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豆炭々炬燵
18472文字
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星のカービィシリーズ
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【デデカビ】すぐ近くにある奇跡【小説詰め合わせ】
※新作ゲームのネタバレ含みます※喋ったり喋らなかったり飽きずに大体ふせったーの妄想集めてまとめた感じです。
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◆ネイチェル草原に雨季がやって来た
ザー、ザー。透明な水の雫が分厚い雲から落ちてくる。
屋根の上、花壇の花、池の上にと色んな場所に落ちては楽し気な音を奏でている。そよ吹く風にのって香る雨のにおい。
カービィが差す大きな葉っぱの傘の中、エフィリンが傘から落ちる雨粒から視線をまだまだ止みそうのない空に向けます。
「この時期のネイチェル草原はずーっと雨降りなんだ」
気持ちよく晴れ渡る空は当分の間お休み。
今やワドルディの町には赤と白のパラソルや色とりどりの雨がっぱを来たワドルディたちで溢れています。
ぽちょん、ぽちょんと葉っぱの傘に落ちる雨粒の音を聞きながらカービィはエフィリンと一緒に雨の町をとことこ。
「でも、気を付けてカービィ。たまに強い風が吹くか──!」
突発的に吹いた強風はあっという間に町中を駆け回り、吹き飛ばされぬよう踏ん張っていたワドルディたちの内4人が空に舞い上がってしまいました。
わにゃわにゃ~。空に舞い上がったワドルディたちを見てエフィリンが叫ぼうとしたその時です。葉っぱの傘がエフィリンの上に被さりました。傘の隙間から見えるピンク色の影が勢いよく空に向かって飛んでいきます。
ホバリングで飛んだカービィが風に飛ばされたワドルディの1人に抱きつく形で助けましたが、まだ3人は空の果てに飛ばされていきそうになっています。
カービィの短い手が他のワドルディたちを助けようと懸命に伸ばされます。
けれど、届きません。カービィの表情が一層険しくなるもすぐに目の前の光景を見て明るく笑いました。
コロシアムの上で町を見守っていたメタナイトが翼を広げ飛ばされていたワドルディの1人を助けました。でも、まだ2人が空中で回転するように飛ばされています。
だけど、心配ありません。
「デデデ大王って飛べたんだ!?」
エフィリンの驚愕に満ちた声を背負いつつホバリングしたデデデ大王が空に攫われていたワドルディの2人を両脇に抱えました。
カービィとメタナイト、そしてデデデ大王の3人が助けたワドルディたちと一緒にそれぞれゆっくり降りてきます。
助けられたワドルディたちを下で見守っていたワドルディたちが笑顔で出迎えます。
わにゃわにゃあ。よかった、よかった。ありがとう、ありがとう。
無事助かって安堵と感謝の声があちらこちらから町中から溢れます。ワドルディたちがもう大丈夫なのを確認したメタナイトはコロシアムのところに戻っていきました。
カービィとメタナイトに助けられたワドルディたちが、デデデの両脇に抱えられていたワドルディたちと共に輪の中へ入っていく光景をカービィとエフィリンが笑って見送ります。
「それにしても驚いたよ~。デデデ大王が空を飛べただなんてすごい!」
はしゃぎ気味にエフィリンが飛びながらカービィに言います。
そうなんだよ。とっくに背中を向け歩き出しているデデデに代わりカービィまるで自分のように誇らしげに胸を張りました。
雨が降る。雨が降る。まだまだどんどん雨は降り続けます。
今日もカービィとエフィリンは雨だろうと関係なくワドルディの町中を元気よく駆け回ります。
雨でも町中はとっても賑やか。時折吹く強風にも負けず、ワドルディたちがわにゃわにゃと楽しく過ごしています。
「きょうもいないね」
コロシアムの横。天気がいい日はいつもの場所で横になっているデデデ大王はここ最近の雨の所為か姿を見ていません。
カービィが普段デデデ大王が寝ている場所をぼんやり見つめます。デデデ大王を最後に見たのはたしか、風に飛ばされてしまったワドルディを一緒に助けたとき。
いつもいる場所にいないだけで何だか物足りない。
「デデデ大王の傍にいる家来ワドルディたちもいなくて静かだね」
エフィリンの言葉にカービィは小さく頷きました。
その頃、ワドルディの町に用意された自分専用の部屋のベッドの上でデデデ大王はごろりと横になっていました。窓から見える雨を見て胸に溜まっていた息を静かに吐きます。
流石に雨の中いつもの場所で寝っ転がってしまっては濡れてしまい最悪風邪をひいてしまいます。
「(まあ、べつにいいか)」
どうやら風邪をひくひかない、体が濡れてしまう濡れないは二の次なようです。
自室でひとり静寂に満たされる部屋に外で振り続ける雨音がしみ込んでいきます。穏やかな時間の中デデデ大王の耳に響く聞きなれた声がのんきで明るいカービィの声。聞くだけで胸の奥があたたかくなる声を聞かなくなって何日目か。
うつらうつら。誘われる眠気がまともに考える気持ちを薄めていきます。
「(オレさまがあいつの家に行くか
…
)」
でも、カービィは弾むボールのようにあちこち駆け回るから家にいるとは限らない。
ふと、そこまで考えたデデデ大王が苦笑を漏らします。
「──カービィ」
閉じていたデデデ大王の口からぽろり思いが零れ落ちます。
どうせ部屋には自分しかいないのだから返事もなにも返ってこないと、デデデ大王は自虐的に笑ったつもりでした。
はぁい
すぐ後ろから声が聞こえます。とうとう幻聴まで聞こえるようになったかと、それならついでに幻影でも拝んでやるかと。
デデデ大王が寝返りをします。はたして、そこにいたのはベッドの端に両手を置きデデデ大王を見るように顔を覗かせているカービィがにっこり笑っていました。
幻影にしてはやけにはっきりしている。デデデ大王がなんとなく手をその丸い頭の上に乗せポンポンとさせます。
透けると思っていたそれは透けず、ぽよぽよとデデデ大王の手を受け止めています。
暫し思考共に動きを停止していたデデデ大王がやにわ体を起こし目の前で起きている出来事を理解すべく変わらずのんきな顔をしているカービィを凝視します。
「
…
カービィ?」
またまた元気な声が春色に彩られた声が返ってきました。
ようやく思考が追いついたデデデ大王はどうやら目の前にいるのが本物のカービィだと理解しました。
何かを言おうとしたデデデ大王の口が、丸い春色を掴んで引き寄せようとしたデデデ大王の手が不意に止まります。
「カービィ、デデデ大王に会えてよかったね」
扉の方から聞こえるエフィリンの声にカービィが嬉しそうに返事をします。
そして、デデデ大王の手からするりと抜け出し扉の方向へぽてぽて歩いていき、元気よく挨拶した後エフィリンと一緒に出て行ってしまいました。
扉の向こう側、エフィリンがカービィに
「もういいの?」
と、何度も聞き返す声がどんどん遠ざかっていく。
「忙しないやつだ」
デデデ大王は自分の中にあるどこか残念がる気持ちから目を逸らしつつ、僅かばかり満たされた心を見るようにカービィに触れていた手を見つめ、そのまま窓に視線を向けます。
雲の隙間から差し込む陽の光は眩く、雨脚も弱まってきています。
「明日は大丈夫そうだな」
デデデ大王はひとりあたたかくなった胸に手を当てながら呟きました。
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