enachiot
2026-05-09 12:31:49
16524文字
Public MARIKINonline4二次創作
 

【MO4】ボコボコパーティ! Act3(初版) / BOKOBOKO PARRY! Act3

【MO4】ボコボコパーティ! Act3(初版) / BOKOBOKO PARRY! Act3 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27713645 について大幅改稿をいたしましたが、ありがたいことにたくさんの方に読んでいただけましたため、初版をこちらにアーカイブしました。
お読みいただいた皆さん、ありがとうございました!


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ザ・ツーに地面へ降ろされたシグキンは、荒い息を吐きながら羽根の回復を急いでいた。大技の連発で尽きかかった魔力をかき集め、大鎌にすがりながら祈るように目を固く閉じる。

……小僧、生きてるか?」
「うるせェ黙ってろ。」

バチキンの肩を借り、Jackもなんとか控え場所に合流出来たようだ。
「シグキン……。」
羽根の痕へ労るように触れようとし、バチキンが手を引っ込めた。

――何で俺の方に飛んだ? 言ったよな? バカ正直に突っ込むなってよ。」
魔力切れでいつもの姿へ戻ったマリキンが、シグキンを睨みつける。
「お前なら分かってたはずだよな? バチキンはともかく、俺はそこまで被弾してなかった。それに『あの姿』なら一発腹に食らった程度じゃ落ちねー。 ……何故飛んだ?」

シグキンはゆっくりと目を開き、マリキンをギッと見上げた。もう闇のチカラはそこに宿っていなかったが、別の光がシグキンの瞳を輝かせていた。

……テメーを助けるためじゃねェよ。――ガキみてェで腹立つが……勝ちたくなっちまった。負けそうになったのが……悔しかった。」
…………。」
シグキンは顔をしかめる。
「身も蓋もない事言っちまえば、これはお前がシュミタロウのために用意した『お遊び』 ゲームだ。なのにこんなに全員マジになってんのは『あの』シュミタロウに、皆が勝ちたいからだろ。」
……そうさなぁ……。」
思う所があるように、Jackが呟いた。
「そう思ったら……ここで皆の『勝ちたい』を止めたくない、俺も『勝ちたい』……って、シュミタロウの首取りに飛んでた。」
……大馬鹿野郎バチ。」
「その結果、氷虎達引っ張り出しちまってんだからな、ざまァねェ。」
……それは……。」
気まずそうにシグキンが目を逸らす。
その目の前に、見慣れた回復剤の瓶が突きつけられた。顔を上げれば、マリキンは何故か楽しそうな笑みを浮かべていて。

――だが、熱い馬鹿は案外嫌いじゃねーぞ?」

……! オイこれって……。」
「最初にフサキンが言ってただろ、『詰まない』ための予備物資だ。……それ使えば飛べるか?」
「あぁ……!」
「馬鹿にも効く薬という訳だな?」
「テメーも馬鹿の内だ! オラ飲んどけッ!」
ひょっこりと顔を出したJackに、ぐりぐりとマリキンは瓶を押し付ける。
「えぇ~我馬鹿になりとうないぃ〜。」
「飲んでも今さら馬鹿は変わんねーよ!!!」
……ん? もしかしてそれ我の事嫌いじゃないって言ってる? この恥ずかしがり屋さんめ☆」
「そろそろコイツ撃っていいバチ?」 
じゃこん、とバチキンがガトリングを構えた。

「フッ、だが我にはお見通しだぞバチキン。貴様もマリキンの真似という馬鹿をやって素寒貧だろう?」
弾倉が空なのを分かっているように、つん、とJackの人差し指がガトリングの銃口をつついた。
「〜〜〜〜ッ!」
「という訳で寛大な我は馬鹿のバチキンに馬鹿にも効く薬をやろう。ほれ。」
不本意そうに顔を赤くしたバチキンへ、ポイ、とJackはマリキンから押し付けられた瓶を投げた。
「テメェ人の気遣いを何だと……!!!」
「マジレスすると、この先の戦いに我は着いていけそうにない。そもそもマリキン、貴様は全員全快出来る予備物資を用意するほど性格良くないし……なんなら我と同じ考えじゃろ?」
…………チッ。」
マリキンが盛大に舌打ちしたのを見て、Jackは楽しそうに言う。
「『憧れ』の気持ちも『共に勝ちたい』気持ちも、我らはちゃーんと分かってるからな?」
――――ならば、『持っていけ!』」

親指を上げたJackへ何も言い返さず、シグキンとバチキンは瓶の中身を勢いよく煽った。


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――そして現在。
飛び出したシグキンの背を前に、バチキンが高らかにリロード音を鳴らす。
「ちゃんとシグキンに合わせろよ? お前ら二人にこっちはベットしたんだ、片手落ちは困るぜ。」
「分かってるバチ! そっちこそ、私達に巻き込まれてブッ倒れるんじゃないバチよ?」
マゼンタの光をサングラスの奥に宿し、バチキンは笑う。

「『最後まで立ってゲームクリア』が、『英雄』だからバチな。」
……ハッ! 言うじゃねーか。」
マリキンがカードを派手にシャッフルした。
「感謝しろよ? その大口に免じてお前らにも『英雄』の高み、今日だけ見せてやる。」
指を鳴らしたマリキンからバチキンへ送られるのは、最後に背中を押す回復の贈り物。

――――行け!」

翼が生えたかのように、バチキンは軽やかに走り出す。


――シグキン。」
舞い上がる紫の中、万感の思いでシュミタロウは名を呼んだ。
「よく、俺の所へ戻って来た。」
……この翼は皆の想いを背負ってんだ……テメーに『勝ちてえ』って想い! ここで形にする!!! ――GAME OVERなんかにさせねェよ!!!」
シグキンが刮目し、再び闇のチカラが爆発する。

……終わらせるぞシュミタロウ! ガチで来いよッ!!!」
「ああ。……仕舞いにしよう。」

お互いに間合いを取り、溜めるは全力。

振り回されながら加速し、旋風を巻き起こす鉄槌。
手に込められる莫大な闇のチカラ。
そして――光を収束させるレーザー砲。
――シグキン、行くバチよ!!!」
「あぁ!!!」
並んだ闘志が、シンクロする。


――――さらばだ。」
二人へ解き放たれる、最大火力の『堕天明王』。

「「――――うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」
シュミタロウへ向けられる、二人の渾身の大技。

閃光が、辺りを灼いた。


周りの沼たちが衝撃に声を上げ、身を隠す。
エネルギーが衝突した轟音に、気を失っていたカシキンは目を覚ました。衝撃波で巻き上がる砂埃にむせながら、音の方を見やる。
そして――晴れた視界の先の光景に、目を見開いた。


……押し切ったのは、シグキンとバチキンだった。
 

「貴様ら……!!!」
「すごい……!!!」
「わぁ〜……!」
「ヤッちまえテメェらッ!!! トドメ刺せーーーッ!!!」
オツキンが拳を振りかざし怒鳴る。

「やったか!!!???」
「フラグを立てるんじゃないよ太陽。」
「お前ら最高だ!!!」
「いっけー!!! いけいけーーーッ!!!」
フサキンが目を輝かせて声を張る。

「俺達……やったのか……?」
「あばよシュミタロウ!!!」
「カッ捌いてやれッ!!!」
「シグキン!バチキン! 行け!!!」
氷虎が両手を握りしめ叫ぶ。

――届いたみたいだな。我ら全員の想いは。」
「みてーだな。」
……他人事のフリしてるが、マリキンの想いもあそこにいるんだからな?」
…………。」
「だってお前……本当に勝ちたくなかったら、こんなちゃんとした遊びにしないよなぁ。」
…………チッ!」
Jackがマリキンの肩に腕を回す。
「マリキン。……『我ら』の勝ちだ!」
……おいお前ら、最後にケチつけんじゃねーぞッ!」
マリキンが、カードで二人を指す。


――決めやがれッ!!!」
「言われなくても……!!!」
「やってやるバチ!!!」


二人の全力を受けて空を舞いながら……シュミタロウは己への止めが近いことに微笑んでいた。


――天晴だ。」


――――解放されるは獄炎闘気 Hellflame caliber
――――展開されるは拒絶機関 Fate rejection

「これが、最後だ!!!」
「持ってけェーーーッ!!!」

全員の『想い』と『願い』を乗せ、二人の最大火力が――――シュミタロウを穿った。



力を使い果たし、シグキンとバチキンが膝を付く。
撃墜されたシュミタロウは……仰向けに横たわっていた。

……まだ、やるか?」
大鎌を杖に立ち上がったシグキンが問う。
……いや、ここまでだ。」
シュミタロウが答える。

「皆……感謝する。とても……心地よい闘争だった。」
シュミタロウは目を閉じる。


――――満足だ。」


…………その一言に、全員が歓声を上げた。
何もかもがてんでばらばらな沼たちだとしても、今だけはシュミタロウからの心からの一言に、同じ喜びを感じていた。
自分たちは『宇宙最強』に……『勝てた』のだと。


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