【デデカビ】すぐ近くにある奇跡【小説詰め合わせ】

※新作ゲームのネタバレ含みます※喋ったり喋らなかったり飽きずに大体ふせったーの妄想集めてまとめた感じです。

◆注文はこちらでよろしいですか?
※デデカビ←アル?

欠伸が出るほど平和になりつつあるワドルディの町。
ビースト軍団とも無事和解して町の中にはガルルフィが遊びに来たりコロシアムに挑戦する者など賑やかさに拍車を掛けている。
ぽてぽて。カービィが元気よく町中を駆け回る。今日は何をするか決めているらしくコロシアムの受付に向かって一直線。
どのカップにエントリーしようかな。カービィが隣でふわふわ浮かぶエフィリンに話しかけようとしたその時、あまり見慣れない背中が受付のテント横から覗いているのを見つけた。
コロシアムの受付を通り過ぎカービィが丸く硬い色んな標識を付けている背中に近付く。その背中の主は後ろから近付く気配を察して振り返った。
丸い背中の主──、アルマパラパの大きな目がカービィの姿を捉えるなりランランと輝いた。
「ひさしぶり、アルマパラパ!」
アルマパラパの傍までふわりと飛び挨拶をするエフィリンにアルマパラパも元気よく右手を上げて挨拶を返す。
「めずらしいね、どうしたの?」
依頼の確認がてら遊びに来たんだ、と。一部含みのある言い方にエフィリンは首を傾げ、特に気にしていないカービィはあまり見ない来客をずっと見上げていた。
……
丁度アルマパラパの影に隠れる形で横たわっていたデデデ大王が珍しく体を起こした。その際、何か手元にあったものを自身の背中に隠すよう動かしていたのをアルマパラパが横目で見遣りクスクスと小さく笑う。

アルマパラパがワドルディの町に訪れる少し前のこと思い返す。
ビースト軍団の中では手先が器用なことを買われたアルマパラパはデデデ大王にあるものを頼まれた。
あれはたしか
溢れる創作欲求を解消すべく谷に籠り続けていたアルマパラパの棲家は以前よりもうず高く積まれた、傍から見ればガラクタの山の中で人形を作り絵を描き続けていた。
そんな物好きな者のところに来訪者が現れた。見知った顔だった。その者はあるものを作って欲しいと言った。
アルマパラパはそれならと、以前作った人形をその者に手渡した。まだまだ改良点はあるものの、今出来得る限りで一番の出来だ。
だが、その者はそれを受け取るなり顔を顰め人形を突っ返す。どうやらこれではないらしい。ならば、と今度は若木色のふわふわで小さくできたぬいぐるみを渡そうとした。本物にはまだまだ劣るが、我ながら会心の出来。
でも、受け取る以前に首を横に振られてしまう。これでもないらしい。
何がいいのだろうか。アルマパラパが頭を抱え唸っていれば、その者は今先程から一心不乱に書いていた絵を指さす。
それは丸くて小さいピンク色の──。あまり気乗りせずアルマパラパは書いていた絵を手に取り、その者と絵を交互に見た。渡す気は更々起きない。なぜならば、書いていた絵も以前作った小さくて丸いピンク色のぬいぐるみも満足する出来じゃなかったからだ。
もう少し満足するものが出来たら渡しに行く、それでは駄目か。そう提案すれば了承されたので、アルマパラパは自分が納得する出来になるまで丸くて小さいピンク色の、カービィの絵を描き続けた。
そして、ついに満足できるものが出来たのでワドルディの町にやってきたのだ。
早速依頼したものを渡す。その者にとっても絵の出来に付いては表情筋が仕事を放棄しているので分からないが、おまけで作ってきたカービィのぬいぐるみはそれなりに気に入ってくれた、とアルマパラパは思う事にした。
そして、ワドルディの町に直々に来たのは依頼の品を渡す目的もあるが、一番は本物を観察する事であった。やはり本物を隈なく観察するからこそ良き作品が出来る、アルマパラパの鼻息も荒くなる。

アルマパラパは少しばかり困惑気味のカービィを恭しく鋭い爪で傷つけぬよう持ち上げ色々な角度で観察する。
小さい。ふわふわ飛ぶ。丸い。ピンク色。ぷにぷにと柔らかい体。
もっと、もっと知りたい調べたい。隠し持っている檻に閉じ込めて棲家に持ち帰ってじっくり観察した──。
そんなアルマパラパの只ならぬ気配を感じてか、懐から出したハンマーをデデデ大王が徐に掲げている。
一度目つきを鋭くするアルマパラパだったが、すぐに冗談だよと気を緩めカービィをゆっくり地面におろした。
ただちょっぴり残念な気持ちを隠しつつ、アルマパラパはカービィたちに手を振りながら町を後にした。
「なんだったんだろうね」
エフィリンとカービィはアルマパラパがなんで町に遊びに来たかは分からなかったが。
「そうだね! 今度遊びに来たら一緒にカフェでご飯食べたり出来るといいね」
また遊びに来てくれないかなと、笑いあっていた。



「(また触りたい、今度はエフィリンもでも、今は──!)」
棲家に戻ったアルマパラパは沸き立つ創作意欲に駆られながら筆を走らせ、もの凄い勢いでカービィぬいぐるみを量産し始めたのだった。