enachiot
2026-05-09 12:31:49
16524文字
Public MARIKINonline4二次創作
 

【MO4】ボコボコパーティ! Act3(初版) / BOKOBOKO PARRY! Act3

【MO4】ボコボコパーティ! Act3(初版) / BOKOBOKO PARRY! Act3 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27713645 について大幅改稿をいたしましたが、ありがたいことにたくさんの方に読んでいただけましたため、初版をこちらにアーカイブしました。
お読みいただいた皆さん、ありがとうございました!


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……貴重な守り使わせやがって、あの馬鹿が……。)

衝撃で朦朧とする中、シグキンはさっき太陽に使わされた壁があれば、と愚痴を溢した。最低限利き手と得物は無事だったが……アンバランスに風を切る感覚が、自分にもう空中制御の権利がないことを伝えていた。
……あれほどの激情を抱いたのに、あっさりとシグキンは自分が無様に墜落することを受け入れていた。考えていたのは、いかに残った自分のリソースを使ってやるか……いかに悪あがきをしてやるかだけ。そうすれば、自分が脱落してもバチキンは勝利へ辿り着いてくれるだろうから。

追撃に飛び上がったシュミタロウが映る。
迫る鉄槌の気配を感じながら、残った片翼と手を広げ、闇のチカラをありったけ注ぎ込む。
…………持っていけ!!!」
シグキンが自分の全てをシュミタロウへ放とうとしたーーその時だった。


…………させるかァ!!!」
――強烈な対空射撃が、鉄槌をシュミタロウの手から弾き飛ばした。


「!?」
――――バチキン?」
シグキンとシュミタロウは驚愕に目を見開き、遥か下を見下ろす。バチキンのバズーカから、硝煙を上がっていた。遠く離れても輝いて見える、サングラスの向こうのマゼンタの瞳が涙を零す寸前なことに気づいたのは……シグキンだけだった。
……ッ、また一人でなんとかするつもりだったバチか!? ……忘れるな! お前には、世界最強のバチキン様がついているバチ!!! だから!!!」
ジャキン!と響き渡るリロード音。

「シグキンは、堕とさせるかァーーーッ!!!」
――全ての砲塔が、シュミタロウへ火を噴いた。
「ウオオオオオオオオオ!!! 遠慮せずに持ってけェーーーッ!!!」
最大火力が、バチキンの想いが、シグキンの墜落の運命を否定する。拒絶する。

……付き合ってやるよバチキン!!! ……こっちも全身全霊出してやらァ!!!」
手痛い一撃を食らいながらも立ち上がったマリキンが、手の内に膨大な魔力を収束させる。
バチキンもガコン!と武装を変え、真似するように電撃を二門の砲塔に充填する。
……全部注ぎ込めよ?」
「無論バチ。」
「お前ら! そこまでやったら……!!!」
慌てるシグキンに、二人はニヤリと笑った。お前なんかに、鎮魂歌など聞かせやしないと。


「「――『エンデ・レクイエム』!!!」」


放たれる純粋なエネルギーの暴力。焼き切れそうな身体を根性でシュミタロウは凌ぐ。
「ムゥ…………ッ!!!」
この出力なら長くは続かないから耐えられる……そう思いながらも、確実に自分にも限界が近づいていることを、シュミタロウは感じていた。

二人に与えてもらった猶予……始まった落下に抗いながら、シグキンは全力で翼へ闇のチカラを回す。
「治れ……治れよッ……!!!」
徐々に落下速度が上がる。ギリ、と奥歯が鳴った。自分を守ってくれたのに、アレを撃ち終えて空っぽになった二人を守れるのは自分だけだと言うのに! 大鎌を握りしめ、己の内側へ祈る。
「闇よ……俺にチカラをくれ……!!! あいつらを守るために……頼む……ッ!!!」


――俺らもいるぜ? シグキン。』


冷たい腕が、シグキンを受け止めた。
耳に響く馴染み深いザ・ツーの駆動音と、通信機越しの……氷虎の声。

『ルール違反かもしれないが……撤退の範疇と言い訳するさ。……それに、主催二人もそれどころじゃないしな。』
「氷、虎……!」
『主役はお前たちだ。……回復の時間は用意する。みんな、いいか!』
息を切らしたバチキンとマリキン、なんとか起き上がったJackも、声の方を見た。
――アクシズのブースの前、武装を揃えた三人が並んでいる。

「最初からカマすぜ。」
「まだヤクは残ってる、実験させろシュミタロウ!」
「いくぞ〜〜〜!!!」

「「「ーーーーこっちの出番だッ!!!」」」


ーーEXラウンドが始まる。


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「あんなモン見せられて出し惜しむほど……テメーのことはナメてねーよ!」
真っ先に駆け出したエクレアが取り出したシリンダーは、先ほど以上に毒々しい緑色。
――おい、シュミタロウ!」
……!」

熱線を凌いで着地し、肩を上下させるシュミタロウへ、エクレアが飛び掛かる。
……頭に突き刺したシリンダーのヘッドを押し込み、空になったソレをぶん投げて頭を数回振りーーガンギマった嗤いをシュミタロウへ向けた。

「テメー……『不死』を相手にした事はあるかァ!?」
……まだ愉しませてくれるか。」
大鋏の双刃が襲来する。

「行くぜ氷虎! ついてこいやー!!!」
「待てざくろ! 巻き込まれるだけだぞ!?」
「あーしならなんとかなる!!!」
「ッ、せめて俺達の支援を待ーー」
氷虎はざくろの肩を掴んだが、ぽん、とざくろは二人になってしまった。
「なっ!?」
そして、自由な方のざくろが元気に戦場へ走り出す。
「お前……!」
「氷虎、ざくろを知らんのか?」
……!」
「あの二人にくれてやるくらい、まだまだあーしはたくさんいるぞ!」
氷虎に捕まっている『ざくろ』が笑う。

――だから、ざくろに任せておけ!」
「「「「「うおーーーーーー!!!!!!」」」」
そして、戦場へ雪崩こむたくさんの、たくさんのざくろ。

「ム……!?」
「ハッ! 楽しそーだな! だが悪いが私はもう止まらない……!!!」
シュミタロウの身体にざくろ達がまとわりつく。シュミタロウはそれを無理やり振り払いながら、エクレアの斬撃への対応を試みる。
「いてーーー!!!」「オメー次は覚えとけよ!!!」
エクレアに斬られたざくろ達が文句を言いながらぽん!ぽん!と消え、シュミタロウに吹き飛ばされたざくろ達もわー!ぎゃー!と声を上げながら消えていく。ざくろを剥がすための一振りをエクレアに叩き込んでも、不死となったエクレアにはてんで効いた様子がない。
…………ッ!」
シュミタロウの顔に苛立ちが浮かぶ。

「無茶苦茶しやがる……!」
氷虎はざくろの理外の妨害に冷や汗をかいていたが、得物の砕箸を両手に構え戦闘態勢に入った。
……俺も向かう! バックアップは任せた!」
「ああ。この会場のDJは俺だ。」
機材のスイッチが切り替えられ、アクシズの機材達に魔力が流れだす。
「キラーチューンを聴かせてやる! ……行くぜ!」
ヒートアップしたアクシズに大きく頷き、氷虎は駆け出した。……身体から冷気が白く立ちのぼる。響き出した爆音が氷虎の背中を押す。

――全員まとめて、ごちそうしてやろう……!」
苛立ちが抑えられなくなったか、シュミタロウが動いた。
腕を回し、自由になった一瞬から繰り出すのは二度目の、そして最大射程の『夢幻神威』。
大きく弧を描いた鉄槌と鎖が、ざくろとエクレアを飲み込んでゆく。
「チッ! 急に機転回しやがって!!!」
「「「ギャーーー!!!」」」
「ざくろッ!あっち守りに行けねェのか!?」
「「「抜け出せるわけねーだろこんなの!!!」」」
……クソッ!!!」
エクレアがいくら不死身でも、他人へのダメージは引き受けきれない。第二チームのカシキンの時のような奇跡は出来ないのだ。
――かくなる上は、さっきのシグキンではないが……二人の犠牲を前提に残された自分たちで最後の時間稼ぎを出来るようにすること。
ざくろ達がぎゅっとエクレアの身体に身を寄せる。無理やり取り出した試験管をエクレアはバラまき、辺りに金色の液体を振り注がせる。

その雫がーー空中で凍りついた。
……!!!」
……舐めてもらっちゃ困るぜ?」

刹那、盾のようにせり上がる青い結晶。
「『ダブル・ニトロ』ッ!!!」
連鎖するようにバキバキバキ!と氷柱が地面を割り、シュミタロウへ迫る。
……!!!」
シュミタロウは足元を取られないように跳び退くが、氷の牙は容赦なくシュミタロウの脚へ噛み付いた。
夢幻神威を受け止めた氷が破裂し、結晶が飛び散る。鎖からエクレア達が解き放たれる。

「やるじゃねーか氷虎!」
「あともう少し耐えろ、皆ッ!!!」
氷虎が叫ぶ。
「わァってるッ!!!」
引き戻した鉄槌でシュミタロウが氷からの脱出を狙う中、最高速のエクレアが飛び出した。ジャラジャラと鳴る鉄槌の鎖の上を駆け抜けーー狙うはシュミタロウの首。
「すぐに逝かせてやらァ!!!」
両手に握った刃が容赦なく叩きつけられ血しぶきが舞い、そこにアクシズからの音圧が追撃で叩き込まれる。
「あ゛ーーーーーーッ!!!!!!」
さらにそれを超えるざくろの爆音。
……ム!!!」
あえて自分自身に引き戻した鉄槌をヒットさせ、氷を割りながらざくろの衝撃波の直撃を避けるシュミタロウ。余力は減ってきているというのに身を削ってまで距離を取る行動は、喰らいつく四人へ贈る大技への準備だ。

第二チームを一瞬で脱落させた、『堕天明王』。
――しかし。

……繋いだか。」
――――シュミタロウは鉄槌の狙いを、変えた。

迫る影は力強く加速し、鉄槌をかわし、追い越し……シュミタロウの眼前に羽根が散る。
それはあまりにも昏く――――しかし鮮やかな紫。


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