一、玻璃の海
玻璃に囲まれた海水のなかで、海月が浮遊している。実際には浮遊していない、ただ海水に漂うだけ
――だけれど、私には暗い空間にうす明るい光をまとって浮いているように見えた。人工物の中で、海月という生命体が私たちと同じように生きている。
潮の香りが皮膚をゆったりと撫でた。
がらすを眺めるもうひとつの影がある。美しい刀神だった。興味があるような、特別この生命に興味をいだいていないような、そんな目をしている。
固まったように動かない私に付き合うことなどありはしないのに、彼もただ佇んでいた。
からだが、透けて見える。海月には骨がない。古来より、海月の骨という単語があるように。だが私には骨があり、その中に仕舞われている内臓がある。私のからだはひどく、重たいもののように感じた。
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