MN*B
2024-06-21 01:42:46
25835文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.14 乱ちき騒ぎで裏話

シリーズ中第28話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねをいつもありがとうございます。
お待たせしました!

 
今回、交流会二日目です。
ちょっと場面が行ったり来たりしてるとこがあります。読みづらいかもしれません。
しかも説明が多かったのもあり、長くなりました。
茶道みたいな描写がちょろっと出てきますが、書き手は詳しくないのでカジュアルめに書いてます…。

次回、修行回です。
情報と現状の整理回でもあるかと。そして同時に荒れる感じですかね。
タイトルは、ほかにいいのが思いつかなかったらそのまんま行きます。
あげるのもまた2週間以内だと思います。

その次もまだ、実質八十八橋には行かないかと思います。文字数によっては行くかも、です。

 

【呪術甲子園選手テロップ:パロ】

[➆青嶺衛 外野手]
[リンスインシャンプーを愛用中。香りが「ガキ臭ぇ」と女子からは不評]

 
【なぜ外野から東堂まで、遠いはずの青嶺は駆け寄ったのか】

人柄。

 
 
#オリ主 #夢術廻戦 #伏黒恵 #釘崎野薔薇 #楽巌寺嘉伸 #夜蛾正道 #狗巻棘
2021年8月15日 22:20



 ベッドの上で身体を起こしている恵が、真剣な話をしていた。

「我を通さずに、納得なんてできねぇだろ。弱い術師は我を通せない」

俺はそれを聞きながら、ベッドの端に座る。
彼の言うことはもっともでそして俺は結局、弱いままだ。

「俺も強くなる。すぐ追い越すぞ」

「ははっ相変わらずだな」

俺もこのままじゃ駄目だ
思うこととは裏腹に俺は拳を握ることもできず、彼らのことを見つめた。

「私抜きで話進めてんじゃねーよ」

二人に対して、釘崎が不満げに言う。
そういえば、俺と恵のときの会話にも、釘崎は入ってなかったな。

「それでこそ、ブラザーの友達だな」

俺の横で、東堂葵が穏やかな表情をして頷いている。
そんな彼と俺のほうを見た三人は、スッと黙ったあと一気に湧き上がる。

「おわぁーっ!?」

「いつの間にお前ら入って来た!?」

ひっくり返りそうな悠仁と、どよめく恵。
そんな彼らの反応に、俺もたじろぎながら話す。

「なんか真面目な話、してたからそっと入った」

割と話の始めのほうから聞いてたんだがまさか気付いてなかったのか。
こっちとしても、ちょっとだけ驚いたぞ

「そういう気遣いの方向音痴やめなさい?」

釘崎が呆れた顔をしてそう言った。


 なんでか悠仁は、窓から部屋を飛び出し、裸足で外へ駆け出していく。そしてそれを追って、東堂葵も飛び出していった。
二人の食い違った言い分が、ここまで聞こえてくる。

どっちの話が正しいんだ?」

「どう考えても虎杖のほうだろ

「やっぱりアンタって、ちょっとバカよね」

でもどっちも嘘はついてなさそうなんだがそれだと、東堂葵って……
思い浮かびかけた考えを、頭を振って飛ばす。さすがにあれだ。うん。

 窓の外を眺めていた俺へ、声がかけられる。

「それよりもお前大丈夫なのか?」

お互い医務室へ運ばれたが、彼に比べて、俺の帰りがだいぶ遅かったから出た言葉だろう。
その言葉に、俺はゆっくりと恵のほうを向いた。そしてなんとなく、自分の右腕を掴む。今の恰好は私服のため、どこか心もとない
重ねられた"守り"越しに触れるのは、腕に巻かれた ほどけかけの呪符だったもの。

「医務室には呪符を貰いに行ってただけだ。無駄になったけどな」

両腕に巻いてあるそれは、右腕分はズタボロでもはや機能していない。その上から嵌めていた手袋も穴が空いたりしている。
左腕はどちらもまだ無事だが時間の問題か無駄の、どちらかなんだろう。

「うわ、ズタズタね。あぁ、アンタの呪具って生意気だったわ」

「その感想もどうなんだ

俺の腕を見た釘崎がそんな感想を漏らし、恵が呆れたように呟く。
釘崎はあの場にいなかったから見てないし、まぁそんな反応にもなるか

「気にすんな。俺が気にしてないんだから、お前も気にするな」

沈んだ俺を見透かしたように、恵からそう言われる。

「浅かったし切り口も綺麗だったから、痕は残ってねぇもう治ってる。見たらわかんだろ」

ぶっきらぼうにだが、こちらを気遣ってくる恵。そんな彼の顔を、俺はまじまじと見つめた
見た目は確かにそうだがでも、俺が傷つけたことは変わらない。

「気にすんなつってんだろ」

少し怒り気味に恵が言ってきてなぜか手招きをされる。
戸惑いながらも俺がおずおずと近寄ると彼は素早い動きで、手に持ったものを俺の口に押しこんでくる!?
ピザだ、これ!!
彼の膝の上に置かれていた箱の中身残っていたそれを、なんでか食わされている。

「それで手打ちだ」

どういうことだ!?
よくわからないが、気を遣われた結果なのは確かだった。

 俺は目を白黒させながら、押しつけられたそれを、大人しく咀嚼していく。
そんな俺を見ていた恵が、そんなことより。と、話を切り替えた。

「どういうことなのか、話してもらうぞ。約束通りな」

恵の念押しに俺はゆっくりと頷く。
悠仁にも、話さないとな。

また勝手に話進めてんのねと、釘崎の不貞腐れた声が聞こえた。
わざとじゃないぞ




 悠仁が戻ってきてから、俺は話を始め粗方のことは白状し終わった。のだが。
俺は居心地の悪さにちょっとだけ縮こまっていた。
まだなんか隠してるな、って顔で恵から見られている。しかしそれに、俺は堅い意思でそっぽを向く。


 さすがに、俺だけに開示された情報なんかは教えられないし俺にだって話す気がないものくらいあるのだ。
特に今回の件については、相手の呪霊のこともあり、俺は教師陣と密に情報を交わしている。侵入者が俺の情報パクってったとか被害についても聞いてきたところだ。
学生に話していいことなら、じきに夜蛾学長とかから話があるだろう。俺が話すことじゃない。

 ただその代わりというか、話の流れとして避けられないこともあった。
俺の状態と、その能力の説明に伴い"真人"とか呼ばれていた、あの呪霊のことだ。
今回はアイツが出した犠牲もある能力からしても、いずれ周知されるはずのことなので、その情報の共有も兼ねることとなった。そもそもすでに悠仁は知ってるしな


 話を飲みこめたらしい釘崎が、得心がいったような顔をしている。

「ふーん。だからあんなデザインの制服着てたってワケ」

「いやそれは獣鉤手のせいなのは変わんねぇけど」

でも、あまり手を晒したくなくなったのはそうだ。自分でも意識しないうちに使っていたことがある以上
俺がそう考えて、視線を下に落としていると釘崎からの容赦ない追撃がくる。

「ビビりね。しかもヘタレ」

「そう言ってやんなって。色々と本人も悩んでたし

悠仁からフォローされるものの釘崎の言っていることはあってるので、俺から言えることは何もない

「悩みすぎっつーか、気にしすぎなんだよ。前からな」

「それはそう。内側でぐるぐる考えるより、話してくれたほうがいいんじゃねって思う」

「そうよ。アンタって諦めが悪いのよねゲロったほうが早いわよ」

簡単に言うな言えたら苦労してねぇよなんて言葉も言えずに黙りこむ。
彼女の言う通り、話し出してしまえば早くそして、俺は変わらずここにいる。


ほら、手ぇ貸しなさい」

「なんでだよ

「いいから出せ」

釘崎から凄まれ、有無を言わさず俺は右腕を掴まれる。
着けっぱなしもダサいと言われ、手袋も呪符も引き剥がされた。
その流れで、手のひらを中空へ差し出した格好になりそのままそれを悠仁のほうへ向けられてしまう。

「おい待て」

「ヘイ、ターッチ!」

「はいよ!」

掛け声に合わせて、ペチンと手のひらが合わさった音が鳴る。

「いるか?その掛け声」

そんな小言を言いながら、恵も同じように俺の手とハイタッチした。
ノリ悪いわよと、釘崎は恵に文句を言っている。
いや、してる時点でノリはいいだろ

トドメとばかりに、俺の手のひらをベシベシと叩いていく釘崎。
そうしてからやっと、俺の腕は解放され俺は自分の手を見つめた。

「そんくらいでビビられるとでも思ったの?ホント、バカね~」

俺は俯いたまま、反論を試みようとする言葉が出る。

「だって

「だってもへったくれもないわよ。人のこと舐めすぎ言っとくけど私、アンタよりこの業界長いんだから」

「俺もな」

やはり言い返すこともできず、俺はむっすりと黙りこんだ。
なんでか釘崎は、そんな俺の頬をつつき始める

「ってか、しれっと二人のこと名前呼びよね。私は?」

正直な話をすると、先輩たちの流れで、俺も釘崎のことを名前呼びになりそうではあった。
だがそれを、俺はずっとそうならないよう、注意して避けていたのだ。なぜなら

釘崎は名前で呼ぶと、怒りそうだし

「ハア!?どういう意味よそれ!」

「わかる~」

悠仁が同意し、恵も密かに頷いている気配がする。

「気安く名前呼んでんじゃねぇぞ!って言いそうだろ

「決めつけんな!」

釘崎は俺の頬をつつくのを止めて、今度は引っ張り始めた

「この野薔薇さまを敬え!崇め奉りなさい!!」

それだと 尚更 しょへたと にゃおしゃら呼べねぇヤツ ひょへねぇひゃう!」

「敬うのはいいんだ

「崇めるなよ」

感謝はしてる。
それこそ、痛いくらいに。ってかホント、地味に痛いぞ。

俺は涙目で釘崎野薔薇のほうを見る。
やめてくんねぇかな、という思いをこめて見ても彼女の気が済むまでダメそうだった。