【デデカビ】すぐ近くにある奇跡【小説詰め合わせ】

※新作ゲームのネタバレ含みます※喋ったり喋らなかったり飽きずに大体ふせったーの妄想集めてまとめた感じです。

◆『要らぬお節介とはなんだ?』

『暇だ』
カービィの奇跡の力により光の粒子となってエフィリンの中に入っていったエフィリスは暇を持て余していた。
博愛に満ちたエフィリンと再びひとつになった時、ついでに自我さえ消えてなくなっていれば良かったものを神の悪戯かはたまた気まぐれなのか。エフィリンの目を通して彼の世界の様子を眺めることが出来た。あきれ返るほど平和な町の様子はエフィリスにとって少々物足りない。
だが、片割れのエフィリンがこれがいいんだよと笑顔で言うたび、そういうものかと漠然と思っていた。
しかし、エフィリスには気になることがある。
エフィリンの目に映るでっぷりとその体を横たわらせ、その視線は一心に自身を打ち破った者を遠目から片時も逸らさない。嘗て洗脳し支配していた異国の王と謳う──デデデと言ったか。その者の心の声とやっていることの矛盾にエフィリスは疑問を覚えた。
『我を捕獲した輩はもっと気持ちに素直だったぞ。何故貴様は素直にならん?』
実に忌々しい記憶であるが、エフィリスを捕獲した者達は良くも悪くも自分たちの欲望に忠実だった。純粋に欲し研究し力の解明と活用方法を見出すことに躍起になっていた。
なのに目の前で横たわるこの者は自身の気持ちを抑え込むだけでは飽き足らず半ば諦めているようにも見える。
『ちょうどいい』
エフィリンの中にいては暇で如何にかなってしまいそうだったところに現れた体の良い暇つぶし。早速エフィリスはエフィリンに精神干渉する力の使用許可を求めた。
エフィリンは最初戸惑うもエフィリスがこれはデデデのためでもあると交渉を続けた。精神支配したときにその者が貴様の隣にいる者をどう思っているか知っており、その者も喜ぶと結果的にエフィリンを唆すかたちになってしまったが、晴れて精神干渉する力の使用許可が下りた。
まだ乗り気でないエフィリンを横にエフィリスの目が怪しく光り意識をデデデに向ける。
『素直になるがよい』

「!──、!?」
そんなことなぞ知らないデデデの頭が突如以前操られた時のようにうまく考えられなくなった。賑やかだった町の喧騒の全てがノイズになり、ただ一つの声だけやたらはっきり響き聞こえた。
忌々しい四足歩行で寝ていた台座から飛び起きるや否や、タマコロに挑戦すべく店主に声を掛ける寸前だったカービィの後ろに迫っていく。
急に影が掛かり不思議に思ったカービィが振り返る。荒々しい息遣いを隠すことなく目を赤色に染めたデデデがパクっとカービィを頬張ったまま猛ダッシュで森の中へと消えて行ってしまった。
突如起きた出来事に町の中が静まり返る。
そして、エフィリンの「ど、どうしよう!」の声を皮切りにわにゃわにゃと慌てふためく悲鳴が響き渡った。

町から離れた場所まで駆けてきたデデデは周りに誰もいないことを確認してから口に頬張っていたカービィをきゅぽんと吐き出した。
ころころ転がりながら何が起きたのか分からず小首を傾げるカービィ。その様子を見ていたデデデの険しかった顔つきが徐々に戻っていき、何故こんな場所にと頭に疑問符を浮かべたのも束の間朧げに浮かぶ自分の所業に血の気が引いていく。
頭を抱え蹲るデデデにカービィが近寄り白いボンボン付の冠越しに頭を撫でようとした小さい手をデデデの手が掴みそのまま腕の中へ閉じ込めた。
ぎゅむぎゅむ抱きしめるデデデの表情は近すぎて見えないけれど、特に攻撃を加えてくる雰囲気ではないのでカービィは気にせず流れに身を任せていたら。
……
弱々しく小さなか細いデデデの声。
まるで希うデデデにカービィが返事を返そうとすれば返事を待たずにデデデの口がカービィの小さな手をやんわり食む。カービィの返事を聞きたくないかのように今度は頬を、口端を食むデデデ。
痛くはないけれど何故か分からない感覚にカービィが顔を逸らすのに合わせデデデの口も動く。
懐かしい感触。デデデが目を閉じてもっと味わおうとしたら、カービィの柔い手がぐっとデデデの顔を押し返した。デデデの表情が不服そうに歪まれるが、そんなことお構いなしにカービィがキッラキラの笑顔でマキシムトマトを取り出したかと思えば今度は自らデデデの口に突撃した。
カービィが満足気な顔で口を離すもんだから先程まで漂ってた雰囲気が馬鹿らしくなってデデデが吹き出す。
これがしたかったんでしょ!と言わんばかりのカービィに嗚呼そうだなと笑うデデデ。



町の中が阿鼻叫喚の図なっていると、なんかすっきりしてるデデデと変わらず元気なカービィにそこかしこから「わにゃ〜(あら〜)」と声が漏れ、エフィリンは終始デデデに謝り倒すのだった。