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玲緒
2021-04-27 22:16:39
11393文字
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sansbyweek2021 まとめ
sansbyweek2021に投稿させていただいた小説をまとめています!
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6日目:甘いもの
店もある程度も軌道に種族など関係なしに飲みに来る客が増えてきた。今までグリルビーが一人でこなしていた店の買い出しも、サンズが『ちかみち』で彼を連れてまわるようにしたおかげで「かなり楽になった」と礼を言われた。
買い出しにかける時間が短くなったおかげで精神的にも余裕が出てきたらしく、最近ではニンゲンの客に教えてもらったカクテルを作れるように練習をし始めたのだと言っていた。
そんなある日のこと
……
。
「何だ、こりゃ。新しいカクテル?」
「うむ。たまたま文献で見つけたものなのだがな
……
」
閉店後の店内。いつものように清掃を終えた後の二人きりの時間帯。久しぶりに飲まないかと誘われて定位置に座ると、ある飲み物を差し出された。
まるでコーヒー牛乳のような見た目をした飲み物がグラスに注がれている。とても甘い香り
……
さぞかし味も甘ったるいのだろうと思いつつ、口をつける。
「
……
甘いな」
「こういうのは苦手か?」
「あまり飲まないかもしれないけど、悪くはないかな」
ちびちびとカクテルを口に運びながら、上目遣いで店主を見る。彼も同じものを作ったようで、黒い手袋をはめた手でグラスを顔に近づけ香りを確かめているようだった。その仕草は流石バーのマスターと言うべきか
……
なかなか様になっている。
「
……
」
そんな彼をぼんやりと見つめていると、不意にこちらに視線を向けられた気がして慌てて視線を逸らした。
「どうした?」
「ん
……
いや、何でもねぇよ
……
」
そう言いつつも、ソウルが妙にざわついて落ち着かない。何となく覚えのあるこの感覚に戸惑いを覚えた。ずいぶんと久しく感じていなかったソレに
……
きっと何かの勘違いだ、酒が入っているせいでそう感じているだけだ、と懸命に自分に言い聞かせる。
まさか自分が相手にそんな感情を抱いているなんて、にわかには信じ難いのだ。だって、相手は昔からの顔馴染みで、店主と常連客という間柄でしかないのだから。
「そういや、なんでこのカクテルを選んだんだ?」
気持ちを切り替えたくて、自らの手元にあるカクテルへと話題を変える。
普段はあまり要望が無いというのもあって、ここまで甘いお酒は出さない。出してもせいぜいカシス系のフルーツっぽいものぐらい。
「
……
カクテル言葉が、気になってな
……
」
ぽつりとグリルビーが呟く。
「このカクテルは、カルーアミルクと言うんだ」
コーヒー豆を主原料の一つとして作られるコーヒー・リキュールの一種
……
カルーアを牛乳と混ぜ合わせて作るカクテルで、このリキュールで作ったものしかカルーアミルクと名乗れないのだと、グリルビーは楽しげに話してくれた。そして、そのカクテルに当てられた言葉も
……
「カクテル言葉が『臆病』と『悪戯好き』だと知って、何となく
……
お前みたいだなと思ったんだ
……
」
「は? なんだよ、その理由
……
」
「そのままの意味だ」
「
……
」
いや、お前みたいだなんて言われても反応に困るし、なんとなく飲みにくくなるではないか。そう言い返してやりたかったのに、彼は何ら気にする様子もなく、カクテルの入ったグラスに口をつけている。左右に亀裂が入るように裂けた口元にグラスを当てて、中の液体を少しずつ、口の中に流し入れて
……
「
……
」
自分に似ていると言われたカクテルが徐々に飲み干されていくその様子に、何故だかドクン、とソウルが跳ねた。
(いや
……
こんなの、きっと気のせいだ
……
)
頭をもたげようとする感情を必死に押さえ込んで、サンズもふたたび提供されたカクテルに口をつけた。
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