錘(つむ)
2026-06-22 22:54:03
9241文字
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Riddle me ree. -on the wall-

先天的女体化、暴力表現、死にネタ、産卵、近親あるのでGつけていますが描写自体はぬるいと思います
大丈夫そうでしたらよろしくお願いします

男として育てられたジョン♀とその理由を知るリチャード 前編 後編はジョン♀視点


【ある侍女の話】
 ええ、ええ。おそろしいこと。そして、むごいことでございました。
 陛下は行動の早い方ですから、もう、あの城にたどり着いているのではないでしょうか。あの惨状を見たらさぞや嘆かれることでしょう。
 ジョン殿下はお美しい上に華奢でいらっしゃったものですから、侍女同士でその貴公子ぶりを、なまじの姫君よりもおきれいではなどとはしたなくもこっそりと打ち交わしていたものです。まさかそれが。思いもよらなかった事です。王族方は皆お美しい方々ばかりですけれど、皆様に注ぐのが陽光であれば、殿下は常に月の光を帯びたような麗しさでした。少しばかり気難しいお方ではありましたが、それで翳りが損ねるどころかいや増す美しさでありましたから。
 兄君である陛下は即位される前から殿下を溺愛していらっしゃるのは皆が知っていましたから、殿下が反乱を起こすほどにご兄弟仲が悪いとは思えなかったのです。ですが、身分の高い方は、好悪で動かれるものではないですものね。
 殿下は戦に破れ、囚われて、兄上でいらっしゃる陛下の沙汰を待つばかりでした。食も減って面やつれなさって。俯かず背筋をぴんと伸ばされて、それがかえって、すっかり覚悟をなさっているご様子に映りました。
 そう、何が起きたのであれ、陛下のご判断を仰ぐべきだったのです。
 奇妙な話が城内を巡りました。王弟殿下が『卵』を生んだと。
 いいえ、それは事実ではなかったとわたくしは考えています。見たと主張する者はいましたが、その『卵』なるものはおろか、欠片さえ示されなかったのですから。あれば、陛下への申し開きに使えましょうし。何かを見間違えたのだと思います。それが平時であれば、王弟殿下にあのような振る舞いをする者はいなかったはずです。ですが、今は謀反人となり、囚われているお立場でしたから、家臣方は強気に尋問を行おうとなさいました。謀反に賛同しておきながら陛下に寝返った方々も多く、殿下の非をもって少しでも立場をよくしようとお考えだったはずです。
 殿下は当然ながら、いくら囚われの身であれ、王族に対し分を超えた振る舞いと拒みました。
 わたくしはその場におりませんので、結果しか知り得ませんが。逆上した家臣方の手により、殿下は下手人が誰かもわからないような状況でおなくなりになっていたそうです。まだ、かろうじて息があったという者もいますが、それは。いえ、いずれにせよ、取り返しのつかない状態になって初めて、醒めたのでしょう。謀反人であろうと、勝手な処断は許されません。誰が手にかけたかが明白であれば、その者を陛下に裁いてもらえばよかったのでしょうが、その場にいた全員が関わっているのです。
 事情は存じ上げませんが、王弟殿下は実際に女性であらせられたとの事。そこで、方々は悪魔よりもなおひどい思いつきに至ったのでございます。
 王弟殿下ではなく本物の殿下を殺して成り代わっていた魔女であり、謀反も魔女が起こしたものだと。皆で示し合わせ、広場に薪を積み上げて。
 わたくしは後で聞いた限りではございますが、魔女と示すために火を放つ前に人々の前に、胸元を、くつろがせたとか。今となってはそのときには亡くなられていたことをせめて願うばかりでございます。よほど陛下にご遺体を検分されることを恐れたのでしょう、油を注いで火を絶やさず、骨の形も残らないほどに砕いていたそうです。
 なぜ、ここまでのことが起きてしまったか、ですか。
 ……わたくしは殿方ではありませんし、何か根拠のあると言うほどでもないのです。
 わかりました。誰にも言わないでくださいまし。
 陛下は、果敢な戦いをなさるそうですね。付き従う方々も、それに鼓舞されると。熱狂に当てられやすくなっていた、ように見受けられます。いくさ場ではない場所でも。そこで陛下に弓引いた弟君は、さぞや忌まわしい存在に映ったことでしょう。
 言葉が過ぎました。忘れてくださいましね。
 弟君のお身体のこと、ご存じだったかどうかはわかりませんが。とても、かわいがってらしたのだから、陛下はとても嘆かれると思われます。その時に、関わった方々をどう裁かれるのか。あのご気性を考えると、ただならぬ悪い予感がいたします。