03.不穏な挑戦
常日頃のふとした合間毎にこの世界とゲームについてぼんやり考えていたところ、私は唐突に一つの仮定に行き着いた。
救済。
生田目はそう宣ってテレビに人を入れている。
決して殺人を犯そうとしているわけではなく、あくまで、マヨナカテレビに映った人間を救うために行動している。
そして結果的に彼が入れた人間たちは皆生存している、だから過ちに気づかない。
それから、ゲームのシステム。
こちらは確か、期日までに救出することができなければ、そこでゲームオーバーになった筈だ。
それならば、どんな形であれ
――
人が死んだら、ゲームは終わる。かもしれない。
(
…………なら、私が映れば
………?)
思いついた次の瞬間には既にペルソナが居るのだから無理かと思ったが、いやでも、どうなのだろうと考え直す。
報道された人のことを知りたいという大衆の望みに呼応してマヨナカテレビが出演者を選ぶのならば、可能性は0ではないはずだ。それに影が一体だとは限らないんじゃないか?あるいは影が一人に一体だとして、それならばそれで
――
(やってみても、いいのかもしれない)
私はごくりと息を飲んだ。
試してみる価値は、ある。
(うまくすれば、林間学校もサボれるしな
………)
そう、やるなら、今なのだ。
*
「
…………………は?」
なんで。なんで。どういうことだよ。意味わかんねえ。
晩のテレビを見ながら、足立は混乱していた。
今日は
三琴を家まで送った後も署へ戻って仕事してへとへとになって帰ってきて、途中で買ってきた惣菜を食卓へ広げてさて食べようかというところで何とはなしにテレビを点けて、偶然合っていたチャンネルのニュース番組を景色のように眺めて。
そこまではどうということはない、よくある日常のひとコマだ。
しかし、そこにはイレギュラーが一つあった。
「続きまして本日の『デイリーピックアップ』今回はなんと特別ゲストとして謎の占い師、羽島なごみさんにお越しいただいております。羽島さん、よろしくお願い致します」
「よろしくお願いします」
「さて、羽島さんは予言ができる、とのことですが
――」
よく見る男性アナウンサーの隣に座る、フードをかぶった少女。
目は長めの人工的な青い髪に覆われてよく見えず、その顔は口元だけが露になっている。
しかし、足立にはその少女に嫌というほど見覚えがあった。
「青いヅラって、どんなセンスだよ
……」
悪態を吐き出してから直ぐ、足立はそういえば彼女のペルソナは青い髪をしていたなということをぼんやり思い出した。しかしそれにしても変装のわりには何も隠せていない。声も変えていないし、知っている奴からすれば、どこからどう見ても
三琴だ。
まったく何をやっているんだか、そう呆れた表情を浮かべてぱきりと箸を割りつつ、惣菜を摘まみ上げる。
くだらないことばかり話すアナウンサーの声と雨音を聞き流しながら、足立はそのまま黙々と食事を口に運んだ。
(
――雨音?)
「
………………まさか、ね」
よぎった嫌な予感が胸を騒がす。
足立はぷつりとテレビを消した。
<了>
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