Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
錘(つむ)
2026-06-13 22:14:00
11117文字
Public
Clear cache
STRENGTH
人外✕転生 パロだよ ぬるいですが性描写があります
1
2
3
4
5
6
ジョンは薄く開いた目を顰めた。眩しい。
布団に潜って避けようとすると、「おっ!」と嬉しそうな声とともに赤毛混じりの青年が窓辺から振り向いた。三つ編みが跳ねる。
「おはよう! やっと起きたな。気分はどうだ?」
「
……
最悪だが」
嘘偽りなく答えた。
何が嬉しいのか、笑っている。
正直に気分は最悪と答えたが、体調自体は、長年感じたことのない体の軽さがあって、かならずどこかしらにはあった痛みも消えている。体調なら近年稀に見る良さと言えるだろう。顔を覗き込まれるのが嫌で、ベッドから半身を起こした。自分の寝台ではないが、清潔で整えられていた。隣には同じ作りの空の寝台が並ぶ。高級ではないが安宿でもない宿といったところか。
真正面から青年の顔を向き合う。
知っている髪色、知っている顔だ。どこで、と考え込み、目を閉じてこめかみを抑えた。
「どうした? 頭が痛いのか?」
首を振る。記憶の中で、『兄様』が笑う。歳は違うが同じ顔立ちだ。
俺はしばらく来れなくなるけれど、ジョンが■を■■んでくれたら、
母の声でその名が告げられる。
名前はつけたのよ。
「兄様、
……
たしか、名前は
……
リチャード。兄上
……
?」
「思い出してくれたか!」
青年、リチャードは感極まって両手を取った。ダンスでも踊るのかという動きだが、さすがにベッドから引っ張り出しまではしなかった。
いまさらだが、子供の頃会った後、年齢を正しく数えているならジョンより一回りは上のはずだ。いくらなんでも若すぎる。
「説明はあとだ。ジョンが元気になったら、な」
視線で察したのか、勝手に答える。
とりあえず今は兄を否定しないことと呼び名がわかったことで引き下がり、ジョンはベッドから床に足を置いてみた。それほど苦もなく立ち上がることが出来る。筋肉が衰えるほどは長くは寝付いていないようだ。
リチャードは見守り、満足気に頷いたが、すぐにそそくさと布団を捲り、ベッドに戻るよう促された。やむなく従いながら、気になっていたことが口から漏れた。
「あの後、どうなったのか
……
」
リチャードは布団周りを直しながら、軽妙に応える。
「血痕だけ残して当主が嵐の中に出奔、逮捕者はざくざく出て、被害者行方不明のまま、当主の座は長男に。だそうだ!」
「普通に怪異話では」
まあ、いい。力を抜いて大きな枕に体重をかける。よい夫でもよい父でもなかったが、息子に渡ったならあとは自分の出る幕ではない。
はずなのに。
「戻るつもりなんてないだろう?」
「そういうわけには」
問われて、反射的に答えてしまった。リチャードは表情を固めたまま、ジョンの手首を握った。
痛いとは叫びたくなかった。
「さわ、るな」
「だめだぞ、帰るなんて。お前はまだ回復しきっていないんだから。腕だって細い、このまま折れそうじゃないか」
「折ろうとしているからだろうがッ」
振りほどけない。単に力がつよいのと、抑え方のせいか身体さえ起こせない。
「ふふ。元気が良くていいぞ! 今まで死んだみたいに眠ってたから。そうだ、ずっといい!」
赤い瞳は炎や血の類の、不穏に満ちている。
「折れても大丈夫だ。これからは。餌だなんて言うから」
痛みに歯を食いしばりながらも、疑問が湧き出る。それは、口に、出しただろうか?
「なにが、したいのですか、あなたは」
追及のかわりに声を潜めて尋ねると、リチャードはハッとしたように手を引いた。
「ごめん、悪かった。痛かったよな。
……
な、食事、食べられるか。持ってくるからさ」
「構わない。人を苛つかせるのには慣れています。腕くらい、折りたくもなるでしょう」
「そういう言い方をしないでくれ
……
」
叱られた犬のような振る舞いに、ほだされてはならないと頭の中で警告が響く中、それを黙殺してしまった。
1
2
3
4
5
6
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内