【デデカビ】すぐ近くにある奇跡【小説詰め合わせ】

※新作ゲームのネタバレ含みます※喋ったり喋らなかったり飽きずに大体ふせったーの妄想集めてまとめた感じです。

◆適度に便りを送りましょう
※世界観がつばさ文庫っぽいですぽい

どたどた。大きな足音を立てながらデデデ大王が自分の城の門をくぐります。
「偉大なる王様のお帰りだ! みなもの出迎えよ!」
デデデ大王自身が声高らかに城にいるワドルディたちに言えば、間髪置かず小さな影がひとつふたつと増え、あっという間にデデデ大王を囲むように集まった。
「うむうむ。出迎えご苦労!」
実に満足げに踏ん反り返るデデデ大王の後方。ビルのごとく高く詰まれたお土産の数々を何とかひとりで持っていたバンダナワドルディが力尽きたように倒れ込んでしまった。色んな惑星を巡り購入したお土産の数々が音をたてバンダナワドルディの上に降り注ぐ。
「なにやってるんだわい」
お土産の山の中に手を突っ込み伸びていたバンダナワドルディをデデデが引っ張り出します。
「あ、ありがとうございます~
目をグルグル回しつつ、デデデ大王にお礼を言うバンダナワドルディ。揺れ動く視界に今までの思い出が駆け巡っていきます。
今回はデデデ大王とふたりで【まんぷく!銀河のグルメ惑星ツアー】なるものを強行され、デデデ大王の気の向くまま色々な惑星を訪れてはおいしいご飯を食べ、あれやこれやとお土産を買いやっとプププランドに戻ってきたのだった。
「お前はもう休め」
「はい~、ありがとうございます~
「誰かバンダナワドルディを部屋で休ませろ。あと、土産はお前らでなかよ~く分けるんだぞ」
デデデ大王は積み上がったお土産の山からひとつ取り、まだ目が回っているバンダナワドルディの上にぽんと投げた。
言葉では伝えないものの、付き合ってくれてありがとうと労いの気持ちを含めた行動にバンダナワドルディがはにかみまたお礼の言葉を言うのでした。

沢山のお土産を囲んで賑わうワドルディたちをかき分け自室に戻るデデデ大王は懐から小さな箱を取り出した。
デデデ大王の手にすっぽり収まる小さな箱。慎ましやかであるが、ラッピングを施された箱を見つめる視線はとても優しく徐々に悪そうなものへと変わっていく。
「ふっふっふっ。これを渡す時が楽しみだわい」
だけど、今日は旅の疲れもあるので渡すのはまた今度。
デデデ大王は小さな箱を大事に自室の引き出しの中に入れたのだった。

翌日。のんきな春色を探すべくデデデ大王は小さな箱を持って城を出ました。
とかく城に遊びに来るのを待てばいいけれど、やはり早く反応を見たくてうずうずが止まらない大王の足は自然と早歩きになります。
見慣れた家、カービィのまんまるな家の前に着き、デデデ大王は大きく咳払いしてから扉を叩きました。
でも、返事がありません。
デデデ大王の手がドアノブに伸びます。がちゃり。鍵がかかっていない扉は小さく鳴きながら開きました。
中を覗きましたが誰も居ません。灯が消えた薄暗い部屋の中を目を凝らしてみたけれど、やはり家の主カービィの姿は何処にもありませんでした。
「どこか出かけているのか?」
残念な気持ちがにじみ出ている手で扉をデデデ大王が閉めます。が、すぐさまパッと表情が明るくなりました。
「ま、その内ひょっこり城に来るにちがいないわい」
その時までのお楽しみだといわんばかりにデデデ大王の顔に笑みが零れます。
小さな箱を懐にしまい何処か上機嫌で城に戻るデデデ大王はこの時、まさかカービィに会えない日々がはじまるとはつゆにも思っていませんでした。

次の日。城でカービィが来るのを待ちましたが、カービィは来ませんでした。
その次の日。お散歩がてらカービィがいそうな場所を探しましたが、カービィは見つかりませんでした。
その次の次の日。旅行の間城にいたワドルディたちにそれとなくカービィのことを聞きましたが、みんな最近見てないねどうしたんだろうというばかりで目ぼしい情報は得られませんでした。

それからどれ位経ったのか。いつでも渡せるように懐に忍ばせている小さな小箱は始めの頃よりくたってしまっています。
玉座に座り両手で小さな箱を見下ろすデデデ大王の顔は浮かびません。
最後にカービィにあったのはいつだっただろう。デデデ大王が記憶の蓋を開けます。
グルメ旅行を邪魔されたくなくて、こっそりプププランドから抜け出したのだから、旅行に行く前から、その時から会っていない。
沸き立つ感情が小さな箱を掴むデデデ大王の手をぎゅっとさせます。
カービィをおびき出すために開催したグルメレース。でも、カービィはやってきませんでした。
プププランドおよびポップスター中をワドルディたちを筆頭に探させました。でも、カービィは見つかりませんでした。
「デデデ大王様、お食事の時間ですが
デデデ大王はおずおずと声を掛けるバンダナワドルディをちらりと見た後、すぐに視線を小さな箱に戻します。
「──いらん」
「ですが、食べないとお体に障ります
「──食べる気がしないんだわい」
「デデデ大王様
日に日に食欲がなくなり最近では以前では考えられないほど食事を取らなくなってしまったデデデ大王にバンダナワドルディが今にも泣きだしてしまいそうな顔で見つめます。
そんな時です。ビーッビーッ。けたたましい音が城の中に響きます。
バンダナワドルディが急いで通信室に駆け込みました。そして、通信を始めるなりのんきで元気な声が城中に響き渡りました。
『あ! バンダナワドルディひさしぶり~、元気だった?』
画面いっぱいに広がるカービィの顔。その後ろでは何やら喋っている様子。カービィがその声とうんうん喋った後、カービィが画面から少しだけ離れた。
通信をキャッチした時から分かってはいたけれど、やっぱりハルバード内にある通信室からの通信にバンダナワドルディの目が輝く。
『あのね、あのね。ちょっと旅したくなっちゃって色んな星行っててさ~。そしたら次の星に行こうとしたらハルバードが見えてね、それでそれで』
涙を浮かべ始めているバンダナワドルディがカービィに声を掛けようとした瞬間、いきおいよく何かがぶつかりころりと吹押し出されてしまいました。
『あ、デデデ大王。やっh』
「オレ様を置いて今までどこほっつき歩いてたんだ!」
カービィの声を遮る形で叫んだデデデ大王の声がハウリング起こしました。キーンとした音が収まる頃には流石のカービィも体を縮こませます。何か言いたいけれど、何を言えば分からないカービィの横からメタナイトがひょっこり顔を出しました。
『今からカービィを連れプププランドに帰還する』
そう短く告げるなり、あっさり通信機を切ってしまった。
暗くなった画面に顔を真っ赤にさせたデデデ大王の姿が映り込む。
「だ、大王様
恐る恐るバンダナワドルディが声を掛けます。
……がへた」
「え?」
デデデ大王の言葉がうまく聞き取れず聞き返せば、先程の大声と同じくらい大きな声がバンダナワドルディの体を揺らします。
「腹が減った! 今夜のご飯は豪勢なものをいっぱい用意せい!」
いうな否やデデデ大王はどすどす足音を踏み鳴らして通信室から出て行ってしまいました。
その背中をボーっと見ていたバンダナワドルディの顔がみるみる内に明るくなり、もう見えなくなってしまったデデデ大王に元気よく返事を返しました。

大きな足音を踏み鳴らしていたデデデ大王の歩幅が徐々に狭まり、ついには止まりました。
デデデ大王は自分の胸の中で暴れまわる混ぜこぜになった気持ちを落ち着かせるため大きく息を吸い吐き出します。
ごそごそ、懐から出した小さな箱は少しくたくたになってしまっているけれど誇らしげに胸を張っているようでした。
やっとか。随分長かったわい」
ぎゅうっと小さな箱を抱きしめるデデデ大王の顔はとても穏やかなものでした。







おまけ
Q,なんでメタナイトはハルバードを飛ばしてカービィを回収したの?
A,滅茶苦茶落ち込んでいる大王は別に構わんが、カービィと今後戦う際一定の場所にいてくれた方がこちらとしても都合がよいため回収したってのは表向きの話。実際は自分が帰る場所にカービィがいて欲しいから思考(男は船、女は港てきなあれです)