら?」
「そうじゃ。
…
生家を捨て、呪術界をも捨てて
…
その件の二人は、互いの手をとったということじゃの」
そこで彼は話を止め、ゆっくりと茶を飲み始めた。
…
えっと
…
それは、つまり
…
。
「それってさ~」
「うわ
…
」
俺の横からにゅっと、まさに横入りしてきた五条さん。
そんな彼を見て、思わず俺も声が出た。
「なんでアンタが話に入ってくるんだよ」
「ん?僕も聞いてたんだけど」
「なんでだ
…
」
「君の担任だから!」
堂々と言ってるが、話に入ってくる理由にも、聞いてた理由にもなりきれてないと思う。
いや、学長が呼んだ可能性があるか
…
と考えた途端、否定する言葉が聞こえる。
「呼んでないぞ、悟」
「いいじゃないですか別に!ってかめっちゃ面白い話なのに、除け者にするのってなくなーい?」
この話し振りからして、彼は話のおおよそを聞いていたようだ。
「めんどくせぇ
…
」
「だから呼ぶなと言ったんじゃ
…
」
俺も本音が出てしまうし、楽巌寺学長も嫌気の滲んだ声を出している。
「お爺ちゃんも知ってるなら、サクッとささっと教えてくれたら良かったのに」
そんな俺らの反応にも堪えず、五条さんは不貞腐れたようにぶー垂れる。
そこで夜蛾学長が大きくため息をついた。
「
…
私が事情を話したりして、交渉した結果だ。悟
…
お前の態度が、話をややこしくさせた部分もある」
「え、そう?
…
まぁ、それは置いといて!」
置くな、しいて言うなら座れ。正座だ、正座。
…
俺ら三人が向ける目をスルーした五条さんは、わざとらしく咳払いをする。
「んん
…
つまり!」
交流会の片付けや着替えも終わらせ、時間を少し持て余した人が集まった休憩所。
…
そこでは、簡単に話を広める五条さんが騒いでいた。
「良いとこの坊ちゃんと、良いとこのお嬢さんが駆け落ちして
…
で、その子孫が衛ってワケ!」
ヤバくな~い?
…
などと、周りへ同意を求めているらしい五条さん。
確かにヤバイはヤバイんだが
…
それ以上にアンタがこの話を、俺の了承もなく言いふらしにかかったのが一番ヤベェんだよ
…
!
「それって言うなれば
…
京都の加茂センパイとこっちの狗巻センパイが駆け落ちして、その子どもが衛ってこと?」
「その例えはやめろ、虎杖
…
!」
「おかか!!:心外」
ヒドい流れ弾が飛んでいる
…
なんかスマン、狗巻先輩。と、加茂さん
…
。
そんな会話の横で、真希先輩が割とどうでも良さそうにしながら、話に乗っかってくる。
「でも納得だな。憂太も血筋だったし、衛もそういう血だったって話だろ?」
「やっぱ良いとこの出じゃ~ん」
「駆け落ちしてる時点で、家も何もないっスよ
…
」
パンダ先輩のノリも、軽く受け流しておく
…
。
だが、更なる言及を野薔薇が言ってくる。
「その時代にしてはファンキーな先祖だったのね。ドラマでもなかなか観ないわよ」
そう言われると肩身が狭いというか
…
気まずさしかねぇよ!
「
…
長く生きてきたが、想像もできないとはこのことか」
連れ添って歩いていく若者二人の後ろ姿を見て、楽巌寺はそんなことを呟いた。
「彼女は高校生のときに、呪霊の騒ぎに巻き込まれておったが
…
そのときの反応からしても、呪力なしだったはず
…
」
「彼は巻きこまれた覚えはないと」
夜蛾の反論に、楽巌寺は
…
それはそうじゃろうて。と、冷静に返した。
「騒ぎから少し外れた場所で、何も視えぬまま、何も把握できずにおったようでの。肝が太いのか、間が抜けておるのか
…
」
「気がつかないように思考を止めたのかもしれません。自らの力を封じていたわけですから」
「
…
そうかもしれんの。それに
…
封じておるのなら、解くことも可能か」
それによって数年越しに現れた高専生であり
…
青嶺の名と、その術式を継ぐ者でもあった。
奇しくも、楽巌寺は五条に言われた言葉を思い出す。
…
「これからの世代は、特級なんて物差しじゃ測れない」
…
彼もまた、その波の一つであった。
「夜蛾、あの子の扱いには十分気をつけよ。あの状態でなくても、彼女は呪術界に関わってよい存在ではない」
「重々承知しています。元より彼も、ああならなければ、ここには居なかったでしょう
…
」
「その辺りを理解していたというのも、ますますあの町の人間らしい
…
」
楽巌寺は小さい声で、ぼやきをこぼす。
「まったく
…
年上を敬う気のない年下ばかりで困るの
…
」
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