佐藤
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P4 chapter4:一触即発

6月頃の話。無意識下にて変容する(全6話)


01.傍目に見ゆる睦まじさ

日が暮れて間もなくの晩、「たまには菜々子をジュネスに連れていってやろうかと思うんだが、お前はどうする?」という堂島の誘いに連れられ、鳴上は菜々子と堂島と三人でジュネスに来ていた。
「エブリデイ・ヤングライフ・ジュ・ネ・ス!」と口ずさみすっかりはしゃいでいる菜々子を微笑ましく思いながら、鳴上は目についた適当なもの――傷薬セットを一つ手に取りかごに入れた。これならテレビの中に持って行っても使えるだろう。
そんなことを考えつつ堂島や菜々子の後をついて離れない程度の速度でカラカラとカートをゆっくり転がしていると、突然ぴたりと菜々子が歩みを止めた。
どうかしたのかと鳴上と堂島が様子を伺うと、何やら顔を赤らめもじもじしている。

「お父さん、おトイレ行きたい………
「ん、そうか……おい悠、ちょっと菜々子を連れて行ってくるから、荷物頼んだぞ」
「わかりました」

恥ずかしそうに言って堂島のシャツの袖口をひっぱる菜々子の頭を撫でて堂島は振り向くと、菜々子と共に鳴上の横を通りすぎていった。一人残された鳴上はあまり移動するのもよくないだろう、と思って付近のコーナーをざっと見渡してみた。
すると彼は少し離れた精肉コーナーの一角に、彼の見知った二つの人影を発見した。

(平和島……と、足立さん………?)

二人の方は鳴上に気づいていないようだ。
何となくじっと見つめていると、話し声が聞こえてきた。

「何で一緒に買い物来る必要があるんですか………
「身辺警護って言ってるでしょ。それにそうじゃなくても女の子が夜中一人で出歩くもんじゃないよ」
「だからってあなた、刑事としがない女子高生が夜中一緒にいるってのも世間的な見た目どうなんです」
「そりゃなんとでもなるって。一人でふらふらしてたから補導したとか」
「私を勝手に不良にしないでくれます?」
「ん、ちょっと待って、それやめてあっちの牛ロースにしようよ。僕あっちのがいい」
「何故私の夕食にあなたが口を出すんですか……というかダメです牛肉高いですし」
「えぇ!?僕の分も作ってくれたりしないの!?」
「むしろ何で作ると思ってたんですかそれなら材料費払ってくださいよ」
「あ、材料費払ったらいいんだ?」
「!?」

……夕食の買い物とその付き添いだろうか。
悪態を吐きながらも会話を絶やしはしない様に、平和島が足立へ心を許しているような感じがした。
そして彼女と会話を続けようとしているらしい足立にもまた、平和島への思いやりのようなものを感じる。

自分と話しているときと比べた平和島の印象の違いに、鳴上は少しだけ平和島のことがわかった気がした。

……それにしても、身辺警護って、何だ………?)


<了>