望月 鏡翠
2023-07-02 11:31:41
17630文字
Public リアタイ
 

灰は灰に

ウルフレグニ/グレイハウンドの過去 1/#DRE_C_享楽主義


 グレイは、モリアーティさんが話をしたいといってきたとうれしそうに、報告してきた。その日のために、仕入れてきたとうれしそうに銃を見せてくれた。
 予め決めてあったことだ。
 探りを入れてくる人間がいたら、そいつを始末する。そのために準備をしてあった。
 きっと、あの人は殺されてしまう。
 許してください。
 神に祈る。
 死にたくないんです。殺されたくないんです。幸せじゃなくてもいいから、ただ平穏に暮らしたいだけなんです。
 過去にやったことを全て忘れて、放っておいてくれればいいんです。
 どんなに祈っても、グレイはどこまでも追いかけてきた。犯罪歴は消えなかった。
 あの日の夜、グレイはモリアーティの家に出かけていった。
 ベッドに潜り込んで、ブギーマンを怖がる子供みたいに、震えていた。眠りたかったけれど、眠ることはできなかった。
 いつグレイが、玄関の扉を叩くかわからない。ドアを開いたら、銃を突きつけるのだ。
 お前はもう用済みだと告げるのだ。
 震えていると、携帯が鳴った。グレイからだとすぐにわかった。画面にもグレイと表示されていた。
『こんばんは。全て終わりましたよ』
 酷く穏やかで丁寧な言葉遣い。
 その声は紛れもなく、アッシュ・モリアーティのものだった。