しゅう as 猫田しゅうぞう
2022-05-29 22:53:51
5230文字
Public アナオビ
 

降伏/ジェダイ/恨み言/皮膚の内側/期待

オビドラマの次の話を見る前にいきおいのまま出力しておく幻覚置き場 6/20更新


浴びせられた炎はオビ=ワンの皮膚を焼き肉を焼いた。身動きひとつ自分ではとれなかった。意識だって手放した。それこそ程度で言うのなら、十分に重度の火傷ではあったのかもしれない。
まだタンクの中にいろというもっともな静止を無視してオビ=ワンはバクタタンクからあがった。再生したての皮膚を破らぬようにとは気を払いつつも身体を拭き、新しく用意された服を羽織る。
バクタタンクの治療は肉体が本来持っている代謝を促し、再生サイクルを早めるものだ。だから表面の傷が癒えても、まだ皮膚の下は治りきっているとは限らない。だが、逆に言えば表面はほとんど治ったはずだった。
それは鏡を見なくてもわかる。顔や首の傷はきっともう残っていない。なにしろ皮膚が空気に触れて痛むことはない。
ただ、肩口や胸元ばかりは身動きに伴って引き攣れを感じた。走る痛みに思わず眉間に皺が寄る。だが彼はやはりそれも無視をした。
なにしろ所詮はバクタタンクで癒えてしまう傷だ。手足を失い、あの土手の上で燃え上がったアナキンはこんな痛みでは済まなかっただろう。
あの装甲服からも、歪な呼吸音まじりのあの声からもわかる。あのムスタファーのマグマはあの子のすべてを焼いてしまったのだと改めて思い知らされた。
最後にローブを羽織る仕草ひとつにさえ皮膚が悲鳴を上げた。粗末な布地が癒えきらない皮膚をこするじくじくとした痛み。
だがオビ=ワンは五体満足で声だってまるで掠れもしていない。何もかも残っている。癒えていないのはただ、皮膚の内側、見えない傷だけ。