しゅう as 猫田しゅうぞう
2022-05-29 22:53:51
5230文字
Public アナオビ
 

降伏/ジェダイ/恨み言/皮膚の内側/期待

オビドラマの次の話を見る前にいきおいのまま出力しておく幻覚置き場 6/20更新


一日ぶりの町は変わりなかった。仕事も同じだ。だが、自分を認識したオーウェンの厳めしい面差しが一瞬いつもより警戒心もあらわに強ばった。はてと思って首を傾げれば、素早く目をそらしたオーウェンはなにげなくすれ違うようなふりをしながら不在にしていたのかを問うた。それで反射的に何かあったのかと聞き返せば、何もないと言う。ただ、オビ=ワンがこぎれいになったと彼は評した。それはレイアに会うために多少は気を使ったせいだろう――まあそれでもジェダイを偽る詐欺師のほうがよほど信用できそうに見えただろうと思えなくはなかったが。
何もなかったならいいと胸をなで下ろし、背を向けたオーウェンに「そうか」とだけ返した。肉をゆっくり食むイオピーの小さな頭を撫でてやる。
オビ=ワンがタトゥイーンを離れたのは、たかが一日だ。十年のなかのたったの一日。だが途方もなく長い一日だった。
今日になっていつも通りにイオピーに乗って荒野を出て、乗り合いのスピーダーで町と工場を行き来する繰り返しのなかに身を置けば、すでに遠い夢だったような気さえする。
だが事実だ。赤ん坊の姿しか見たことのなかった幼いレイアはルークと同じようにすくすく育っていた。賢しくて気高く頑固で、やはり彼女も政治家になるだろうと予感させた。
だいたい話したことすらないルークにすらその父の影を観ているぐらいだ。彼女に会えば、やはり無意識にその両親の面影を拾い上げもしてしまった――ああまったく夢のようだ。夢ならとも思う。夢だったらよかった。
尋問官の言葉が胸につかえる。嘘だと思いたい気持ちと真実だと判断する頭がぐるぐると渦を巻いている。夢ならよかった。夢だったらいい。
唾液を飲み込むのすら苦しく思いながら暗く底に落ちていく思考を遮るようにオーウェンが言った。
「あいつが来るのが早くてよかったな」
「何」
「いまのあんたは来たばかりの頃と同じ顔だ」
その言葉に振り返るが、彼はさっさと歩き出していて、もうオビ=ワンを振り返りはしなかった。