こちらはRシーンをカットした全年齢版となります。そのため話の流れがやや分かりにくい箇所がありますがご了承下さい。
完全版🔞(Pixiv)→
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榊類
⚠️ 榊類、過去司類、類成年済、捏造過多
類が榊の演出助手についている世界線(捏造)。海外の新作舞台のために長期滞在している二人。ある夜、類が榊に誘われる。榊は単に欲の処理のため、類は過去に司と付き合っていた思い出を消すために了承し始まる二人の話。D&dイベントの劇中劇をモチーフとした会話あり。司は出てきません。
SNSにて「交渉」というタイトルで投稿していた短編から続きを書いた話です。
Take off > 離陸する、出発する、始める、取りかかる、うまく行き始める、軌道に乗る、取り去る、外す、脱ぐ、(化粧を)落とす、救い出す、切り離す、連れ去る、熱中する 他
人種も言語も感情も、分け隔てなく包み込むピアノの生演奏。柔らかい音とざわめきに満たされた店の隅、カウンター席に男が二人。それぞれの前には琥珀色のロックグラスと透明のコリンズグラス。穏やかな会話と共に、中身が少しずつ減っていく。
「神代くん」
榊の手の中、くるりと回した氷がカランと音を立てた。
「君……欲の処理どうしてるの」
唐突な、それもかなり不躾な問いに、類は口元に運びかけたグラスを空中で止める。
「……急に何ですか」
平坦な声に警戒が滲む。
「いや……日本と違って、特定の相手作るの面倒でしょ。店を使うにも、リスク高いし」
この国での案件は少なくともあと数ヶ月はかかる。帰国はまだまだ先だ。
類はグラスの中身を見つめた。
性欲くらい、自分で処理すればいい。でもきっと、この質問はそういう意図じゃ無い。誰か——『相手を要する行為』を望むかどうかの話だ。
今からナンパでもする気なのか、はたまた店を探すのかはわからないが、そこに自分を道連れにされるのは御免だ。
類は曖昧に濁して返す。
「……別に。リスクを冒してまで、したいとは思わないので」
「そう」
す、と榊が身を寄せた。
「じゃあ、安全で手っ取り早い方法あるんだけど」
唇がピアスに触れそうな距離で、艶めかしく囁く。
「——俺らで済ませる?」
冗談なのか本気なのか。声音からは判別がつかない。視線をグラスの中に落としたまま、類は凍りつく。
「無理強いはしないよ。男相手は……経験少ないけど」
含みのある言い方は、言外に『男も抱ける』と。
榊の身体が離れていく。口の片端を上げて笑み、ウィスキーを口に運ぶ。『言ってみただけ』とでもいう様な、特に期待もない仕草。カウンターの向こうに視線をやり、類の反応を気配だけで楽しもうとしている。
類のカクテルがテーブルに戻された。グラスを伝う水滴が滑り落ち、コースターに吸い込まれていく。膝にあった右手が持ち上がり、濡れたグラスは両手で包まれた。
————高校時代の記憶。
忘れていた感覚が、類の身体の奥に鈍く蘇る。彼を受け入れた、痛み、感動、興奮、快感。
無意識に力のこもった指先が白くなる。
夢を語りショーを創り、幾度となく求め合った日々。何年も前のことだ。
もうきっと——彼に抱かれることはない。
演出助手の道を選んだ時、自ら手を離したから。
これも巡り合わせなのかもしれない。
もう、忘れろと。
誰かの力を借りて、
塗って、塗り変えて、塗り潰して。
もとの色が見えなくなるまで。
全部、上書きしてしまえれば。
「……いいですよ」
予想外の反応に、榊が振り向いた。あっさり得られた了承と、その乾いた声音に。
月色の瞳は伏して隠れ、表情は読めない。
「……そう」
榊は微笑い、余裕を取り戻そうとした……が。
「経験はあるので。僕が受け側でいいです」
今度こそ、榊は言葉を失う。
若い男に胸を貸す、歳上ならではの遊び。男に戸惑う初々しい姿を堪能しようと思っていた。受け入れることに苦戦するならその姿を、感じることができそうなら初めての快楽に悶える姿を。
そう——タカを括っていた。まさか経験があるとは思わなかった。
悟られないよう、残りの酒ごと動揺を飲み干す。肩をすくめ、軽い口調で告げる。
「交渉成立、ってことでいい?」
ようやく顔を上げた類が、榊に向かって頷いた。
「……僕の準備ができたら、そちらの部屋に伺います。少し時間がかかるので、それまでに必要なものを買っておいてください」
「……了解」
*
支払いを済ませ、二人は店を出る。
「先にホテル戻りますね」
「ああ。負担かけてすまないね」
「大丈夫です。ではまた後で」
歩き出した後ろ姿に、榊は思う。
目測を誤ったか。自分が喰らおうとしているものは、思っているより得体が知れない。
これは舐めてかからない方が良さそうだ。
腹を括るしかない。
榊は小さく身震いした。
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