錘(つむ)
2026-06-22 22:54:03
9241文字
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Riddle me ree. -on the wall-

先天的女体化、暴力表現、死にネタ、産卵、近親あるのでGつけていますが描写自体はぬるいと思います
大丈夫そうでしたらよろしくお願いします

男として育てられたジョン♀とその理由を知るリチャード 前編 後編はジョン♀視点


 寝間着一枚で化粧気もないのに、なによりきれいだった。現実に対してたいへん上の空のまま、部屋を出て、廊下を歩き、母に出くわした。というか、待たれていた。
「母上いつから」
 にこりと笑った母は、質問に答えなかった。手招きで、別室に呼ばれる。人払いが済んだ部屋なのだろう。母はまた座るようにいい、先ほどの続きと前置きをした。
「言っておくことがあります。絶対に、あの子に手は出さないこと」
「直裁だな!」
 ここまではっきり釘を刺されると思わなかった。
「あなたははっきり言わないと、わからないふりが出来てしまうでしょう?」
 先ほど、見舞いを許したのは泳がせたのだろう。さすが母上、そつがない。
「しませんよ。ジョンが困るようなことはしません」
「よろしい。……真面目な話をしますね。あの子はおそらく人の子供は産めないけれど、あの卵は人でないものなら宿してしまうようなの。同じ血を引く者となら。先祖にも、実際にあったようです。……消える卵やいくらでも誤魔化しようのある人間の子供ならともかく、人でないものが生まれてしまったら。どうなると思いますか」
 ここを理詰めで来るとは、さすがに実母ながら女傑と讃えられる豪胆さである。先ほど誓った言葉に嘘はないし、重ねて誓うのも吝かではない。母はたやすいひとではないのでどこまで信じてくれたかはわからないが、少なくとも解放してくれる程度には伝わったらしい。
「その、人ではないものたちは?」
 最後に尋ねると、母は窓の外に目をやった。
「生まれてすぐに、どこかへ去ってしまったそうですよ。今もどこかにいるかもしれませんね」


 恋と気づいても、踏み越えるつもりは一切なかった。それは母に言われたからではなくて。弟でも、妹でもなければ他の者にくれてやりたくはないので求婚しあるいは奪い去っていただろう。
 踏み越えればきょうだいではいられなくなる。
 たとえばジョンの瞳が綺麗なのは、その裡で考えて、よく視て、内側の光で灯されているからだ。瞳を取り出せばたちまち濁るのは明らかで、そんな失い方をしたいわけではない。
 それに、ジョンは泣いていた。ジョンが厭う身体を、本当は厭わないでほしいのだが、欲に任せて暴くのはただ突きつける真似でしかない。きっと泣かせるどころではない辛い思いをさせる。だから、この炎は身の内だけで、広げるつもりなどなかった。